2018.10.17

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

小さなインテリアグリーンを愛する「テラリウム主義」

透明な容器にさまざまな植物を植えて育成を楽しむのがテラリウム。近年、湿度を好む熱帯性の植物が数多く紹介されるようになり、室内のグリーンインテリアとしてもテラリウムは注目されるようになった。その延長線上に、水辺をつくって魚などを飼育するアクアテラリウムの存在がある。多彩なスタイルで、テラリウムを楽しんでみよう!

TERRARIUM 01「メダカが泳ぐ、涼しげな水辺の風景」

 水中と陸上の自然環境を同時につくって、植物や魚などの育成を楽しむのがアクアテラリウム・スタイルだ。そのアクアテラリウム用の水槽を使ったアレンジがこちら。東京サンマリンの狩野凪輝さんが制作した作品だ。

 使用した水槽は「アクアテラ300」(ジェックス・30×30×30㎝)。前面の高さが低く、側面が斜めにカットされていて、アクアテラリウムがつくりやすい構造になっている。前面に水中、背景に陸上のレイアウトがどちらも半分ずつ楽しめるスタイルだ。照明は「クリアLEDパワーⅢ300」(ジェックス)を設置。底砂に大磯砂を敷き、水中と陸上の仕切りをつくるように溶岩石を配置している。そこへ動きのある枝状流木を置いてレイアウトの骨格を形成している。

 植物はウィローモスを水中の岩組みのすき間に配置し、陸上の水際にはハイゴケを使用している。そのほか、ツルチョウチンゴケやホソバオキナゴケなどのコケ類を随所に配置した。ミクロソリウム・ソードリーフやアヌビアス・ナナ、アヌビアス・バルテリーなど、水草の水上葉をふんだんに植栽しているのも特徴だ。さらに、つる性のアイビーやミューレンベッキアなど水分を好む観葉植物も交えて、多彩な緑の空間をつくっている。

 そして、水中を彩っているのは飼育しやすいメダカたち。オレンジ色の楊貴妃と涼しげなアオメダカを導入した。魚が水中を泳いでくれると、より自然な雰囲気がアップ! いつまでも眺めていたくなる風景になり、テラリウムへの愛着もよりいっそう湧いてくる。魚は背面に逃げないように、レイアウトを工夫するとよいだろう。

アクアテラリウムは水槽の上から見ても楽しい。水際にハイゴケやミクロソリウムなどを配置して自然な雰囲気に仕上げている。

TERRARIUM 02「水が流れ落ちる小さなアクアテラリウム」

 幅20㎝のテラリウム水槽を使った作品で、01のアクアテラリウムをひとまわりコンパクトにしたスタイル。東京サンマリンの河野智也さんが手がけたものだ。

 水槽は「アクアテラ200」(ジェックス・20×20×20㎝)、照明はスタイリッシュな小型のスポットLED「リーフグロー」(ジェックス)を使用した。

 レイアウトのポイントは左上から緩やかに水が流れ落ちる滝。水槽の背後に、テラリウムでも使える水中フィルター「サイレントフロースリム」(ジェックス)を設置し、それを隠すように石を組んでいるのだ。石は明るい色彩の層が美しい古美石を使用し、フィルターの排水部分から水が流れ落ちるよう、急斜面をつくるように配置している。ところどころ小さな流木を組み合わせるとよりナチュラルな雰囲気に仕上がる。

 フィルター上部の水が流れ落ちる部分には、小さな流木を置き、ハイゴケを周囲に張りつけていく。アクアテラリウムにおけるコケは、とても便利な素材といえる。コケをつけることで自然感をアップさせることができるほか、流れる水の勢いをある程度抑えたり、流れる方向を調節することもできる。

 植栽は、サンセベリアやペペロミア、ネフロレピスなどの観葉植物を主役にしている。それぞれの株の根に水苔を巻きつけ、石や流木の間に挟み、株元をハイゴケで抑えている。水中にはピグミーチェーンサジタリアを植え、水中と陸上をつなぐ役割も担っている。

 魚はプラカットタイプのコイベタをチョイス。カラフルな赤い色彩がアクセントになっていて、全体を引き締めている存在に。

石組みの背後には縦長のフィルターを設置。水が上から流れ落ちる滝を形成している。テーブルサイズの小さなテラリウムでも、さまざまな自然環境を再現することが可能だ。

TERRARIUM 03「生き生きと緑が輝く小さな水辺の宝石」

 キッチンテーブルに設置された小さなアクアテラリウム。無機質な空間にひとつナチュラルなグリーンインテリアを置くだけで、暮らしがグッと華やぎ、明るい気分にさせてくれる。

 緑あざやかなこのテラリウムは、アクアステージ518の青木真広さんが、幅20㎝の縦長水槽を使用して制作したアレンジだ。おもしろい形状の流木を組み合わせ、空間が豊富なレイアウトの骨組みをつくっているのが、このアレンジのポイントといえるだろう。さらに、水槽の背後に小型の水中ポンプを設置し、分水して上部から水を流し、循環させている。

 陸上部分にはあざやかなライトグリーンの細かな葉が広がるリシアを配置。水がより流れる部分には南米ウィローモス、水中と陸の境目にはキューバパールグラスを植栽している。水中にはアヌビアス・ナナプチを植え込んだ。いずれも葉が細かく小さなものをセレクトしているのが大切で、小型水槽の限られた空間を、より広く見せるためのアイディアだ。魚も小さなアフリカンランプアイを泳がせている。

 小さなグリーンと、シンプルな美しさが際立つ魚を、じっくり育てていきたいアクアテラリウムといえるだろう。

流木をうまく組み合わせて細かな空間をたくさんつくっているのが、このレイアウトのポイント。小型水槽では小さな葉の植物を選んで取り入れるようにしたい。

TERRARIUM 04「豊かな自然を連想させる小さな森のなか」

 まるで緑が豊富な森のなかに迷い込んでしまったかのようなテラリウムだ。30㎝のキューブ水槽(キューブガーデン300・アクアデザインアマノ)を用いた力作は、アクアステージ518の青木さんの手によるもの。

 流木を複雑に組み上げ、陰影をつけるような形で、流木の出っ張り部分にリシアを配置している。そのほか、ホウオウゴケやマメヅタなども取り入れて植栽に変化をつけているのも特徴だ。

 水は小型の水中ポンプで汲み上げ、分水器によって上部の数カ所から水が流れ落ちるシステムを組んでいる。しっかり全体に水が行きわたるように計算され、植物が配置されているのがわかる。このアクアテラリウムでは水深を低くし、陸上部分をメインにした。全面の流木を覆い尽くすようなリシアを、より美しく見せるためのレイアウトといってよい。水が流れ落ちる豊かな自然の森の中を探検しているような気持ちになるテラリウムだ。

森の妖精をイメージさせるフィギュアを加えて、雰囲気を盛り上げる。自分なりのストーリーをつくってみるのもおもしろい。

TERRARIUM 05「密閉環境で育てるレインフォレストプランツ」

 密閉タイプのガラス容器を使った、緑豊かなテラリウム。熱帯雨林植物など、水分を好む植物を育てるパルダリウム用の「パルダミニ」(プレココーポレーション・幅20×奥行き20×高さ30㎝)を使用した作品だ。前面はガラスのフタで覆われているが、上部と前面に穴のあいたメッシュ素材がはめ込まれ、適度に空気が流れる構造になっている。

 底砂には小粒のソイルを入れ、器の背面には植物の植栽が可能な造形材と流木を組み合わせて、凹凸をつくっている。底面には、葉の網目模様が美しいジュエルオーキッドを植えて、このテラリウムの主役に。さらにハイゴケで地面を覆い、タマシダを植えている。複雑な地形の背面には、マメヅタやホウオウゴケ、リシア、キューバパールグラスなどが植栽され、緑豊かな壁面に仕上がっている。

 容器が密閉されていると容器内の水分量が保たれるため、水分を好むこれらの植物は、手間をかけずより簡単に育成を楽しむことができる。

植栽を上から見たところ。流木を使うことによって自然な雰囲気のレイアウトに仕上がる。

TERRARIUM 06「人工プランツを配した手軽なアクアテラリウム」

 植物の管理が面倒という人におすすめなのが、こちらのアクアテラリウム。ヒロセペット谷津店の廣瀬泰治さんが提案する作品で、植物はすべて手入れが不要な人工プランツを使用している。最近販売されている造花や人工プランツは、ひと目見ただけでは偽物とは思えないほどクオリティーが高い。

 幅30㎝の「タートルテラリウム300」(ジェックス)に底面フィルターを設置し、テラリウムソイル(ヒロセ)を厚めに敷き、力強い形状の流木を組んでいる。流木の背面から前面に水が流れ出るようにしているのが最大の見どころだ。その上の流木は、水面に覆い被さるように配置され、水辺の険しい地形を連想させる。陸上の平たい場所にはコケの人工プランツを置き、地形のくぼみからシダ系の植物が生えているように配置した。魚はレインボードワーフグーラミィを入れて、華やかさをプラスしている。

育成の楽しみはないものの、自然風のテラリウムづくりにとても役立つ人工プランツ。見た目の違和感はほとんどない。

TERRARIUM 07「遠近感のある美しい風景を丸窓に映し出す」

 心安らぐ和風の宿から、美しい絶景を眺めているよう。傾斜の険しい山があり、その崖に生える木があり、地面を覆う草がある。遠くから手前に向かう白砂は、川のようにも見えるし、薄く雪が降り積もった小道のようにも見える。
 この味わい深いテラリウムを制作してくれたのは、ヒロセペットの廣瀬泰治さん。レイアウトの達人として知られ、見る者に感動を与える作品を数々残してきた。

 水槽は「レグラスR300」(コトブキ工芸・幅31×奥行き19×高さ26㎝)を使用した。カッティングシートを加工して前面に丸窓をつくり、そこから風景を眺めるスタイル。最大のポイントは、小型水槽の限られた空間のなかで、いかに広い空間を演出するかだ。

 基本は、手前に大きなもの、奥に小さなものを配置すること。植物であれば手前に大きなツツジの木があり、奥に細かな葉のアスパラガスやホソバオキナゴケを配置させている。流木や溶岩石も同様で手前に大きなサイズを、奥に小さなサイズのものを置くとよい。また、構図も重要で小道の先をもっとも遠くに見えるように設定し、レイアウトを組んでいる。空間づくりの参考になるテラリウムといえるだろう。

水槽サイズは、幅31×奥行き19×高さ26㎝。前面をカッティングシートで窓をつくり、正面から眺めて楽しむテラリウムに。レイアウト素材や植物の微妙な配置が楽しめる。

TERRARIUM 08「しっかり根を張る樹木の生命力」

 急斜面に根を張り、厳しい自然に耐えながら力強く生きる樹木の様子を再現した作品。テラリウムはどんな自然のイメージをも表現することができる好例といえるだろう。こちらもヒロセペットの廣瀬泰治さんによるアレンジで、懸崖づくりの樹木と、斜面に現れる複雑な木の根を形づくった。

 水槽は「レグラスネイチャーC150」(コトブキ工芸・20×20×20㎝)を用い、底砂には、ビバリウムソイル(ヒロセ)と造形君(ピクタ)を使っている。造形君は植物の栽培が可能な用土でありながら、さまざまな形状をつくることができる素材で、テラリウムやビバリウムによく使用されている。斜面や壁面に張りつけて使用するなど、複雑な地形が表現できる造形材だ。

 ここでは急斜面をつくり、枝状の流木で根を再現した。木の根元から下に広がるようなイメージで。頂上には懸崖風に、斜面に向かって枝を伸ばすツツジを植えている。さらにワイヤープランツやベビーティアーズを植栽。根のまわりはヒツジゴケで覆っている。

TERRARIUM 09「熱帯ジャングルの一部を小さく切り取って」

 熱帯雨林のジャングルを思わせるテラリウムだ。ゴツゴツとした岩肌に、スキンダプサスやフィカス・プミラなどのつる性植物のほか、トキワシノブ、タマシダなどのシダ植物、さらに、葉の形状や色彩が特徴的なペペロニアやフィットニアなどが寄せ植えされている。ところどころにヒツジゴケが配され、苔むした密林を連想させる。

 注目は、奥行きを感じさせる中央の空間だ。奥から光が差し込み、その向こうに何があるのか、気になってしまう。

 この作品を手がけたのは、ヒロセペットの廣瀬泰治さんだ。空間は洞窟の入口をイメージして制作したという。容器は「レグラスネイチャーS200」(コトブキ工芸・幅20×奥行き16×高さ20㎝)を使用。天板がついている小型のテラリウム専用の水槽だ。この天板を利用して、造形君(ピクタ)を背面に張りつけ、全面を土で覆っている状態に。さらに複数の溶岩石を配置して、岩が転がる複雑な地形を表現した。そして、背後に窓のような空間をあけている。

 この空間があるのとないのでは大きな違いだ。穴があいているだけで、そこから光が入り込み、奥行き感が生まれると同時に、洞窟の入口のような風情をも生み出している。まるで、自分がジャングルを踏破する探検家になったような気分になる。

 枝状の流木は左から右に流れるように配置させ、植物はおもにその流れに沿うように配置させているのも重要だ。こうすることで、複数の植物がまとまりのある風景に見えてくる。豊富な植物と複雑な地形は、まるで熱帯ジャングルの一部を小さく切り取っかのようで美しく、いつまでも眺めていたくなる。

テラリウム用に開発されたガラス容器につくられたジャングルの森。中央に空間をあけることで、奥行き感をもたらし、作品にストーリーを与えている。

TERRARIUM 10「より華やかに美しく! 季節感を生かしたテラリウム」

 サクラが咲き誇り、春の到来を感じさせる、豪華なアクアテラリウムである。アクア環境システムTOJOの東城久幸さんが手がけた作品だ。東城さんは、独自の理論と技法でアクアリウムを美しいアートの世界に引き上げた人物。既存の概念にとらわれない新しい発想で、数々の作品をつくり続けてきた。

 その完成形のひとつが、この「フレグランスアクアリウム」だ。通常のアクアリウムやテラリウムと異なるのは、水上にアートフラワーをあしらっていること。フラワーアレンジメントの技法を取り入れ、華やかで美しい季節感を演出しているのが最大の魅力といえる。春がサクラなら、夏はアサガオ、秋はコスモス、冬はポインセチアなど、季節の植物を主役にあしらい、四季折々の風景を形づくっている。花のアレンジはもちろん、水中空間やそれらが一体となった、景色全体を楽しむことができる。

 今回は円形のガラス容器を用い、石組みで陸上部分をつくり、小型の底面フィルターを用いて滝をつくり、水を循環させている。水が流れる部分にはウィローモスを配置し、水中にはアヌビアス・ナナやハイグロフィラ、ロベリア・カージナリスなどを植えた。清らかなに流れる水の音が心地よく、水中を泳ぐグッピーなどのカラフルな熱帯魚が華やかな風景によくマッチしている。

TERRARIUM 11「グリーンのアレンジと育成が楽しめる本格的なアクアテラ」

 水中と陸上の世界を自由な発想で楽しむことができる幅60㎝のアクアテラリウムがこちら。アクアテイラーズ神戸駒ヶ林店の亀田紘司さんがつくった作品だ。

 水槽はアクアテラリウム用の「ドゥーア・ネオグラステラ」(アクアデザインアマノ・幅60×奥行き30×高さ16~36㎝)を使用。背面に「侘び草ウォール60」(アクアデザインアマノ)を用いているのもポイントだ。上部から水が流れる侘び草ウォールには、ウィローモスやピーコックモスのほかヒドロコティレ・ミニやゼニゴケなどをモスコットンで巻きつけたマットを配置することで、色彩の異なる背景をつくっている。また、水槽の左右には動きのある枝状流木をダイナミックに配置して、溶岩石とともにレイアウトの土台を形づくった。

 水上の植物はネオレゲリアのパウシフローラとファイヤーボール、ネリリプティアーナを主役にしている。これらは根を乾燥水苔で巻きつけ、さらにクイックジェルで流木に軽く固定しているという。このほか、チランジア・レイボルディアナやシンゴニウム、ミズゴケなどを使用。水中にはラヌンクルス・イヌンダヌス、ピグミーマッシュルーム、ウォーターフェザーなどを。魚はマーブルハチェットとテトラオーロを泳がせた。広々とした水中空間をメインに、陸上の植物育成も楽しめる本格的なアクアテラリウムに仕上がっている。

TERRARIUM 12「川魚を泳がせて涼しげな上流域を再現する」

 涼しげな日本の渓流を思わせるアクアテラリウムだ。「グラステリアLX900プラチナホワイト」(ジェックス・幅90×奥行き40×高さ45㎝)の大型水槽を使用した本格的な作品に仕上がっている。制作者はアクアテイラーズ神戸駒ヶ林店の小森智之さん。小さなコケリウムから大型の水草水槽まで、さまざまなアレンジを手がけるレイアウターだ。

 底砂には、明るい色彩が特徴のラプラタサンド(アクアデザインアマノ)を使用し、万天石や山谷石を三角構図で積み上げている。また、左から右に流れる流木の配置もおもしろく、独特の世界観をつくっている。

 ポイントは岩組みの上から勢いよく流れ落ちる滝だ。小さなバケツを左奥に配置することで、外部式フィルター(メガパワー9012・ジェックス)から吐水される飼育水をバケツに貯め、そこからあふれ出した水が直線的な滝を演出している。

 石のすき間など、植物を植える部分には、人工水苔のシンシックや人工素材のハイグロロンなどを入れ、トキワシノブやイワウチワ、ペリオサンテス、ボルビティス、アラハシラガゴケ、ハイゴケなどを配置した。水中には、ショートヘアーグラスやエレオカリス・ ビピパラ、アヌビアス・ナナプチなどを植栽している。魚はニジマスとヤマメを泳がせ、涼しげで美しい日本の渓流が完成させた。

勢いよく流れ落ちる滝。一度上部に水を貯め、そこから水が流れる。下から覗くと大迫力。

カメラマン:平野 威 Takeshi Hirano、横澤靖弘 Yasuhiro Yokosawa、佐々木浩之 Hiroyuki Sasaki
テキスト:平野 威 Takeshi Hirano
媒体:AQUA Style 10

NEWS of IN THE LIFE

ARCHIVES

RANKING

POPULAR TAG

NEWS

SEARCH