2018.12.21

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

君は童友社を知っているか?

今でも時折模型店の店頭で見かける「N H Nostalgic Hero」という、ロゴと実車の写真があしらわれた旧車プラモデル。日産バイオレットやホンダ1300といった、どちらかといえば「ハズシ技」的な車種選択になかなか購入に踏み切れない、という読者諸兄も少なくないだろう。ここではその謎多き「N H Nostalgic Heros」の魅力に迫ってみたい。

ノスタルジックヒーローズきってのナイスバディ「1969 MITSUBISHI COLT GALANT GSII」

 ノスタルジックヒーローズ(以下NH)にはじめて遭遇したのは、行きつけの模型屋さんの店頭だった。時は1990年代前半。レトロとか絶版車なんて言葉がさかんにクルマ雑誌で使われるようになった頃だ。

 車種によっては、偉大なる写真家、故・但馬治さんの写真でパッケージが構成されているものもあって、随分しゃれた印象があった。しかし、そのシリーズ展開車種を見て、すぐにピンと来た。「あ、アレか」と。アレとは1980年代前半まで、手を変え品を変え再販が続けられていたYAMADA社の一連のカーモデルたちである。

 YAMADA時代も散々作ったので、その中身がなんたるかはわかりきってはいたのだが、ほかのメーカーが出さないような珍妙な車種があったり、中には極めて実車に近似したプロポーションを持つものがあったり、ホイールキャップのモールドが素晴らしかったりと、"憎めない拙さ"を感じていたのも事実。それでもスケールが1/24や1/22や1/21とマチマチだったり、価格が¥1,200(現在は¥1,800)と高く、なかなか好意的に受け止めることが当時の僕には出来なかった。

 しかし、不思議なものである。20年くらい遅れて、昨年あたりから僕は深刻な"童友社病"いや"YAMADA病"をこじらせてしまった。模型屋に行けばNHの在庫の有無を店主に訪ね、スワップミートに行けば真っ先にNHの箱を探す。

 そんなきっかけはかねてよりNHシリーズで一番プロポーションが良いと確信していた、このコルト・ギャランGSIIを組立ててからである。本当に素組プラスアルファ程度なのだが、完成した姿を見て惚れ惚れしてしまった。そして、ひとり悟りのようなものを開いてしまった。「スケールなんてどうでもいいのではないか」と(笑)。

 たしかに2010年代も後半の現在、新金型で同じようなシリーズが展開されたら大問題かもしれないが、今から40ウン年前に設計された金型から産み落とされたNH製品たちに目くじらをたてるのは、ナンセンス以外の何物でもない。むしろ、1970年代の生き証人のようなNHたちに敬意をもって、今の持てる技術と素晴らしい塗料や工具をもって立ち向かうのが粋というものだ。

 だから僕は当たり前だが、NHを万人に勧めようとは思わない。プラモデルのキットが"素材"であった時代の残り香を嗅ぎたいという方には、果敢にチャレンジしていただきたい。完成させた暁には、最新のキットを説明書通りに組み上げたときの何十倍もの喜びがそこには待っている。

車高やトレッドはプラ棒、プラ板を駆使して調整。ステア機構は残している。タイヤはタミヤの1/24用ミシュランラジアルを流用。

インテリアはいわゆる上げ底インテリアのまま。ウィンドウパーツがスモークなので意外と気にならないのは気のせい?

究極のノスタルジックヒーローズ遊びはスケールダウン!?

 まあ、こういう書き出しもどうかと思いますけど、かなり変態の部類に入る男ですよ私は(笑)。これまでも「怪しい輸入車のためにお金をドブに捨てるのが僕の生き甲斐です!」を地で行く人生を歩んでまいりまして(本当に『参りました』言いたいんはうちの家族のほうやと思うけど)、それはプラモデルにおいても然りで、「ひと筋縄ではいかない」「今の製品レベルでは考えられない」みたいなキットばかり嬉々として買ってきては、毎回「上手いこと出来んがー!」などと進歩のないことを言ってるワケですが、例えば車種のセレクトが絶妙だったり、ノコギリでガシガシ切ることも躊躇わないお手頃価格だったりと、箱の中に歯がゆさとそれを許せてしまう何かが玉石混淆で詰まってるのが童友社さんのノスヒロシリーズの不思議な魅力と申しましょうか、なんとて、ま、得なポジションでええですな(笑)。

 作るにあたっては工作の無限ループに陥らないよう、あらかじめ「1/24のスケールモデルとして成立させる」という着地点を決め、分割したボディを描き起こした図面にあてて成形・再接着というところから始めて、あとはラインを繋げてパテを盛って削ってまた盛ってけず……無限ループやっとるやないの!

 「大きめに作ってあるから増やすより簡単やろ?」といわんばかりのパーツを精神的支えに、トースカンやスコヤを使って常に水平・垂直に注意しつつ、こまめにテンプレートを使うのが、左右対称形を作るポイント。いっぽう面出しのポイントとしては、ペーパーには板を貼る、思い切って荒目のペーパーを使ってみる、なんてのもアリかと。あとはデバイダーで測りまくる、方眼紙を貼るのもいいかもしれませんね。

 完成後、手を入れた分だけ大化けするっつうのも魅力よな、タマランナ~、と独りごちてしまうあたり、やっぱり筋金入りの部類なんですかね私は(笑)。

スケールダウンと共にディテールおよびプロポーションも修正

スケールダウンに合わせて"迫力満点すぎる"オーバーフェンダーは純正形状の小ぶりなものに再造形され、ローラーのようなワイドタイヤを含めて、足回りもファクトリーストックらしい雰囲気にアレンジされた。

キットのままだと、リアゲートがハイデッキ過ぎて、ほとんど後方視界が無いと思われるリアビュー。スケールダウン化に伴ってリアゲートはよりスロープが強められ、またバンパー下の上下に異常に嵩があるバランスパネルも切り詰められて、実車に近似した形状に改められている。

カメラマン:服部佳洋 Yoshihiro-HATTORI、横澤靖宏 Yasuhiro-YOKOSAWA
媒体:モデルカーズチューニング 弐

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