2018.08.23

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

そこは彼の安息の地。南の島の「ロビンソン・クルーソーの家」

世界中を旅し、インドネシアを始めとするアジアの文化に魅せられたカリフォルニアの実業家、スティーブ・タイタスさん。彼がバリに建てた別荘は、伝統を大切にした森の家だった。

日本と同じく湿気は多いが、一年を通して温暖なバリの家は開放的な作り。エアコンを付けなくたって風通しが良く、見た目も涼しげだ。

ツリーハウスから母屋にかかる吊り橋。身体の大きなスティーブさんが渡っても、意外とグラつかない、シッカリとした作りとなっている。

世界を旅し、この家に辿り着いた

 スティーブ・タイタスさんは以前本誌『HUNT』で紹介したデウス・エクス・マキナのイベント「Slidetober Fest 2014」のモトクロスレースの優勝者。デウスの顧客であり、モーターサイクル、サーフィン、バックカントリースノーボードなど、アウトドアアクティビティーを愛するカリフォルニアの実業家だ。

 コアなサーファーで賑わうエコービーチからすぐの場所にある、南国の植物に囲まれた森の家。近所にデウスのショップがあるのは何の因果だろう。田園の間の道を通って大きな木の門戸をくぐると、Tシャツ、短パン、そして裸足というラフな出で立ちのスティーブさんが出迎えてくれた。

 マンションやビルといった不動産投資を生業としている彼が、バリに別荘を建てたのは2007年の事。ここは世界中を飛び回る彼の、安息の地なのだ。彼がこの場所で過ごすのは一年のうち4か月程度。ボードが並ぶサーフルームやシネマルームを見ると、バリでは趣味全開で楽しんでいることがよくわかる。

 軽く数百坪はあるであろう敷地には木々が生い茂り、その合間合間にヴィラが建てられている。青々とした芝や植物園やプール。この家のシンボルともなっている4階建のツリーハウスは、それらを別の角度からみたいという一心で作られたものだという。

 「この建物はロビンソン・クルーソーがテーマなんだ。昔のヨーロッパの人が海を渡って、旅をしていたときに船が壊れて使えなくなってしまった。じゃあしょうがないと、船の残骸を使って家を建てる。そんなストーリーがあるんだよ」

ツリーハウスの中には、舵などの船のパーツがインテリアとなっていたり、海から流れ着いたという設定で、様々な国で見つけてきた工芸品や日用品が飾られている。

 スティーブさんが旅先で出会って、面白いと思ったものを片っ端から集めて作り上げた別荘。そのこだわりが特に色濃くでている主寝室は、ジャワ島に建っていた150年前に建てられた釣り人の家。それをそのままバリに移設したのだ。突拍子もないことを考える実業家は、ペタペタと裸足のまま庭を案内してくれた。

プールを見渡せるリビングダイニングスペース。モダンな籐の家具と旧い木の家具が入り混じった、オリエンタルな空間が広がっている。

アウトドア好きで、自然環境保護の活動もしているスティーブさんは、緑が大好きで植物園も保有。バリ不在時は、管理を任せているスタッフが代わりに面倒を見る。

普段の足はDeusのカスタムバイク。ベースはインドネシアで販売されているヤマハのスコーピオ225。

家のテーマは「多様性の中の統一」

火山岩から掘り出された、ヒンドゥー教の神ガネーシャの半跏像。多くのバリ島の人々にとって、欠かすことのできない万能の神なのだ。

 「チャングーにも別荘が増えてきて、リゾートマンションが建設されているけど、ああいうのは良くないよね。僕がこの家を建てるときは現地の建築士に頼んで、この国らしい雰囲気を尊重してもらったんだ」

 一見するとバリの伝統的な情緒そのものなのだが、先に述べた通り、実は異文化が入り混じっている。投資する不動産を探し求め、様々な国を旅してきたスティーブさん。各地から受けたインスピレーションをもとに、ヴィラそれぞれに異なる国や様式を取り入れた。

 「この家にあるローカルのインテリアや雑貨はすべて僕が集めたオリジナルで、歴史のあるモノだよ」

 空港の土産物屋で安く売られているようなイミテーションは一切置いていないのだ。それだけに、素人目にはどこの国のモノか見当もつかない。

 「この家の門にも掲げているんだけど、インドネシア共和国のモットー"ビンネカ・トゥンガル・イカ"、つまり多様性の中の統一がこの家の大きなテーマなんだ。バリ島、ジャワ島、スンバ島やスマトラ島。全部で1万8,000もの島が合わさってこの国が出来ているように、ヴィラ一つ一つを異なる文化を持つ島に見立てて、一つの家にまとめたんだ」

 スティーブさんはこれからも世界を歩き、モノを集めて、自分の国に"島"を増やし続けるのだろう。

インテリアに華美なものはいらない。時を経て一層存在感を増した道具が何気なく置かれている。木箱に納められた真鍮製の天秤もヴィンテージ。

カメラマン:Soichi Kageyama
テキスト:Jumpei Suzuki
媒体:HUNT 7

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