2018.08.29

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

南の森の家「築200年、スマトラ構造のヴィンテージハウス」

写真だけ見ると、公園かリゾートホテルはたまた歴史的な寺院に見えるかもしれない。バリの市街地にひっそりと佇む秘密の別荘"Puri Angsa"を訪ねた。

 オーストラリア、アメリカ、イタリア、インドネシア、そして日本。現在6か国でショップを構える、「デウス・エクス・マキナ」。彼らにとってバリは、本拠地であるオーストラリアから近いこともあって思い入れも強い、重要な土地。オーナーであるデア・ジェニングス氏もよくバリへ訪れるため、滞在中に過ごせるようにと別荘を作った。

 各国からスタッフがやって来る際はミーティングの場となったり、ゲストハウスとして利用されるというその場所を、光栄にも取材させて貰えることになった。チャングーのショップを訪れ、バリの伝統建築を目の当たりにしていたので、間違いなく面白いものが見られるはず。そんな期待があった。

南国なりの楽しい暮らし

ジャワ島スタイルの優雅な寝室には、天蓋付きのベッド。風が心地よいテラスではミーテイング中。

 普段はシドニーの、海の目の前に建つ家に住んでいるデア氏。オーストラリアの人たちには毎朝泳ぐ習慣があって、朝日に照らされる海と波を楽しむ人々の姿が風物詩なのだそうだが、バリ滞在時に住まうこの別荘は、うってかわって熱帯の林に囲まれた土地。朝は鶏の鳴き声が聞こえてくる。

 この場所を手に入れたのは、デウスを設立した2006年のこと。デア氏は200年間この場所に建っていた母屋に一目で惚れこみ、土地一帯を購入。その周りにアンティークの建材を使った主寝室、ヴィラや庭、プール等を増築していった。

「日本の昔の建築スタイルを用いたり、スマトラ構造にしたり、古い置物を持ってきたり、色んな文化が入ってるんだ。勿論バリの伝統も取り入れてね。日本と同じように歴史を重んじてるんだ」

 正直、日本人である我々であってもあまり馴染みのない技法を、海を越えたオーストラリア人が、バリの別荘で取り入れているとは不思議な話である。この別荘はインドネシアでも希少価値の高い建物なので、たまに建築の勉強をしている学生が見学に来るのだとか。

「別荘を持とうとリゾートにやってくる人の多くは、なんでか大きくて完璧や豪邸を建てたがる。でも私ならそんな場所に泊まりたくないね。だからふんだんに木を取り入れたファンクショネス(機能的)な住まいが欲しかったんだ。何もかも満たされてる訳じゃないけど、味わいのある家にしたんだよ」

 どの国へ行っても変わり映えしないグローバルブランドのショップとは違い、デウスはその国、その街の雰囲気に独自の世界観を反映した店作りをしている。その思想はこの家を見てもわかる通り、デア氏のポリシーでもあるのだ。

ゆうに25m以上はある庭のプール。いつでも泳げる環境はデアファミリーには欠かせないのかも。

門をくぐると、コッコッコッコと鶏の鳴き声が聞こえてくる。デアファミリーがいない時は、管理を任せているスタッフが世話をするようだが、敷地も広いので大変そう。

デアファミリーのランチタイムにお邪魔してしまった。ナシゴレンやフライ、チキンのサラダ。初対面の我々に気さくに話しかけてくれる暖かい人たち。

ガチョウの家は貸別荘としても活躍

ガレージにあったYAMAHAのXTと思われるバイク。黒と赤で統一されていてクール。

 この別荘を彼らはPuri Angsa(プリアンサ)と名付けた。直訳すると「ガチョウの城」。由来は定かでないが、バリのガチョウは水田にいる。つまり、ガチョウが住みやすいほど自然豊かといった意味で名付けたのであろうか。少なくとも、そう思うほどに鮮やかな緑が目に入ってくる。恥ずかしながら文章といくつかの写真だけでは、このプリアンサの魅力を伝えることは叶わないだろう。なので、後は是非読者自身の目でその空間を味わってほしい。

 プライベート空間である別荘を紹介しておいて見に行けとは、不届きな雑誌だと思われるかもしれないが、実はこの別荘、デア氏が滞在していない時は貸別荘として利用できるのだ。
http://www.puriangsa.com/

 デンパサール空港から車で40分、デウスのショップまでは車で10分の立地なので、バリにサーフトリップに行く方なら、泊まらない手はない。ローシーズンであれば一泊(三泊から予約可)750ドル。それだけ聞けば高いと感じるが、8人までその値段で泊まることができて、家政婦さんや警備員などのスタッフがつく。家族や仲間と複数人で行くには魅力的だ。

 なんだか宣伝臭くなってしまったが、歴史的な建築を羽休めの場所とする事で、新たな価値観や感性が生まれてくることは請け合いだ。

ムササビと思われる石像の裏にはキュートな背中。謎の置物多数。

振る舞っていただいたミーゴレンとナシゴレン。インドネシアの家庭の味だ。

カメラマン:Soichi Kageyama
テキスト:Junpei Suzuki
媒体:HUNT 7

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