2018.11.09

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

南CAで完全復活を遂げた幻のスピード・イクイップメント。

Calif.パサディナの精密加工メーカーVARD INC.が、H-DとIndianのために開発した油圧式フロントフォークは絶対数の少なさゆえ入手最困難なヴィンテージパーツだ。1946年から1949年の3年だけ製造された最古のアフターパーツがその本拠である南CAで復活を遂げた──。

VARD MFG.の首謀者Harpoon、かく語りき。

VARD MFG.のデモバイク。2台のFlattiesには、自社製造のテレスコピックフォークがセットアップされる。

 我々が復刻させたテレスコピック・フロントフォークは、専門のクラフトマン・チームによって製作される。ほぼOriginal Vardのスペックであることとアメリカ生産にこだわっていて、スプリング以外のすべてのパーツは、Vard生誕の地パサディナからそう遠くないオレンジという街で造られている。そして我がVARD MFG.の フォークをセットしたクラシック・モーターサイクルは、すでに世界4カ国で計30台が存在する(8台はアメリカにある)。

 オレの親父はエンジニアだったが、Original Vardの本工場があったすぐそばの職場に勤めていたし、オレ自身もパサディナのThe Art Center College of Designに通っていた。悲しいことに若い頃から何度も行き来した道沿いにあったVardのファクトリーは潰され、今は駐車場になってしまった。ほかの忘れ得ぬ古い建築物と同じように。

 Vardの存在を初めて知ったのは、Chopper Daveのウェブサイトか"Harley Vs. Indian Wars"という書籍だった。もう20年以上前のことで記憶は曖昧だけど。そして2006年、運命的な出来事が起こる。驚くなかれ、オレは事もあろうにVardフォークにThoroフットシフター、PKランプ付きのボブフェンダーにカスタムタンク、トールバーにOld Bates を装備する、1953年にビルドされた1940年式の ナックルを受け継ぐことになったんだ!

 聞くところによれば、その40年は1955年にクラッシュして1956年にリビルドを開始したが、結局途中で頓挫して、気付くと50年が過ぎ去っていたという。残念ながらオレの手元に来た時にはフロントエンドのOriginal Vardは錆びて固着していた。その時オレはすでに希少だったVardを血眼になって探す使命を帯びたのさ。

 気の遠くなるような時間と労力と金を使って、オレはなんとかOriginal Vardのフォークといくつかのパーツをサルベージした。しかしだ、すでにOriginal Vardの存在は旧車マニアの間では周知となっていて、気付いたときには法外なプライスで取引されていた。

 そこでオレは閃いた。このフォークを新品で復刻できないかとね。リポップできればオリジナルも適正価格になるはずだし、世界中の旧車フリークの楽しみの選択肢が増えるなら、挑戦する価値はあるはず──これがVardを最も名誉ある形で甦らそうと、オレが決意した瞬間だった。

 その後とにかく他人に気づかれぬように3年の時間をかけ、Original Vardをリバースエンジニアリング=逆工分析し、全パーツの素材と製造方法を解析した。その間もプロジェクトの経費を捻出するためのスポンサーを探し回った。さらには、1940sの技術を持つ技術者やパターンメイカーを見つけ出す必要もあった。無謀ともいえる挑戦だったが、もはや後には退けなかった。

 とにかくオレはこのプロジェクトを秘密裏に進めた。友人にさえ助けを求めることができず、何度も挫折しかけたよ。そんな孤独な日々の末に遂に新品のVardが完成する。かくして2013年12月、横浜HRCS でそれを披露した。会場で新品のVardを目にした、すべてのマニアが衝撃を受けていた。近しい友人でさえ「いつの間に!」と驚いていたね。結局、初期ロットは5分もかからずにソールドアウトした。

 我がVARD MFG.はその後、親友のカスタムビルダーJeff Leightonをビジネスパートナーとして招集した。JeffがいなければVARD MFG.に現在の成長はなかっただろう。彼はフォーク製作に必須である溶接や金属加工、アッセンブリーを担当している。さらにオレたちは、かのMax BubeckのレコードブレカーであるIndianにインスパイアされた、Vardのナローバージョンを開発した。ナローフォークの人気も上々で、何よりその品質が評価されている。SVやナックルといったスプリンガー装着車両の旧態然とした走行性能を、刷新することが可能だ。

 さらなる朗報は、日本のディストリビューターとして名古屋の旧車専科StanceのRyoとのパートナーシップを得たこと。我々はそれを光栄に思っている。日本の旧車フリークにVARD MFG.のニューパーツを紹介できることを楽しみにしている。

いわずと知れたRoss Langlitzが乗る1940年式のナックルレーサー。そのフロントエンドにはOriginal Vardのテレスコピックフォークが装着されていた。B&Hのシフターも確認できる。

1947年のLincone Park Stadiumで開催された、スピードウェイレースのプログラム。そのカバーにはThe Vard Racing Teamの勇姿! さらに中面にはVard Telescopic Forksの広告が確認できる。これもVARD MFG.に秘蔵されたアーカイブ。

おととし開催されたTROG WESTにエントリーしたJeff Leighton。その45SVレーサーのフロントエンドには、当時開発されたばかりのナロータイプのVardが装着された。

1944年に製作された幻のVARD BIKE。

 VARD MFG.が秘蔵するOriginal Vardのアーカイブの中でも、"超"の付く目玉がこの車両。21.35ci(=350cc)のSVシングルエンジン×4spトランスで、総重量350ポンド(=158.8g)の車体は、最高速65mphに達したといわれている。前後油圧サスやハンドクラッチ×フットシフトも装備されている。

 1944年に5台のプロトが製作されたが、市販化されることはなかった幻のモデル。Harpoon曰く、現存するのはこの1台のみ。

「SVエンジンやフレーム、アウトフィットだけでなく、ハブなどのスモールパーツも、当時のVARD INC.のオリジナル設計です。この歴史的なモーターサイクルを所有することができ幸運です。近い将来、Vard家や当時のエンジニアの子孫の助けを借りて、レストアすることを夢見ています」

 このVard Bikeの発売に頓挫した後の1946年、VARD INC.はH-DとIndian用のテレスコピックフォークをリリースさせる。

いにしえのスピードパーツが新品で手に入るという正夢。

 FlandersやBates、B&HやAtlasと並び、アメリカ最古の二輪用アフターパーツであるVARD INC.、その代表作であるテレスコピックフォークを忠実に復元。

 VARD MFG.ではオリジナルに加え、1940年代当時も販売されなかったプロトタイプのナローバージョンの2種をラインナップする。

オリジナルバーションのテレスコピックフォークは、アルミキャストのフォークカバーにFlandersタイプのライザー、アクスルシャフトまでセット販売。
価格:75万6,500円(取材当時)

当時Flanderよりリリースされた、超希少なVard専用ライザーもリポップされ、フォークとセット販売される。38mmというH-Dにはないインナーチューブも忠実に再現。キャストブラス製のトリプルツリーの裏側にはシリアルナンバーを再現! 「VARD MFG. / ORENGE CALIF.」と記されたゴールドのステッカーが誇らしげだ。

VARD MFG.では当時販売されなかった、プロトタイプのナローバージョンもラインナップする。写真にはないがアルミキャストのフォークカバーとライザーをセット販売(※ナロータイプはアクスルシャフト無し)。
価格:75万6,500円(取材当時)

VARD MFG.ではフォーク以外にも、45SVレーサー用のレーシングステップや鋳造キックペダル&ジェネレーターカバーなどをラインナップする。

名古屋STANCEがVARD MFG. JAPANに就任。

 名古屋の旧車専科Stanceが、VARD MFG.の日本代理店となった。フォークのサンプルが常時店頭で見られるだけでなく、カスタムオーダーや購入後のメンテナンスまで相談できる。

 「別途料金は発生しますが、4インチ程度ならロングフォークにも対応する予定です。ボッバーや レーサーはもちろん、Chopperフリークも手に取って見て欲しい」とは店主・山田氏の弁。目下、同店ではVardを装着した42FLを製作中。『ROLLER magazine』でもレポート予定!

カメラ:Kentaro Yamada
テキスト:Gonz
媒体:ROLLER 26

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