2018.10.23

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

"VINTAGE H-D WITH VARD MFG."

BORN-FREE首謀者であるGrant Petersonの戦闘機“VFL-TT”は、サンドフラッツからヒルクライムまで様々なレースに出走中。スペシャルカムをインストールし80ciにホップアップされた47FLモーターを搭載、デュアルバックボーンを備えたカスタムVLフレームにVARD MFG.のナロータイプをセットアップした隙の無いカットダウンだ。 オリーブドラブを基調とするクラシカルなペイントもHarpoonの仕事。

VARD MFG.のフォークを装着する5台のH-Dをコンパイル。王道Bobjojからフラットトラッカー、アワードバイクまで世界各国の旧車界の最前線ではすでに様々なシーンでNew Vardの装着車両が頭角を表している。

FREEWHEELERSのデザイナー安井 篤が名古屋DUAS CARAS CYCLESと共に手掛けた37 EL。当時モノのHill climberが核になるリアルレーサーで、元来装備されていたパンのグライドフォークはVARD MFG.に換装される。大径スプロケットや左右出しのエギゾーストパイプ、スーサイドクラッチという純然たるレーススペックも見所、F16/R19の変則ホイールセットも然り。

Harpoonと共にVARD MFG.を運営するカスタムビルダーJeff Leightonの愛機39WLDは彼らのレーベルの看板的存在。Jeff自身がナロータイプを装着したこのレーサーで、ビーチレースやダートトラックに積極的にエントリーし、自社フロントフォークの性能をプロモーションしている。

ベビーツインH-Dをシェイプした45SVタンクシフトレーサーは、ここ日本でも古くからコアなファンを従えるスタイル。 VARD MFG.が手掛けるナロータイプのテレスコピックフォークは、そんなベビーツインマニアに未体験の走行性能を提供する新たな選択肢として開発された意欲作だ。

1940 H-D EL/Duas Caras Cycles

"旅"をイメージしてフィニッシュされた40ELは、言うなれば40年代のグランドツアラーだろう。フロントエンドのVARD MFG.が誇らしげだ。

H-Dカスタム黎明期に生まれたグランドツアラー。

 通算3893台が生産されたと言われている1940年式のELは、30sナックルとF系がラインナップに加わる1941年式以降を繋ぐいわば過渡期モデルという側面がある。ティアドロップ形状のメタルタンクプレートやストリームラインを意識したツールボックスは1940年式からのアイコニックなディテールであり、30sモデルに採用されたスクエア形状のフットボードもこの年よりハーフムーンタイプに刷新されている。

 撮影車両は前後共に既存の18インチタイヤを履くが、40s OVHのアイデンティティーであるファットな16インチタイヤも同年にオプション採用、翌41年より標準装備される。当時"次世代のホットモデル"と謳われた74 OHV=F系モデルがデビューするのは1941年だ。

 そんなプロフィールを持つ40ELには当然ワンイヤーのディテールも多く、特にエンジン関連はプロフェッショナルにも難解と評され久しい。Free Wheelersのデザイナー安井 篤がこのプロジェクトを依頼したのは、名古屋中川区のDuas Caras Cycles。ビルダーの藤井龍也はこれまでも安井の持ち込むスーパーヴィンテージをフィニッシュさせた実績を持つ手練だが、完成まで結局2年超を要したこの40ELに関しては、「難解極まるプロジェクトだった」と言わしめた苦心作。オーナーの安井はこう付け加えた。

「そもそも40ELと呼べるベース車が存在しなかったので、ワンイヤーも多く含まれる40年のパーツを収集することが始めなければいけなかった。苦労の末に集めたパーツをそのまま組み上げるのではなく、この年式ならではのウィークポイントを改良しながらビルドした藤井さんの労力は計り知れない。年式にこだわるだけでなく、街乗りからロングライドもこなす旧車にフィニッシュさせるというブレないこだわりと気概が、この近寄りがたいオーラの要因だと思っています」。

 1940年代当時、長距離を高速で移動するためにアップデートされたナックル—安井がこの40ELに掲げたコンセプトはズバリ“旅”だった。

「目の前にひたすら続くハイウェイを突き進むだけでなく、時には悪路のダートもこなして……そんなハードな"旅"を感じさせるナックルにしたかった。オリジナルのスタイルを尊重しつつ、乗り手の経験に基づき最低限に手を入れた。そんな雰囲気を狙っています」。

 1940年代のモーターシーンにおけるH-Dカスタムの黎明期を偲ばせるEarly Bobberの傑作。VARD MFG.の使用例としても、これほど秀逸なサンプルはないだろう。

前後フェンダーを残し、フォグランプやクラッシュガードなど装備する40ELは極限まで削ぎ落としたレーサーというより、旅を想定したロングライダーという形容がしっくりくる。

必要にして最低限に留めたアクセサリーは"旅"をテーマにセレクトされ、丁寧にフィッティング。Superiorのナックル用ハイパイプマフラーや低く構えたKnee-Knocker Handle Bar、Nation-BiltのスポットランプLittle Fireflyなど、どれもAクラスの絶滅危惧種である。

"攻め"のポジションとハードな乗り味が織りなす高揚感。ATSUSHI "SUSHI" YASUI

 多数のナックルを所有する安井 篤だが、この40ELの乗り味は極めて独特だという。

「ニーノッカーという特殊なハンドルなので、ポジションは前傾を強いられます。高速走行時の直進安定性能はVARD MFG.のフロントフォークの恩恵でしょう。ただH-Dのグライドフォークに比べると、その乗り味は固めです」。

 ひとたびアクセルをワイドオープンした時の加速感に、尻の底から伝わる振動、そして低音の効いたハイパイプのサウンド─他のナックルでは味わえない独自のテイストは、オーナー曰く"血湧き肉躍る感覚"だ。

細かなパーツまで1940年式のH-D GENUINEこだわり、丁寧にリビルドされた61 OHVは、電装も元来の6Vを踏襲。吸気はLinkert M-25だが排気はSuperiorのハイパイプ+バズーカに換装される。8本リブのカムカバーやクランクケースも40年式ならではのパーツ。

タフライドを想定したクラッシュガードやバンパーが旅情を掻き立てる。純正シングルシートの形状も40年式のワンイヤーとのこと。

Photographs:Kentaro Yamada
Text:Gonz (満永毅)
媒体:ROLLER magazine vol.26

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