2018.12.17

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

CHANNEL ZERO「気分を上げるときに聞く1枚」

カントリーからJAZZ、SOUL、パンクまで問答無用の"超個人的"レコメンドミュージックをお届けします。The Music For Life !!

LEE BENDER

Con El Cuarteto Lara Foster (Chavela Vargas):
 もし皆気づいていなかったら、ここで告げる。音楽のこととなると、俺はちょっと違った切り口で攻めることにしている。

 俺は感情的な深みを持ったローファイな音楽が好きだ。速度の速いドラムの音に合わせて、がなり立てる歌詞とやり過ぎのディストーションはもう俺好みじゃない。そういったものはもう30年余りやってきたからな。もちろん、そのような音は目的があるし、メタルやロックもたまには聴くだろう。だが、たまには雰囲気が違う何か別のもの、心から誠実で、生の感情が詰まったものを聴くようにすることを推奨する。

 またそんな類の音楽があるということを認め、一回、二回だけでなく、集中して何回も聴くようにすること。歌い手が曲の中で表現しているキャラクターの身になってほしい。ギター奏者でさえ感情に寄せて演奏している。まるでそこに人形の操り師がステージの天井にいて、ギター奏者の指板に置かれた指や弦をコントロールし、歌い手とともに暗闇の中を這いつくばるようにさせているようだ。

 もしも理解できない言語でも、そこには重厚感がある。たとえ彼女が何を言っているのか理解できなくても、それは感じることができる。少なくとも俺はまだ理解できないが。数か月前、偶然このChavela Vargasに巡り合い、スペイン語を習う時期だと決心した。そこには、曲の中にある紛れもない彼女の美しさがあったからだ。ただし、この雑誌への記事を依頼されているからであって、そうではなかったら、この曲の真意はわからない。

JASIN PHARES

Kill ‘em All (Metallica):
 気分を高めるときに聴くものときたら、メタリカのデビューアルバムから最初の3枚のアルバムの中から選ぶ。『Kill‘em All』は最高だぜ! 

 80年代後半、このアルバムは俺の友人Uriahの車の中でいつもかかっていた。俺たちはカンザスでスケートボードをやりながらともに育った仲だ。当時はスケートボード仲間の中で彼だけが車を持っていたから、暇があれば、俺とほかのスケートボード仲間をパークまで車で連れて行ってくれた。

 パークに着くまでの30分の道のりのなか、大音量でかけた。いつもハイテンションにさせてくれて、思いっきり滑ることができたんだ! このアルバム中の一曲を聴くと、この思い出を思い出す。古いフォルクスワーゲン・ビートルに、ほかの6人の奴らとぎゅうぎゅう詰めに乗り込んで、スケートパークまでの道のりを大声で歌い、猛スピードで突っ走って行ったのを覚えている。

DEAN MICETICH

The Stooges (Iggy & The Stooges):
 イギー&ストゥージズはパンクが生み出される前のパンクだった。彼らのデビューアルバムは、エネルギッシュで、ディストーションサウンド、破壊的なパワーにあふれ完璧なものだった。

 このアルバムには、永遠の彼らの最もベストな楽曲である至極の3曲が収録されている……。それは、"I Wanna Be Your Dog"と"No Fun"と"1969"だ。このレコードを聴いていると、こんな風な気持ちにさせる。1,000本のビールが飲みたくなるし、コカイン1,000ラインを一気に鼻から吸いたくなる。それで1,000人の女をファックしたくなる。まあ、とにかく、ストゥージズに神のご加護あれ、万歳。

OLIVER JONES

Ill Communication (Beastie Boys):
 よお、よお、よお。今回のテーマは「気分を上げるときに聞く1枚」だってよ。そうだな、世の中には山ほどのアルバムがあるし、山ほどのアーティストがいる。だが、実際のところ、難しい選択だった。グッドチョイスな1枚があったんだが、過去の号ですでに挙げてしまっていたアルバムだったから、今回は新しい1枚を紹介しよう。

 最近だと、俺が新しいバイクを触っているときに、聴き返しているアルバムがある。それは、ビースティ・ボーイズの『Ill Communication』だ。これはB-Boysにとって極めて重要なターニングポイントとなったアルバム。泥くさいティーンエイジャー時代から始まり、風変りな20代へと躍進し、このアルバムでクールなやつらに成長したと感じられる。ゲストラッパーを迎えつつ、ヒップホップの要素をコアに、ただそこには初期のハードコアの影響を受けているのがわかるだろう。

 アルバム全体はアップビートで心地よい確かなバイブス、一定間隔のBPM。ハイプな響きがあるから、うまく気分を上げて仕事ができるってわけだ。さらに懐かしい気分にもさせてくれる。このアルバムがリリースされたとき、彼らのツアーを観に行ったことがある。Rollins bandとL7と一緒にツアーをしていた。おそらく1992年だったと思う。最高の夏だったよ、このアルバムを聴くとあの頃を思い出す。たぶんみんなはこのアルバムのことは知っていると思うが(そう望む)、もし知らないなら、今すぐ買いに行くことだ!!

TOMOE ISHII

Loveless (My Bloody Valentine):
 このピンクのアルバムジャケットを見ると気分が上がる。心がうきうき揺れ動くくらい。仕事に行く前に聴くと、朝はだいたい低血圧だけど、徐々に血圧を上げてくれる。でも毎日聞くと、ノイズのサウンドに耳がマヒして破裂しそうになるから、毎日は聴かないことにしている。

 最近、NPRラジオでケヴィン・シールズのインタビューを聴いた。この『Loveless』のアナログレコードが再発されたことについてだ。この再発の何が凄いかというと、そのアナログへのリマスタリングの工程。もともとアナログでレコーディングされたこのアルバムは、デジタル処理されたものをCDやLPやカセットに落とされていた。

 しかし今回は、もともとのアナログ・テープに立ち戻り、非常に複雑な工程を経て手作業でレコード盤にカッティングしたとのこと。音響的なテクニカルなことはとてもじゃないけど理解できなかったが、とにかく彼がインタビューの中で説明した工程は、膨大な時間と労力がかかっていた。

 このようなノイズやディストーションを強調したバンドは、聴き方によってまったく聞こえる音が異なるとわかる。野外は外側に放出される感じ。室内は、音が自分の内部へ吸収されて違う空間(もはや宇宙空間レベル)へもっていかれる感じ。マイブラはそんな音の聴き方や感じ方、楽しみ方を教えてくれたバンドのひとつでもある。

Text:松野剛士
媒体:ROLLER 27

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