2018.11.15

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

SLIDER TOUR SKATE TRIP TO HOKURIKU

今回のSLIDERツアーの目的地は、北陸。金沢を拠点に活動するスケートポッセ「SKATEATOM」のアテンドでヴィンテージパーク、なぎさのドライブウェイなどご当地スポットへと車を走らせる。途中、お隣富山の極上スポットにてSKATE AND DESTROY。平均年齢21歳の異色面子が、ひとつ屋根の下で共同生活しながらスケートボードの新たな多様性をシーク。

スケートツアーはチームワークが必須な共同作業 。多くの人の助けによって好結果が導き出される。

 予想は大きく外れ、連日の快晴。2017年5月に敢行された恒例のSLIDERツアーのデスティネーションは北陸。日本のポートランドなんて呼ばれるぐらい雨が多いことで知られる金沢とあり、経験則もふまえ多少の雨は覚悟していたが、まさかのピーカン。情緒溢れる城下町で小雨に映える紫陽花を拝みたかった……なんてわけはなく、ただただニュースポットでスケートしたいという初期衝動に駆られたヤングガンズとアダルトの融合チームは、"Skate and Destroy"ヴァイブス全開。

 金沢・富山のスケートスポットを巡るスケーツアーのメンバーは、出発の1週間前に招聘。基本学生や暇人で構成されることが多めだが、今回は社会人の村岡洋樹も合流。若手枠からすっかりアダルト枠へと成長していた村岡洋樹を筆頭に、中学生の星野大喜、高校生の吉岡賢人、自称フリーターの上井 陵とともに都内から金沢へ。

 現地では、金沢ローカルのショー・ウエスト、ツアーのアテンドを担うSKATEATOMの長岡 斉、そしてフォトグラファーの荒川晋作は京都より合流。役者が揃ったところでさっそくご当地スケートスポットを求めて車両を走らせる。

 そもそもスケートツアーって何よ? なんて人も中にはいるかもしれないので簡単に説明すると、スケート仲間と新規スケートスポットを求めて生活圏を出る。ほかのスポーツでも海外や遠路の競技場などへ遠征するように、スケートボードも新天地を求めて遠征するわけです。

 新しい環境でプレイする高揚感は、スポーツを楽しむ上で欠かすことができないエッセンスのひとつ。加えて、スケートボードを理由に普段あまり足を運ぶことのないであろう国や土地の文化や習慣に触れ、ひいてはそこで暮らす人々と交流を深めることにもなる貴重な機会であります。なんて具合に言うと聞こえはいいですが、要するに人様の土地で自分本位に大騒ぎするということでもあるので、最低限のマナーは守りつつジェントルかつスムーズに動いていけるよう心がけております。少なくとも自分たちは。

 金沢からスタートした撮影は天候に恵まれたこともあり万事順調。途中、脳味噌お花畑に通報され、メイク目前でキックアウトされることも数回あったが、もちろん想定内。すべては神の思し召しとばかりに、ネガティブヴァイブスを引きずることなく、次のアクションへのモチベーションへとギアチェンジ。撮影も人生も、結局のところ流れに身を任せる like テレサ・テン。

 金沢のスポットはSKATEATOMやKAWAというユニットを主宰する(長岡)斉くん、富山ではフィルマーの(中川)龍介くんによる秀逸なコーディネイトに助けられ、普段味わうことのない極上のご当地スポットにて、百戦錬磨のスキルを持ったスケーター勢が火を噴く。スケートツアーといっても、限られた日数でクオリティの高い写真と映像を残さなくてはならないというタスクを課されているので、全部適当にというわけにもいかない。

 ましては危険を伴うアクションだけに、現場の緊張感もそれなりに張りつめている。己の力のマックスで挑む姿は真剣そのもの。スポーツでもなんでも鬼の形相で迫る瞬間があるからこそ、思いも寄らぬドラマが生まれたりもする。スケートの撮影は最たるもので、特にスケートツアーなどの遠征先では、再度訪れてリベンジとは容易にはいかないので、集中力は否が応にも高まる。

 ライダー各々のスタイルや得意分野があるので、スケートトリックのテクニカルな部分においては甲乙つけがたいのも大きな特徴。肉体を酷使するという意味においてスケートボードは、スポーツのカテゴリーに入る。それでも距離やタイムを競うといった明確なジャッジ方法がなく、技術点よりも芸術点が重視される側面が大きいのでややこしい。

 さらに言うと、スケートボードは個人競技であっても、スケートツアーはチームワークが必須な共同作業ということ。スケートツアー中に行われる事柄のすべてが繋がっていて、些細なことが時として大きな流れを作ったりする。1枚のスケート写真の裏には、そこに至るまでのストーリーが凝縮されている。

 寝床を用意してくれた人からスポットへ案内してくれる人、士気を高めるBGMをかけてくれる人からコンビニでアイスを差し入れてくれる人……。細かい気遣いや行動が、やがて好結果を導く。それは、小さな点と点が線で結ばれ、やがて円となるように。

 そういえば今回のツアー中も、通報で駆けつけた警察官が妙に驚いていた。出身地も職業も年齢も異なる人間が一堂に会し、地方都市に集まっていたことが理解できなかったようだ。確かに10代〜40代までの人間が親族でもないのに共通の趣味(半分仕事だけど)で集まるなんてことは、通常考えにくい。

 まさか少年を無理矢理連れ回してるんじゃないのか!? なんてことで警察官がわざわざ親御さんに電話で確認をとったり、深夜のファミレスで店員が勘ぐりはじめたりする始末だから忙しい。観光やファッション撮影では考えられない厄介なトラブルやアクシデントに見舞われるあたりも、スケートツアーならでは。外的要因以外でも、もう立てない……ってぐらい心身共に疲弊したり、しばらくひとりにしてくれ……なんてことも当然ありますよ(笑)。

 それなりの人数がひとつ屋根の下に、しかも鼻息の荒い若者たちが集まればかなりのエネルギーがぶつかり合うことになる。じゃあスケートツアーなんかわざわざ行かなきゃいいじゃん、なんてご指摘はもっともであります。でもね、しばらくするとまた、スケートツアーに無性に行きたくなっちゃうんです。

 長い間その疑問符に対する答えを探していたんだけど、新しい環境や土地で仲間と真剣にスケートに取り組んだり楽しんだりしたい、ってわかりやすい答えのもうひとつ先に、陳腐な言い方になるけど"生きてる実感"が湧くからなんだと思う。

 スケートで感じる純粋な喜び、仲間と共有する温いだけではない時間、そして現場のヴァイブス……。じりじりと照りつける金沢の太陽、モダーン化された富山の街並み、そこで暮らす人たちの独特なイントネーションといったリアルな変化を体感することは、現地に行くことでしか得ることができないのだから。ポロッポ〜!!

Hiroki Muraoka

某有名鉄鋼会社の資材置き場にてギャップ to バックサイドテールスライドを決めた瞬間。

鳥取県出身。説明不要のプロスケーター村岡洋樹。adidas Skateboardingとの契約を正式に交わし、Magentaよりゲストアーティストモデルをリリースするなど、引っ張りだこのプロスケーター兼アーティスト。また、Vantanの講師としても活躍するなどスケートコミュニティに不可欠なキーマン。弊誌『SLIDER』31号の表紙と特集の挿絵も手掛けている。

Daiki Hoshino

スケーター以外利用する頻度がほぼないであろうハンドレールで、挨拶代わりのフィーブルグラインド。

群馬県出身。15歳の誕生日を迎えたばかりのヤングスタイラーの星野大喜。
ツアー中は年上仲間に終始イジられまくりの和みキャラ。今回は赤のディッキーズと白の無地Tという出で立ちとあり、日の丸隊長というネーミングを授かるなど、随所でリーダーシップを発揮していた。スポンサーは、SLD Skateboards、ONEPARK、family。

ツアーを行う意義。それは陳腐な言い方になるけど"生きてる実感"が湧くからなんだと思う。

Ryo Kamii

ツアー最終日に富山某所にてノーリーBs 180を決める。

埼玉県出身。SLIDERの登場率は高めだが、基本的に目立つことが苦手な草食系スケーター。無駄や派手なことは不毛とばかりに、省エネ志向でなかなかテールを叩かないのが上井流。ブロック系とクリーンなフリップトリックを得意としいざというときにしか刀を抜かない驚異の七番打者的存在。スポンサーはSLD Skateboards、Independent Trucks、Kickoutスケートショップ。

Kento Yoshioka

富山の新名所にて、うねりを使ったスイッチのFsボードスライド。癖のあるトリックの連続の後に正統派が映える。

愛媛県出身。オールテラインをそつなく滑り倒せるスキルはもちろん、見たこともない動きを編み出すことに長けた手品師。今回のツアーでもすべてのスポットで、持ち前のスキルを披露したといっても過言ではない。appleというティーンスケーターのみで構成される非公式集団を束ねるなどの活動家。スポンサーはWelcome、Venture、etnies、Bones Wheelsinstant、Maison Shake Junzi、Snake's Porno Wheelなど。

Shor West

石川県某所の日曜日のみ滑走可能(勝手に)なタイトなRにて、西日を背にクリーンな放物線を描く。

石川県出身。日本人とイギリス人のハーフで今回のツアーメンバーで唯一の地元スケーター。トランジションを獣のように滑り倒すアグレッシブスタイルが特徴的。端正な顔立ちと渋めスタイルからオジサンよりに見られがちだが、実は二十歳。ジョン・カーディエルを彷彿させるハイスピードでアウトオブコントロールな滑り方が魅力的。スポンサーはEvisen(Flow)Bridge、Black Flys、Helios、ZQ、Fortune。

カメラ:Shinsaku ARAKAWA
テキスト:Vice Captain of HINOMARU
媒体:SLIDER 31

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