2018.07.12

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

次世代のテクニカルスケーター獲得でSANTA CRUZが新たなフェーズへと突入。

Tom Asta 1990年1月12日生まれ。ペンシルヴァニア州ラングホーン出身。超人的なテクニカルスキルに定評のあるネクストレベラーであり、Santa Cruzに新加入したことで大きな話題を呼んだ東海岸ネイティブ。代表作は Mystery『Color Theory』やLRG『1947』など。

イーストコーストでスキルを磨いて着々とスケートキャリアを積み重ね、やがてスケートメッカであるウエストコーストへと進出。フィラデルフィアのストリートが育んだ超人的なテクニカルスキル。トム・アスタにより、SANTA CRUZの新たな歴史の1ページが開かれる。

【The History of Santa Cruz】

 Santa Cruzが本拠地を置くカリフォルニアからアメリカ大陸を横断した場所に位置する、ペンシルヴァニア州ラングホーンを拠点とし、的確なボードコントロールと精度の高いフリップトリック捌きに定評のあるトム・アスタ。Santa Cruzのプロチームに新加入したばかりのテクニカルスケーターであり、’80年代から活動するベテラン陣が名を連ねるチーム構成の中でも珍しい、ニュースクールな類いである。

 アスタが育ったラングホーンという街。丸石で舗装されたストリート、そして凍てつくような厳しい冬のせいでひび割れたコンクリートの路面。スケートスキルを磨くには決していい環境とは言えなかったものの、イーストコーストのスケートメッカとして知られるフィラデルフィアに比較的近かったのが幸運だった。フィラデルフィアで様々なスケーターと出会ったことで、アスタのスケートキャリアが始まったのだ。

「出会うべき人と出会い、その人たちのサポートがあったからこそここまで来られたんだと思う。特にクリス・コールには感謝している。オレスケートインダストリーと繋げてくれたからね」

 ふたりの出会いは地元のスケートショップ、コールが仲間たちと制作していたクルービデオのフレンズセクションへの出演を打診したのがきっかけだった。

 コールがアスタを撮影するためにスポットへ連れて行くも、その道中で一言も口を利かず、なかなか心を開かなかったのだという。そして、到着した2段フラット2段のダブルセットでフロントフリップを無言でサラリとメイク。この1トリックは’05年にリリースされた『Hot Wax』に収録され、これがアスタにとって初めての露出となった。

 そして、2年後にはHot Waxの第2弾『Shred the Gnar』で自身初となるフルパートを制作。レッジではフェイキー5-0フェイキーキックフリップアウトで魅せ、ステアやハドレールでも鮮やかなトリックを披露。まだまだスケートスタイルは荒削りだが、小さな身体で器用にボードを操り、並ならぬ才能の片鱗を覗かせていた。

 このパートがきっかけとなり、アスタは正式にZeroの一員としてチームに迎え入れられるようになったのである。そのきっかけを作ったのも、もちろんコールであった。

なだらかなハンドレールで魅せる、バックサイドスミスの180アウト。このトリックはLRGの最新作『1947』のアスタのパートに収録されている。

「合わせるのではなく、オレはオレのスタイルで貢献していきたいと思う」

 クルービデオの枠を飛び出し、世界的に名を広めることになったのが、’09年にリリースされたZero『Strange World』。

 本作はスケートキャリアを積むきっかけを与えてくれたコールとのダブルパートとしての出演となり、完成されたスケートスタイルでレッジ、ステアからハンドレールまで、テクニカルな妙技で畳み掛ける。中でも、やはりレッジで魅せるコンボトリックにアスタの並ならぬテクニックを確認することができる。

 そして、アスタのラストトリックはハリウッドハイの12段ステアでのノーリーバックサイドヒールフリップ。コールのテクニカルスキルに負けず劣らずのスケーティングで、その存在を世に知らしめるパートとなった。その数ヵ月後にはZeroと同じディストリビューター、Black Box傘下のMysteryに移籍し、華々しいプロデビューを飾る。

 ちなみに『Strange World』がフルパートではなく、コールとのダブルパートとなったのは、当時すでにMysteryへの移籍が決定していたことが理由である。そうしてリリースされたのが、『Color Theory』に収録されたプロチームへのウェルカムパート。ここでも目の覚めるようなトリックの数々、そして上半身が決してブレない安定したスケーティングを披露。

 そして、極めつけはフィラデルフィアのスケートメッカとして知られるLOVEパークのファウンテンギャップで魅せる連続のエンダートリック。スイッチヒールフリップとスイッチフロントサイドヒールフリップで、地元イーストコーストのプライドを見せつけた。この頃からStreet Leagueにも参戦し始め、活動の幅をストリートだけでなくコンテストへと広げている。

 ’14年にはTWSのプロスポットライトとしてフルパートをオンライン公開。これまではBlack Boxが拠点を置く南カリフォルニアのスムースな路面のスポットで撮影することが多かったのに対し、今回は敢えて路面の悪いイーストコーストで大半のトリックを撮影。カリフォルニアの抜けるような青空の下ではなく、曇り空と歴史ある建造物をバックに繰り広げられるスケーティングが素晴らしいパートである。

 しかし、良質なパートをコンスタントに制作し、生産的な活動を精力的に続けるも、アスタのキャリアにピンチが訪れる。Black Boxの経営不振によりMysteryの存続が危うくなってしまったことで、アスタのボードスポンサーが宙ぶらり状態になってしまったのだ。それでも変わらずフッテージを量産し続け、LRGの最新作『1947』で極上のフルパートを残している。

 かつてコールは、「プロスケーターに必要な資質とは、高いスケートスキルだけでなくモチベーションと生産性だ」と話していた。その言葉通り、アスタはノンストップでパートをリリースし続けてきた。

色鮮やかな壁画とアスタのスケーティングをキャプチャーした素晴らしい1枚。マニュアルのようにグリーンのレッジを全流しで削る安定したノーズグラインド。

 そして、’15年5月にインスタグラムを通してアスタの新たなボードスポンサーがアナウンスされた。それはテクニカルスケーターが加入するには意外とも言える、40年以上の歴史を誇る老舗スケートカンパニーのSanta Cruz。

「ボードスポンサーがなくなってしまってどうしようかと考えているときに、Santa Cruzのチームマネージャーから連絡が来たんだ。実は、そのチームマネージャーというのが、同じペンシルヴァニア出身の仲間だったんだよ。

そういった地元の繋がりもあったのも加入を決めた理由のひとつだけど、何よりもSanta Cruzはスケーターが運営するカンパニーだ。どのカンパニーよりもリスペクトされているし、素晴らしい歴史もある。

Santa Cruzのレジェンドたちと肩を並べることができるのは本当に光栄なことだよ。でも、彼らが築いてきたブランドイメージに合わせるのではなく、オレはオレのスタイルで貢献していきたいと思う」

 Santa Cruz加入のニュースが発表されて間もなく、シグネチャーモデルのリリースとともに約2分のウェルカムパートがオンライン公開された。Santa Cruzの独特のフォントで"ASTA"の名前が映し出され、相変わらずの超人的なテクニカルスキルが次から次へと展開されていく。

 アスタのようなテクニカルスケーターの獲得は、Santa Cruzにとって新たなフェーズの幕開けとなるだろう。取材当時は’16年に完成予定だったSanta Cruzのフルレングスビデオの撮影を重ねていた。そこに収録されるであろうレジェンドたちのオールドスクールなスタイル、そしてアスタのニュースクールなスタイルとの素晴らしいコントラストを楽しみに待ちたいと思う。

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