2018.12.12

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

ようこそ、神秘の世界へ「深海のいきものたち・テナガオオホモラ」

Paromola macrochira 分類/十脚目短尾下目ホモラ科オオホモラ属生息水深/約250~400m

まだ解明されていない謎が多い神秘的な深海の生物たち。この連載では、あまり知られていない海での採取時のウラ話、水族館における飼育・展示ノウハウなどマル秘エピソードを公開。海の不思議ちゃんをどのように愛せばいいか、彼らとの向き合い方を考えてみたい。

うしろ脚でものをつかんで体を隠すカニ

原始的なカニ「ホモラ」の一種。手足が細く長く、一見タカアシガニにも似ているが、背中側の一対の脚が上を向いているのが特徴。このうしろ脚(第4歩脚)で貝などを持ち上げ、体を隠すことで外敵から身を守っている。日本海に広く分布するが、獲れることは非常に珍しい。

テナガオオホモラに会えるのは、日本一深い湾「駿河湾」に暮らす生きものを飼育する「駿河湾水槽」。

Q テナガオオホモラの特徴は?

A 上を向いた脚でなんでも持ち上げる

 水深250メートルから400メートルくらいの海に生息するテナガオオホモラ。見つかること自体がとても珍しく、沼津港深海水族館でも開館以来2回目の展示となるそう。

 ホモラ科として特徴的なのは、いちばんうしろの脚が上側に曲がり、カギ状になっていること。これで貝殻やナマコなどを担ぎ、体を隠すことで身を潜めている。エサの魚などを持ち上げることもあるそう。名前の通り長い手で大きなものを持ち上げる姿を見ると、「がんばれ~」とつい応援したくなってしまう。

 ホモラのなかでは体のとげが少なく比較的大きくなりやすく、沼津港深海水族館にいる個体は、両脚を広げて約1メートルほどの大きさ。

お食事中。長い前脚でエサを器用にはさみ、口元へ持っていく。

Q 飼育方法は?

A 水質と水温維持のためこまめに注水

 沼津港深海水族館では2018年3月から展示をスタート。駿河湾大水槽で、タカアシガニやサギフエ、ナマコ、カサゴ、イソギンチャクなどと共に飼育している。水温は13.5度。多くの生きものと共に飼育しているため、水が汚れないよう、水換えだけでなくこまめに新鮮な海水を注水することで水質維持に努めているという。一度に注水するのではなくこまめに少しずつ水を足すことで、水温キープにもつながる。

 しかし、それでも水質が悪化した場合は、同じ水温の海水を用意した上で全水量の半分程度(約5トン)を換水することもあるという。

 深海生物はエサをあまり食べないイメージがあるが、環境に慣れるとよく餌付くそうで、水槽も汚れやすくなる。このため、水質維持には気を配っているのだそうだ。テナガオオホモラも、エサであるイカの切り身を給餌棒にさして顔に近づけると、前脚で器用につかみ、自ら口元へ持っていき食べるそう。

「とても珍しく、全国的にも見られる水族館はまれなので、ぜひ見に来てください!」 (沼津港深海水族館・安東さん)

最も特徴的なカギ状の脚。

取材・構成=藤森優香 Yuka Fujimori
取材・写真協力=沼津港深海水族館
媒体:CORAL FREAKS 26

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