2018.09.04

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

海の中のレースカーテン!「イソバナ(Melithaea abellifera)」

大野好弘の陰日性サンゴコレクション

 イソバナは、日本近海の潮通しのよい日の光が届く岩礁に生息する。陰日性サンゴの中では比較的浅いところに多いので、近海でもシュノーケリングで観察できる最も身近な陰日性サンゴだ。

 イソバナの仲間にはオオイソバナ、リュウキュウイソバナ、イソハナビなどがおり、色彩は赤、オレンジ、黄、ピンクなどバラエティー豊富だがポリプは黄または白である。アクアリウムにおいて比較的流通している種類は本州、九州近海で採取されたイソバナとイソハナビだ。稀に沖縄から大きく軸が太いリュウキュウイソバナも見ることがある。

 これらのイソバナは長期飼育が難しい陰日性サンゴで、輸送時の酸欠や温度変化に弱く、輸送中のパッキング袋の中で表面が溶けやすい。また、ヤギやカラマツなどと異なり、エナメル質の骨軸を持たないため、溶けはじめた個体は状態が戻らずバラバラ崩れるように段々と小さくなり、跡形もなくなってしまう。

 さらにイソバナのポリプは小さく、自然界では小さなプランクトンを捕食するが、飼育環境で餌をあまり捕ることが出来ず痩せて溶けてしまうことも多い。

 冒頭でも触れた通り、イソバナは陰日性サンゴの1種とされているが、実際は日光が直接当たりやすい岩肌に生えていることが多い。褐虫藻を持つわけではないので、好日性サンゴのように紫外線で光合成をしているわけではないが、粘膜質の共肉を持たないため雑菌に弱く、そのため、日光の紫外線を浴びて殺菌をしていると考えられる。

 イソバナを長期飼育するにはまず、なるべく傷んだ箇所のないイソバナを選ぶこと。先端が細くなってポリプがはがれ落ちた個体は避けるようにしたい。レイアウトの際は根元を横にして岩の隙間に差し、水流により抜け落ちない様に固定、水流を全体的にあてる。雑菌の少ない、清浄で20度前後の海水で飼育する。

 UV灯を間接的に当てても良いが、粘膜質の共肉がないため、表面にコケが生えないように注意する。餌は水質を悪化させないため、液体フードより冷凍ミジンコをポリプが開いた時に水流を止め、スポイトで優しくポリプに乗せる様に与えるとよい。

大野好弘/
長年にわたって陰日性サンゴの研究に取り組み、水槽内での長期飼育や繁殖法を確立したスペシャリスト。また、雪割草をはじめとする山野草の栽培を行う園芸家でもある。

テキスト:Yoshihiro Ohno
媒体:CORAL FREAKS 26

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