2019.01.30

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

定期的メンテで一生モノに。「ロレックス・デイトジャストをオーバーホール」

機械式腕時計としては類い希なる屈強さを誇るロレックス。無垢材から削り出されるオイスターケースは多少のキズも風合いになるほどタフだが、内部に収められるムーブメントは緻密なパーツで構成されており、定期的な洗浄とオイル補給が欠かせない。ここではデイトジャストを実際にオーバーホールしてみる。

職人の腕に左右される愛機の寿命

 3〜4年に一度のオーバーホールが推奨されている機械式腕時計。緻密な歯車やパーツで構成されているムーブメントを分解し、各部をチェックしながら洗浄。そしてオイルを差しながら組み上げるのは、すべて職人の手作業に委ねられる。それゆえに、職人の腕の良し悪しが腕時計のその後のコンディションに、大きく影響されてしまうのだ。

 愛機をメンテナンスに出す先は、メーカーのアフターサービス部門、購入した腕時計専門店、または街の時計修理工房など実に様々。なかなか難しいところではあるが、それぞれに優れたポイントがあり、一概に「どこに出すべき」とはいえないのである。あえていうならば、どれだけ親身に対応してくれて、腕時計の状態を的確に判断し、適正なプライスで作業を行ってくれるか……という点が重要になるだろう。

 今回、我々がロレックスのデイトジャストのオーバーホールを依頼したのは、横浜中華街にほど近い場所に工房を構える「クレバーハンズ」。代表の野口氏は、有名腕時計専門店で修行を積み、豊富な知識と経験、探究心を持つ生粋の職人である。確かな目でムーブメントをチェックし、交換すべきパーツとまだ使えるパーツを見極め、適正なプライスでのオーバーホールを行ってくれる。いわゆる昔ながらの頑固一徹な職人とは異なり、柔軟な思考でユーザーのリクエストに応えてくれる、自信を持っておすすめ出来る腕時計職人である。

クレバーハンズ・野口氏がデイトジャストをオーバーホール

 約10年間、オーバーホールをせずに止まってしまっていたロレックス・デイトジャストを、実際にオーバーホールを行いながら、工程の解説もお願いする。都合、割愛させていたいた工程も多く、また職人によっても微妙に工程が異なるケースもある。あくまで大まかな流れとして、ご確認いただきたい。

ブレスレットを取り外し、ロレックス専用オープナーで裏蓋を外す。

日付を表示する、リング状のカレンダーパーツを取り外す。

竜頭を回してゼンマイを巻き上げる途中に存在する、丸穴車。

すべての分解が完了。パーツは組み立て時に作業がしやすいよう、分類されている。

パーツ洗浄後、乾燥が完了した状態。洗浄前に比べ、パーツの輝きが一段と増しているのがわかる。

裏ブタにグリーンのシールを貼ったまま使用している人を見掛けるが、これは絶対に止めたい。シールの接着剤がステンレスにダメージを与え、最悪の場合は腐食で裏ブタに穴が開くことも。

ゼンマイが収まる香箱の内側には、モリブデングリースを塗り込んでおく。

その後も慣れた手つきでパーツを組み上げ、自動巻ローターを残す工程まで到達。

テンプに付いている、チラネジと呼ばれるパーツを僅かに動かすことで調整する。

12時付近でカレンダーが切り替わるよう、針の位置を微調整する。ここまで来ればオーバーホール完了まであと少し。

自動巻ローターは、ゼンマイが巻き上げられるか動作確認を行った後、ネジで固定する。

今回はあえて使い込まれた雰囲気を重視したため、ケースとブレスレットの研磨を行わなかった。もちろん研磨を行えば、新品のような輝きを取り戻すことも可能だ。

趣味の本質を知る職人「愛すべき腕時計はクールな男に委ねたい」

 クレバーハンズの代表である野口千友氏。豊富な知識と経験を持つが決してマニアではなく、柔軟な発想を持つ趣味人である。

 横浜中華街にほど近い場所にある工房は、我々が想像する修理工房とは大きく異なり、氏の趣味であるアメリカンカルチャーを表現するアイテム――アメ車、バイク、自転車、音楽――が、所狭しとディスプレイされており、男であれば誰でも憧れる趣味世界が広がっている。

 この『MAJOR WATCH』を読んでくれている読者の大半も、腕時計マニアではなく、ファッションやライフスタイルの一部として腕時計を愛する趣味人だと思っている。だからこそ、愛用の腕時計は同じ感性を持ったクールな職人に委ねてみてほしい、と思うのである。

 しかし一方で野口氏は、技術は非常に高く、有名時計専門店のメンテナンスも一手に引き受けるほど。そのギャップがクレバーハンズの魅力でもあるのだ。

【CLEVER HANDS】
 住所:神奈川県横浜市中区山下町61-1-803
 営業時間:11:00〜19:00
 定休日:土日祝日(臨時休業有り)
 URL:http://clever-hands.com/

自由な発想が生んだ「新しい腕時計の楽しみ方」

 クレバーハンズでは腕時計のメンテナンスだけに限らず、DLC加工の受付や、野口代表がパーツから組み上げたアンティークウォッチの販売も行っている。一部マニアの間では、加工やリダン文字盤などは敬遠されるが、野口代表はしっかりと状態を説明したうえでDLC加工やリダン文字盤を使ったモデルを提供。そこには「もっと気軽に腕時計を楽しんでもらいたい」と言う気持ちが込められている。

 野口代表がパーツを手に入れて組み上げたモデルは、不定期ではあるがフェイスブックで販売告知がされるので、こまめにチェックしてみてほしい。

 野口代表がムーブメント、ケース、文字盤などをそれぞれ入手して組み上げたロレックス。奥はエクスプローラーのリダン文字盤を使ったモデル。手前のモデルはベゼルにゴールドメッキを施したモデル。もちろん、野口代表の手によるメンテナンスでコンディションは抜群。

 外装研磨を終えてから、特殊なカーボンコーティングを施したタグホイヤーのカレラ。傷に強く、耐久性も高くコーティングが剥がれにくい。オーバーホール済みで25万円(税込)で販売中。腕時計の持ち込みももちろんOK。

カメラ:Yasuhiro YOKOSAWA
テキスト:Hiroyuki OGAWA
媒体:MAJOR WATCH

NEWS of IN THE LIFE

ARCHIVES

RANKING

POPULAR TAG

NEWS

  • IN THE LIFE
  • IN THE LIFE
  • 定期的メンテで一生モノに。「ロレックス・デイトジャストをオーバーホール」
SEARCH