2018.12.19

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

きっと真似したくなる、魅惑のカスタム「VW Custom Selection v...

VWカスタムは本当に奥が深い世界だ。毎年のように新しいアイディア、トレンドが生まれ、世界へと拡散していく。なぜにこれほどまで飽きられることなく世界中の人々を惹き付けるのだろうか。それはやはり、カスタム次第でいかようにもあなたのVWのキャラクターを豹変させることが出来るからであろう。ここでは、セレクトしてきた選りすぐりのVWたち12台を一挙紹介していく。きっとあなたを刺激する1台が見つかるはずだ!

「レースカーでもストリートを思い存分走りたい」、想いを馳せて完成したNotchback Racer クローン「1963 Type-3/311」

 レースカーと比較すると、違いはグラフィックの有無、ウィンドウ材質、バンパーの有無、タイヤの違いくらいだ。それこそエンジンとミッションさえレース仕様になれば、スペアカーとして使えそうなほどのディテールを誇る。バンパーを取り外す必要があるが、フロントフェンダーもクイックリリースで簡単に取り外しが可能だ。

 現在、南カリフォルニアを中心に繰り広げられている、Periscope Racing Association (PRA)シリーズのドラッグレースに日本人で唯一参戦している「TOAインターナショナル」の向井氏。彼がドライブするRon Lummus Racing (RLR)によってビルドされたノッチバックレースカーは、まるでショーカーのようなルックスとディテーリングの素晴らしさで高い人気を誇っている。

 ここに紹介する1台はそのレースカー……ではなく、なんとほぼ丸っきり同じ仕様で製作されたクローン。ストリートリーガルカーである。向井氏が2年の期間を掛けて密かに進めてきたプロジェクトが、2015年のクラシックウィークに開催されたDKPクルーズナイトでデビューを果たしたのだ。

 向井氏はノッチバックレーサーをドラッグストリップするだけのドライブでは飽き足らず、なんとストリートでもドライブしたい……と考えた。その発想だけでも相当ぶっ飛んでいるが、それを丸々レースカーに製作するレベルで、実現してしまったのだ。その仕上がりぶりはもう狂気の沙汰を超えていて、ボディはリアデッキリッドの機構やリアフェンダーのクイックリリースまでレースカーと全く同じ仕様。

 インテリアもロールケージ、レースカーに使用しているKirkeyのアルミフレームバケットシート、RLRによって組み上げられたアルミドアパネルまで丸っきり同じパーツを使用してストリートカーを完成させている。

 一方エンジンに関しては、ストリートで目一杯回してドライブを楽しみたいと、2リッターオーバーではなくあえて1,775ccの排気量をチョイス。これにWeber 48IDAを2機ぶち込んでしまった。エンジンルームはタイプ1エンジンを納めるためにファイアーウォールを取り払い、RLRでカスタム製作されたアルミパネルで覆われ、そこにタイプ3の面影を見ることはない。

 このレースカークローンはクラシックウィークデビューカーの目玉の1台となったのである。

 カーペット類はすべて取り払われ、ここからの風景を見る限りレースカーとの違いを見い出すことは出来ない。シートはKirkeyのアルミフレームシート。

 デッキリッドを開けるとそこには、ノーマルのタイプ3ノッチバックとは全く違った光景が広がる。ボアXストロークは69mX90.5mmの1,775cc、カムはEngle W120、ロッカーアームはCBパフォーマンス1.25:1、キャブレターはWeber 48IDA、マニフォールドはJay Ceeのショート。

 クランクとジェネレータープーリーはJay Cee。ディストリビューターはボッシュ010。タイプ1エンジンを納めるためにファイアーウォールが取り払われ、レースカー同様、RLRによってカスタム製作されたアルミパネルによって美しいエンジンルームが完成した。

ドイツで指名手配されるほどの問題作!? 1947年型をベースに仕上げられた衝撃のCopper Split「1947 Type-1 11」

ヘッドライトは年代マッチのMarcel製。

 金属メッキには様々な種類とカラーの選択が可能だが、エンブレムなどにゴールドが使用されることはあっても、ことパーツやホイールとなると、クロームメッキが自動車がこの世に生まれて以来ずっと主流である。誰が決めたわけでもないがそれは現在でも変わっていない。VWカスタムの世界でもそれは一緒で、光り物といえばクロームかポリッシュでシルバー系がメインストリームだ。

 しかし、2015年。そんな長年の伝統に挑戦するかのような1台が、南カリフォルニアはサンディエゴに現れた。しかもベース車に選ばれたのは第2次世界大戦後、まだフォルクスワーゲンが復興中のさなか、英国軍のIvan Hirstのコントロール下に置かれている頃に生産された1947年型がベースなのだ。

 この1947年型が世に知れ渡るやいなや、世界中へと拡散されて大きな議論を引き起こした問題の1台。おかげでオーナーのEddie Cardoso Jr.は、ドイツを訪問するたびに指名手配される始末。冗談はさておき、今号で紹介するフィーチャーカーの中でもインパクトではダントツのナンバーワンといっても過言ではない1947年型。なんといってもそのロワードされたフォーメーションに納められる銅クロームフィニッシュのサウスアフリカ・スプリントスターホイールが目に飛び込んでくる。

 オリジナルカラーのL32 ダークブルーにカッパークローム独特のカラーが素晴らしいマッチングを魅せる。さらにデッキリッドを開ければそこにはカッパークロームが施された、ポルシェファンの2,276ccエンジンに目を奪われる。フューエルライン、オイルラインやブリーザータンクとして利用しているFRAMオイルフィルターキャニスターのブラケットもカッパークロームが施され、逆にキャブレターやエンジンケースなどシルバー色のパーツはすべてブラックアウト。

 徹底的にカッパーを際立たせることに拘り、今までにないインパクトとルックスを実現している。一方で貴重な1947年型ボディはよく見てみるとオリジナルに極めて忠実で、ボディパネルや灯火類も年代マッチのコレクトパーツが装備されていることに気がつくはずだ。これはやはりVWの知識の深さと、オリジナルに対するリスペクトがあるからこそ成し得る仕上がりといえるのだ。

 フロントフード内は極めてオリジナル度が高く、シンプル。年式マッチの30リットル燃料タンクは高年式とも形状が違う。またフロントクリップのボディ形状も後年モデルとは異なる。

 カッパークロームが際立つよう、ブラックアウトが徹底されたエンジンのディテール。ポルシェファン、フューエルライン、オイルブリーザーメッシュホース、ブリーザータンクとして利用しているFRAMオイルフィルターキャニスターのブラケットとキャップにカッパーを施し、キャブ、エンジンケース、ディストリビューター、プーリーなどはブラックアウト。今までにないルックスを実現した。

 エンジン自体はの2,276cc、ボアXストローク:94X82mm、クランクシャフトはクロモリフォージド、ロッド:クロモリHビーム、カムシャフトFK8、ロッカーアーム:オートクラフト1.4:1、キャブレターはイタリア製48IDAをブラックでパウダーコートしハードウェアはカッパー仕上げだ。

愛するワイフのための究極のグランドツアラーKG「1959 KARMANN GHIA」

 コロラド州グランドジャンクションに本拠地を置く、VW&ポルシェ専門のレストレーション&カスタムショップ、「Kustom Coach Werks (KCW)」。そのボディワークの技術力の高さと、湧き出てくる新しいアイディア。現在アメリカでもNo.1を争うVWビルダーであり、全米のみならず世界中が常に注目しているショップである。

 そのKCWからの久々の新作は1959年型のカルマンギア。タイプ1純正カラーのL324ポーラーシルバーで仕上げられた現車は、地元コロラド州のお客からワイフのために究極のカルマンギアがほしいと依頼を受け製作された角テールだ。そのあまりに自然で完璧な仕上がりで一見ボディ回りは全くもってストックに見間違えてしまいそうになるが、よく凝視してみると至る所にKCWならではの繊細なカスタマイズが秘められている。

 完璧かつ必要パーツなどをコンプリートさせるために、なんとベースを3台入手したこのプロジェクト。ボディは1959年型のローライトがベースで、カルマンギア本来の美しいボディラインを引き出すために入念なるボディワークが実施された。その際フロントとリアのバンパーはワンピースで作り直され、ボディへのマウントも見直して、複雑なボディラインに沿うようにフィットさせている。

 さらにフロントバンパー下には両サイドに新設されたオイルクーラーのためのエアインレットが設けられるが、通常のアイレベルからは全く存在すら意識させない。フロントオイルクーラーへのラインもスチールパイプでカスタムメイドし美しさを追求しながらシャシーにレイアウトされている。そしてイタリアンレザーで仕上げられたインテリアに至っては驚異的なKCWのディテーリングが行き届く。

 カーペットに隠されるフロアも、外装と同じクオリティでポーラーシルバーで仕上げられた。ラジオプレートにまでカラーマッチさせるディテールの徹底ぶりは、さすがKCWだ。

インテリアはイタリアンレザーで仕立てられ、ステアリングはポルシェ用VDMボタンも、カスタムでカルマンロゴが入る。

エキゾーストにはA-1パフォーマンスのステンレス。マニフォールドも同社のサイドワインダーが装備される。

2015 DKP Club Choiceに輝いたトラディショナルCal Look「1967 Type-1/113」

 毎年6月の第2週、南カリフォルニアの至るところで開催されるVWイベント週間「クラシックウィーク」の中に組み込まれる、DKPが主催するクルーズナイト。ここ数年アメリカのカスタムVWのメジャーデビューの場となっている。DKPメンバーたちの投票によって進呈されるメンバーズチョイスアワードは、カスタムを志す者には最高の栄誉と言ってよく、クルーズナイトが開催される金曜日は大変な盛り上がりとなるのだ。
 
 これまでさまざまなトレンドがここから世界に発信されてきたが、2015年のDKPクルーズナイトのクラブチョイスアワードに輝いたのがこの1967年型タイプ1である。ワシントン州在住のJim Brownは幼少期から若い頃まで空冷VWで育ったが、こうしてVWに乗るのは実に25年ぶりという、いわゆるカムバック組の一人で、昔描いていた憧れのキャルルックの姿を具現化したのだそうだ。

 この1967年型は2010年に息子のKevinが見つけてきて、彼の強い後押しもあってプロジェクトがスタートしたのだった。この1967年型を一言で言い表すと「現在に蘇ったトラディショナル・キャルルック」で、そのカスタム手法はモールディングを残している以外はまさに当時の教科書通りに極めて近いと言ってよいだろう。内外装の仕上がりレベルも非常に高いところでバランスされており、25年のブランクを全く感じさせることはない。FLAT4エンケイホイールとのコンビで決められたスタンスも絶妙で、クルーズナイトでDKPメンバーたちを虜にしたのであった。

 インテリアもトラディショナルな手法でアップグレードが施された。シートとドアパネルのBeechwoodカラーのレザーレットは1960年代のヨーロッパでトレンドだった手法Waterfallスタイルでコーディネイト。カーペットはブラウンナイロンループであえて70〜80年代の空気感を演出した。

 ナルディステアリングも、そういえばここしばらく見なかったステアリングのチョイスで、また新鮮。ダッシュ周りはラジオグリルにVDOのタコメーターが追加。ラジオは取り払いFast Fabのゲージマウントを納め、そこにVDOの油圧計、油温計、そしてシリンダーヘッドテンプゲージがセットされている。シフターはGene Berg、クルーザーペダルはFast Fab。エマージェンシーブレーキハンドルのカラーマッチなどのディテールも事欠かない。

 オールドスクールでなおかつハイパフォーマンスを実現したかったJimは、2,110cc、ボアXストローク90.5X82mm、CBクランク、Engle FK8カム、Bugpack 1.4:1ロッカーアーム、Weber 48IDAキャブレターのメニューで組み上げた。リンケージはGene Berg。ブローバイキャッチタンクはRLR。ディストリビューターはボッシュ010。ケースをブラックアウトし、まさに当時の雰囲気が漂うルックスを実現した。トランスミッションも強化済みで、メインシャフトをスーパービートル用に変更。1stギア3.78、2nd 2.06、3rd 1.26、4th 0.89そしてファイナルは3.88だ。

やっぱりカルマンギアがいい20年目にたどり着いた大人のクーペ「1969 Karmann Ghia 143」

『LET'S PLAY VWs』はその名の通り空冷VW専門誌なので、当然数々のVWを紹介しているのだが、カルマンギアが複数台同じ号で紹介されることはここ久しくなかったのではないかと思う。今、アメリカではカルマンギアが再び来ているのだ。それもそのはず、兄貴格のポルシェ356は一般的な所得層にとってすでに不動産売買のような価格となってしまい、ポルシェ912などの4気筒ポルシェもすでに価格上昇で手遅れ感が否めない。

 ここに来てかつてのプアマンズ・ポルシェの呼び名であるカルマンギアが再びプアマンズ・ポルシェとしても注目を浴びてきているようなのだ。それより何よりかつてカルマンギアがブレイクしていた頃に憧れの存在として見ていた層や、幼少期にカルマンで育った環境にある人々が、今こそとカルマンギアを探し求めているケースが非常に増えてきているのだ。

 ここに紹介する1969年型カルマンギアはやはりカルマン歴の長かったオーナーが再び乗りたいということで新しく仕上げた1台で、この世代を代表する美しい純正カラー、オリオール・イエロー(L11K)を身に纏う。ベースは非常にストレートなコンディションであったが、ドアの立て付けなどカルマンのウィークポイントをキッチリとやり直し、リフレッシュされた。インテリアに関してはダッシュはウッドパネルを取り払いボディカラーとマッチング。シートはCorbeauスポーツシートをベースにVWマテリアルでカスタムメイド。モダンシートながら見事にカルマンに溶け込み、新しさも感じる1台に仕上がったのだ。

 今、日本にもあの時のようなカルマンブームが再び起きようとしている。あの時乗っていた、もしくは憧れていたカルマンを、いまこそ手にしてみないか?

 非常にクリーンにそして光り物を抑えたエンジンは、ストリートクルージングを目的に組まれた。2,110cc、ボアストローク90.5X82mm、DPRカウンタウェイトクランク、CBパフォーマンス5.4インチコンロッド、Mahleピストン、Engle 110カム、CB044ヘッド、キャブレターはWeber 44IDF。イグニッションはMalloryのUniliteディストリビューターHyfire V1。ブローバイ用のパイピングはすべてアルミパイプをカスタムファブリケーションして製作。非常にクリーンなルックに貢献している。

タイプ1の純正カラーをタイプ2にクロスオーバーさせて完成させた、シリコンバレークルーザー「1965 Type-2/265」

 今回紹介する1960年型タイプ2クルーキャブのオーナー、Jacin Ferreiraと出会ったのは数年前のVWクラシックのことだった。シリコンバレーでソフトウェアエンジニアとして活躍しているそうで、クラシックにはキュートな奥様と一緒に来ていて、2人とも相当のVW好き。そのときは実走行が3万マイルちょっとのフルオリジナルの1963年型タイプ1で奥様のAmiiがエントリーしていた。

 話を聞くと、この他にも1962年型のオリジナルインテリアのノッチバックも持っているという。さらに2人ともビンテージSchwinnバイクの熱狂的なコレクターだそうで、平日は最新の水冷VWをドライブ。週末は空冷VWでイベントに繰り出すことが多いという。これは相当な狂ったVW一家だなと、印象的だったことを覚えていて、いつも心の片隅で気になっていた人物だった。いつかは取材したいなと……。

 そんなJacinと2015年のOCTOで再会することになった。今回は、まだ生まれて数ヶ月のベイビーが増えていた。この1960年型クルーキャブは前日に完成したばかりで、何とかOCTOに間に合わせることができたとJacinとAmiiは嬉しそうに話してくれた。やはり相当狂っている。

 高いレベルでフィニッシュしているクルーキャブのボディカラーには、同年代のタイプ1純正カラーであるAnthracite(L469)がチョイスされた。よくよく見直してみるとこの年代にここまで濃いグレーカラーはラインナップされていないが、タイプ2の純正カラーといわれても全く違和感を感じないほどタイプ2にもよく似合うカラーではないだろうか。今アメリカでは同年代のVW他車種の純正カラーや、内装マテリアルなどをクロスオーバーさせて仕上げるカスタムがトレンドとなってきている。

 エンジンは1,600ccシングルポートをベースにストリートユースでストレスのないように40mmカドロンキャブレターを2機搭載してマイルドチューンが施され、トランスミッションも4.12ファイナルのタイプ1ミッションに換装。新しい家族Avaと一緒に週末のクルージングが待ち遠しいそうだ。

ステアリングはFLAT4バンジョー。

エンジンは1,600ccシングルポートにカドロン40mmを2機搭載。

カメラ:Shin WATANABE 渡辺慎介
テキスト:Shin WATANABE 渡辺慎介
媒体:LetsPlayVWs 48

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