2018.10.11

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

SURVIVOR「1962 Type 31/311」

欧米ではオリジナルコンディションが維持され、走行距離が非常に少ない、まるでタイムスリップしてきたような車両を「Survivor: サバイバー」と呼ぶ。今回は初期モデルとして素晴らしいコンディションで生き延びてきた1962年式タイプ3ノッチバックを紹介しよう。

Model : Type 31 Model 311 Model Year : 1962 Chassis Number: 0043159 Country of Destination : Sweden
Milage : Unknown Body Color : Gulfblue L390 Engine : 1493cc Max Power : 45hp Weight : 880kg

主な特徴(62'〜):VW初の1500ccエンジンが搭載
カラー : Gulf-Blue, Ruby Red, Pearl White, and Black
1961年9月からGreyカラー追加、1961年12月バリアントボディが追加
スチールスライディングルーフがオプション設定
サイドミラー形状の変更(6月)、タイプ34カルマンギアをラインナップ(9月)
生産台数 127,324台 プロトタイプが1959〜1960で製作

フルオリジナルのインテリアは、シートドアパネルの傷みが少なく大変クリーンな状態をキープ。もちろんフロアーもしっかりしており、カーペット類も汚れなく綺麗な状態。フロアーマットも当時物。ダッシュボードのひび割れ、ステアリングの劣化もなく新車当時へタイムスリップしたかのような風情を見せ、大変クリーンな内装だ。

1964年式までならではのスイッチ類が並ぶ。左からウォッシャー、ワイパー、調光、ポジション。ライトスイッチは、プッシュ式となる。

1964年式まで採用される太めのウィンドウモールが輝きを見せる。ラゲッジバーは入手困難なオプションパーツが備わる。

 VW社がタイプ3を発表したのは1961年9月のフランクフルト・モーターショーだった。年々増加していたミドルクラスの消費者層へ向け、次世代のVWシリーズ「VW 1500」として展示されたのは、2ドアセダンのノッチバックとバリアント、それにカブリオレ(これは結局実現しなかった)の3モデル。

 そして同月さっそく発売開始となったのは、ノッチバックの「VW 1500」と、同一プラットフォームから新たにデザインされたタイプ34カルマンギアだった。さらに間を置かず翌年1月にはバリアントが発売され、1965年8月にエンジンの大型化に伴って「VW 1600」へとシリーズの呼称が改まるとともに、ファストバックが追加された。

 1973年7月に生産終了となり、水冷のパサートにバトンタッチするまでの12年間で、タイプ3は250万台余りが生産された。タイプ1やタイプ2と比べるとマイノリティのように思えてしまうタイプ3であるが、実は十二分に売れていたし、VWが水冷にシフトするまでの期間を支えていたことは間違いないのだ。

 ここに紹介するノッチバックは、世界的に見ても大変希少な1962年式のスウェーデンモデルである。1961年モデルは9月発売で3ヶ月しか生産されなかったため、我々が目にすることはほぼない幻のタイプ3となっている。それだけにこの'62年モデルが、実質的に最初期。まさに、ここからタイプ3の歴史が初まったと言えるモデルなのである。

 基本的に1961年式から'63年式までに大きな変更点はなく、タイプ3ならではのコンパクトなエンジンレイアウトに、VWとしては初となる1500ccエンジンが搭載された。この年代までのVWでは、1500ccものエンジンはタイプ3のみにあてがわれ、まさに最高峰のVWと言える仕様であった。また、エンジンルール上部にラゲッジスペースが確保されたのも、タイプ3ならではの特徴だ。
 
 ボディカラーはオリジナルペイントのガルフブルー(L390)。艶が残り、美しい輝きを今なお放ち続けている。インテリアを見てみても、いかにも当時の高級車然としたブラック×ホワイトのクロスと、シルバーベージュのレザーが当時のままキープされ、美しいフルオリジナルの空間がそこにはあった。もちろんボディもヒットした痕跡のないストレートボディ。まさしく当時からのコンディションを完璧に維持してきた、サバイバーな1台である。

 それにしても近年はスカンジナビア半島から美麗なサバイバーが発見されることが多い。以前はあまりお目にかかれなかったスウェーデンモデルを、じっくりご覧いただきたい。

フロントフードに備わる細い「VW」と、リアフードにある存在感ある「1500」のエンブレムが輝く。共に1961年式と1962年式のみに採用された貴重なディテール。

エンジンは、1493cc シングルキャブ仕様の45馬力。オイルクーラーなど冷却系統をはじめとする補機類にレイアウト変更。エンジン全高が低く抑えられ、「パンケーキ・エンジン」の異名を取るほどコンパクトなエンジンに仕立てられている。リアのエンジンルーム上に蓋が付き、その上がラゲッジスペース。

カメラマン:Ryota-RAW SHIMIZU 清水良太郎
テキスト:Yuji OHSAKO 大佐古裕士
媒体:LetsPlayVWs 48

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