2019.01.17

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

世界中のヴィンテージイベントを渡り歩く、重度の空冷VW 信仰家。

カリフォルニア、シリコンバレーから「4. クラシシェスVW トレッフェン」に参加したMark Merrill氏は、世界中のヴィンテージイベントを渡り歩く、重度の空冷VW 信仰家。その驚異的なコレクションを紹介しよう。

 車両持ち込みでのエントリーは叶わなかったものの、今回が初めて日本のVWイベントに参加となったMark Merrill。Markもドイツで開催されるトレッフェンには必ず参加している重度の空冷VW信仰家である。Markはコンピュータネットワーク機器などのハードウェアのメジャーブランドであるネットギア社の創業メンバーで、現在でもチーフ・テクノロジー・オフィサーとして世界中を飛び回っており、その傍ら世界中のVWイベントに顔を出している。

 Markと弊誌『LET'S PLAY VWs』との出会いは、15年以上前にさかのぼる。当時Markは今でも専属メカニックにして、ヴィンテージ・ハイパフォーマンスパーツを製作しているRay Schubertと共に、サンノゼでVWプロショップVolks Authorityも営んでいた。しかしRayがショップの運営であまりに多忙なため、Mark自身のコレクションのレストアやメンテナンスに全く手が回らなくなってしまったことに嫌気がさし、ショップを躊躇することなく閉店。

 現在は完全プライベートコレクションとして北カリフォルニアのサンノゼ郊外のウエアハウスを丸々借り切り、100台近くのコレクションを納めて思う存分空冷VWをエンジョイしている。ビジネスで成功する前から空冷VWの世界にどっぷりと填まっていたMarkは、走行距離の少なく、オリジナル度の高いサバイバー、コーチビルドボディ、ミリタリーモデル、タイプ2、そしてオーストラリアやブラジルで生産されたモデルなどに惹かれており、特にコーチビルドに関してはロメッシュやダネンハウアー&スタウス、デンゼルなど7台も所有している。

 アメリカ国内のVWイベントにも積極的にエントリーしており、特に昨年南カリフォルニアで開催されたSo-CalVintage Treffenではロメッシュタクシーとビースコウ・コンバーティブルでエントリーし、多くのギャラリーを魅了した。

 現在Markのコレクションは基本的にはプライベートなので、一般公開されてはいない。しかし年に一度だけMarkのコレクションを体験するチャンスがある。毎年4月にサンノゼで開催されるVW Spring Meet at Kelley Park開催前の金曜日にオープンハウスが開催され、一般公開されているのだ。

 Markは特にコマーシャルユースや特殊車両のタイプ2に惹かれており、ファイアートラックを2台所有。さらに1959年型のBinzダブルキャブもコレクションしている。

専用ツールも揃えるボディワークエリアでは現在、ダネンハウアー&スタウスのレストレーションが進行中。木型を起こしてボディパネルを製作している。

2010年に自らのワークショップでフルレストレーションを完成させた、1957年型ロメッシュ・ビースコウ・コンバーティブル。ポルシェパーツを多用し1,414ccに排気量アップしたオクラサユニットを搭載。

ロメッシュがドイツでのタクシーユース向けにコーチビルドした、1953年型4ドアタクシー。

ベイエリアのレストランでオブジェとして使用されていた、本物のカットボディ。レストラン閉店の際に引き継いだ。

奥の棚は全てVWパーツ。シュビムワーゲンは2台所有。

 Mark Merrillがコレクションしている数々のVWの中でも、今最もお気に入りの1台が1958年型デンゼル・スーパースポーツだ。

 元モーターサイクルレーサーのWolfgangDenzelがデザインしたオープンスポーツカー、デンゼル。1948年登場当初はキューベルワーゲンシャシーがベースであったが、1952年になると、Denzelは、自社で開発した新しいチューブラー・フレームを使用するようになり、ホイールベースも大幅に短縮。アルペンラリーなど数々のレースで優勝。その名を馳せるようになる。

 その生産台数は1948年から1959年にかけて、僅か350台(諸説あり65台のみという記録もある)で、現存数も非常に少ないレアなモデルである。車両はもちろんだが、デンゼルオリジナルのヘッドで組まれたエンジンは、オクラサより遙かに現存が少ない上、リプロダクションもないので非常にレアなヴィンテージパフォーマンスVWエンジンなのである。

 デンゼルヘッドにソレックス40PII-4のツインキャブが組み合わせられた1281ccにエンジンは65hpを発揮。VWエンジンをベースにパフォーマンスを追求したパイオニアのモデルとして、今でもWolfgangDenzelを崇拝するものは少なくない。Mark Merrillもそのデンゼルの魅力に魅了されてしまった一人。現在もう一台レストアベースのデンゼルを所有している。

ステアリングはVWスタンダードモデルの3本スポークを使用しているが、ゲージ類は汎用または流用品でなく、ウルフガング・デンゼルオリジナルデザインだ。

ビートルやビートルベースのコーチビルドと比較すると、かなりゆったりした印象のデンゼル1300SSのコクピット。シートに収まるとその着座位置はかなり低く、さらにホイールベースも2,100mmと短いため、かなりスパルタンな印象だ。

 1948年に登場したデンゼルは、当初払い下げで調達したキューベルワーゲンのシャシーをベースにしていたが、1952年よりオリジナルのボックスチューブラーシャシーで、ホイールベースを2,100mmに短縮し、コーナリング性能を大幅に向上させた。さらにエンジンポート系がオクラサに比べてはるかに大きいデュアルポートヘッドをデザインし、性能ではポルシェを凌ぐという人もいる。

 現車はVWの2ピースケースに1,281ccの排気量でデンゼルヘッドが組み合わされ、ソレックスのPII-4キャブレターが2機備わる。最高出力は65馬力を発揮する。車体重量は僅か630kg。パワーウェイトレシオではポルシェに勝る。

 55リットルのキャパシティを確保しているガソリンタンクはデンゼル自身が製作したオリジナル形状である。スペアタイヤを納める以外のラゲッジスペースは、無いに等しい。

text & photo:Shin WATANABE 渡辺慎介
媒体:LetsPlayVWs 49

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