2019.01.30

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

その全てがドイツ製と違う1969 年型。「Let's play VWs 87 1...

1964 年、VWメキシコが設立され、ビートルは現地でパーツ調達、製造を行う完全現地生産を開始。ほぼ同じタイミングでドイツでは、1965 年モデルに大幅な変更が施されるが、メキシコでは1964 年ボディが1969 年モデルにまで継続使用され、1960 年代のメキシコ・ビートルはドイツ製と全く異なるものとなった。

 大型化されたライセンス灯ハウジング、しかし前後左右のウィンドウはまだ拡大されていない。パッと見は1964年モデルだ。しかしディテールをよく見てみると微妙に何かが違う。エンジンリッドの形状はライセンスプレート周辺のプレスが、まるで1967年型のようだ。さらにVW1500のバッジが装着されている。ドアハンドルはまるで1967年用だ。しかしその佇まいはどう見てもオリジナル……。

 現車は正真正銘の1969年型、しかも実走行僅か5万kmちょっとのフルオリジナル車。新車で購入以来1家族の元で大切に維持されているワンファミリーカー。資料的にも非常に貴重な1台である。

 メキシコでのVWの歴史は、1954年にまで遡る。メキシコで3月に開催されたドイツ工業振興会の展示会に、4台のVW(ビートルセダン2台とカブリオレ、タイプ2デラックスが1台ずつ)が持ち込まれたのだ。当時メキシコでは地続きのアメリカから輸入されたアメリカ車が主流で、それに比べてはるかにコンパクトなVWは、当時のメキシコ大統領がわざわざ視察に訪れるほど大きな反響を呼んだ。メキシコでビートルはすぐに市民権を得て、1961年には早くも現地生産を開始する。

 当時メキシコ政府は税制面で現地生産車を大幅に優遇しており、VWはドイツで全てが生産され、CKD(コンプリートノックダウン)キットとしてパーツの状態でメキシコへ送り、最終アッセンブリーのみ現地で行う方法で、税制面での優遇を得ることができたのだ。しかし、その後レギュレーションが厳しくなり、完全現地生産の必要性が高まり、VWは1964年にVWメキシコを設立。現地で全てを生産するための工場建設を開始する。現在VWの最新鋭工場として稼働しているプエブラプラントは1967年から稼働を開始。ビートルの生産はドイツ、エムデンプラントで生産が終了した1978年以降もプエブラ工場で2003年まで続いたのであった。

 この1969年型に話を戻すと、1968年後期にエンジン排気量が1,200ccから1,500ccまでアップ。また電装系も6Vから12Vへ変更された。これに伴い、クリアランスを確保するためにエンジンリッドのデザインが改良され、ライセンスプレート周辺がフラットなデザインとなった。興味深いのはドイツモデルの1967年用リッドを使用しなかったことで、これはプレス型の変更を最小限に抑えたかったのであろうか。

 そして1970年に入るとフロントフェンダーとバンパーがレイトモデルに変更。1971年にはボディのウィンドウ面積もようやく拡大され、見た目でドイツ製に追いつくことになった。したがってこの1969年はメキシコにおいて1,500cc、12V電装系が備わるヴィンテージモデルとして人気が非常に高い。

 この1969年型はメキシコシティ郊外在住の現オーナー、CarlosFernandezVarelaのお父様が新車で購入。父親の元で36,000kmがドライブされ、父の他界後Carlosの元へ引き継がれて15,000kmが刻まれ、実走行が5万kmちょっとというフルオリジナルコンディションがキープされている。ここまで走行距離が少ない個体はもちろんメキシコでも非常に貴重で、VWプエブラ工場で2003年のビートル生産終了や2014年のVWメキシコ50周年の記念イベントにも駆り出されている。

インテリアは基本的にドイツモデルの1964年型に準じているが、ステアリングには半月ホーンリングが装備。ドアパネルのカラー、シートのマテリアルとパターンがドイツものと異なる。メキシコでは1969年型が日本やアメリカでの1967的存在で人気が高い。

新車の時から大切に保管しているオーナーマニュアル、メキシコのサービスマップ、ドキュメントフォルダー、そしてVolkswagen刺繍入りのウエス。

エンジンリッド自体は1964年モデルがベースになっていることは明らかだが、ライセンスプレート周辺のプレスがまるで1967年モデルのようにフラットになったのは、1968年後半から。エンジンが1,500ccへ排気量アップし、電装系が12Vにアップグレードされたのに伴う変更だった。

km表示のスピードメーター、燃料系の配置もドイツモデルの1964年モデルに準じたまま。

エンジンは1,500ccでドイツモデルに準じた53馬力を発揮する。

text & photo:Shin WATANABE 渡辺慎介
媒体:LetsPlayVWs 49

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