2019.02.07

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

カナダ初上陸の1台、Zwitterの陰にはあるが実は見どころ多き'53 オーバル

 VWビートル史において、1952年後期から1953年は非常に不可解な年であったといえる。1955年までは、年始めにモデルイヤー(年式)が切り替わってきた(1955年以降は8月に切り替わる)が、VWは1952年モデルも末期に差し掛かる10月にはダッシュパネルデザインを一新、バンパー形状の刷新、ホイールサイズを16→15インチへ変更、さらに2-4速ギアのシンクロ化など、多岐に渡る大幅な変更を行ったのだ。

 そして年式が変わった翌年も、すでに1/3が経過した4月にリアウィンドウがスプリットからオーバルへと切り替わることになるのだ。筆者が想像するに、モデルチェンジに関して当時マーケティング的な戦略は存在せず、単純に在庫していたパーツのせいか、オーバル用のカーブドガラスの調達が遅れてしまったでせいではないかと考えている。

 そのような理由でスプリット(Zwitter)世代の1952年後期と1953年前期、そしてオーバル世代の1953年後期は、どれも短期間の生産で自ずと台数も少なく、現在では非常にレアな存在となっている。

 現車「1953 Type 11C」は、オーバル世代に切り替わった1953年型後期モデル、しかもカナダ市場へはじめて輸出された7台のうちの1台で、ボディカラーはこの年のみのL19アトランティックグリーン。実走行僅か4万8,500マイル(7万7,000km)という素晴らしい程度の個体である。このオーバルは外装のみリフレッシュ、インテリアに関してはオリジナルペイントが残されており、南カリフォルニア在住の現オーナーBob Sowersbyは、現車を15年前にカナダのVWディーラー、スピードウェイ・モータースから引き継いできた。

 初代オーナーは、バンクーバーアイランドに所有していた別荘での足としてこのオーバルを20年間所有。ごくたまに近場のドライブに使用していたそうで、初代オーナーが他界して新車でこのオーバルを販売したディーラーに出戻ってきた後、28年間ディーラーで動かされることなく展示されていたヒストリーを持つ。それを現オーナーのBobが友人を介して引き受けることになり、以後南カリフォルニアのヴィンテージカーイベントなどにエントリーしながら大切に維持しているのだ。

 スペアタイヤエリアには工場でアッセンブリー中に書かれた、カナダ向けを示すクレヨンの走り書きが残る。またマニュファクチャラープレートもVWカナダのものに交換されているのが興味深い。ドイツとカナダどちらで交換されたかは不明。

オレンジカウンティ在住のオーナーBob Sowersbyの普段の足は、なんとW12気筒のフェートン。まさに究極のVW Guyなのだ。

 ダッシュ、ドア共に、インテリアサイドのペイントはオリジナルのままで維持される。シート、ドアパネルなどはウエストコースト・クラシック・レストレーションで仕上げられた。速度計の左側にスターターボタンが備わるのは、Zwitterと1953オーバルのみの特徴。

 エンジンは1,131ccの25馬力エンジン。1953年12月に排気量が1,192ccへアップされ、36馬力にアップデートされる。マニフォールドのヒートライザーも右側の回り込み方が角張る1953オンリーの形状である。ファイアウォールのボードにも工場で入れられた赤字が残る。

 ダッシュにはMotometerのラリーゲージを装着。ラジオはBlaupunktに北米仕様のFMとAMセレクトボタン。さらにBlaupunktのショートウェーブアダプターも備わる。全て年代マッチパーツで揃える拘りようだ。

 フロントスペアタイヤには、年式マッチ1953年製のHazetのツールキットが備わる。1953年にはフロアジャッキはリアシート下に移動するが、翌年再びスペアタイヤリアに戻ってくる。マーシャルのドライビングライトも1953年製で揃えた。

text & photo:Shin WATANABE 渡辺慎介
媒体:LetsPlayVWs 49

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