2019.02.08

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

その姿は、まるでタイムスリップしてきた車両「SURVIVOR」。

欧米では、オリジナルコンディションが維持されて走行距離が非常に少ない、まるでタイムスリップしてきたような車両を「Survivor:サバイバー」と呼ぶ。今回は初期モデルとして素晴らしいコンディションで生き延びてきた、1969年型タイプ3 ノッチバックを紹介しよう。

 1961年のフランクフルトショーでデビューを果たしたタイプ3は、ビートルを超えるヒット作とまでは行かなかったが、タイプ1よりも上級車種という位置づけで市場からも一定の支持を得て、文字通り第3のモデルとして1973年まで生産が続けられた、比較的息の長いモデルである。デビュー当初セダン(ノッチバック)のみであったボディスタイルは、翌年にステーションワゴンボディのバリアント、1966年モデルに入るとファストバックボディもラインナップに加わる。

 1970年モデルでは、ボンネットやバンパーのデザインに大幅な手が加わえられるモデルチェンジが行われ、一般的には'69モデルまでをアーリー、'70年モデル以降をレイトモデルと区分けしている。1973年まで250万台が製造されたタイプ3のオフィシャルのボディタイプ別詳細生産台数は、なんとVWにも残っていないが、最も人気があったのはバリアントが120万台、これにノッチバックとファストバックが合わせて130万台程度(両車の比率はほぼ同じという説が一般的)といわれている。

 今回紹介する1台は、アーリーモデルのタイプ3としては最終年に当たる1969年型で、オランダに出荷された記録が残るヨーロッパ仕様のノッチバックだ。しかも生産台数では圧倒的に少ないATミッションを搭載する1台ということに加え、実走行距離は僅か6万6,180km。外装はリペイントされているものの、インテリアに関してはカーペットからシートに至るまで、当時のオリジナルが残されている、まさにサバイバーと呼ぶに相応しい個体である。

 シートやヘッドライナーは破れもなく製造から47年が経過した車両とは思えない程、新車のような状態が保たれている。クラックが入っているケースが殆どのオリジナルのダッシュボードも、まるで工場からラインオフした手のようなしっとり感が、写真からも伝わってくる。

 1968年モデルからタイプ3に用意されたフルオートマチックトランスミッションだが、前年までのスイングアクスル方式からダブルジョイント式のセミトレーリングアーム方式のIRSに改められたのを受け、ATミッション車も1969年モデルより、リアサスペンションが刷新された。ATミッション車は当時タイプ3のトリムレベルでも最高級という位置づけで、エンジンは1,584ccにソレックスの32PDSツインキャブが与えられる贅沢なものであった。

 ちなみに1968年モデルからタイプ3のエンジンには、インジェクションの搭載が選択可能であった。仕向地によって名称は異なるが、ボッシュDジェトロニック・インジェクションが搭載されるモデルには、1600Eまたは1600TEやLEなどの呼称が与えられている。ただ出力はツインキャブよりも若干低かったため、トリムレベル的にはツインキャブ搭載車が依然として最高グレードとなっていた。

 タイプ3には、デビュー当初からビートルより大きめの排気量が与えられた。またビートルには最後まで設定されることがなかったツインキャブレターの設定も存在する。1968年からはビートルに先駆け1,600ccの排気量がラインナップ。キャブレターは32PDSのツインで与えられ、65馬力を発揮した。

ヨーロッパ仕様である現車のリフレクターは、ハウジングがボディサイドに回り込むデザインが特徴で、アメリカ仕様のものより長い。

ドアパネルおよび、シートカバーは当時のオリジナル、ガアラレッド。刻印319103445から1968年12月に製造されたモデルと分かる。

オリジナルのVDO3連メーターとオリジナルステアリングが備わるノッチバック。当時のオプションパーツ・パーセルシェルフが備わる。

 現車は非常に珍しいフルATを搭載する1969年モデルで、インテリアはフルオリジナルを維持している。日本に輸入された際に外装のみ、リフレッシュされている。北米、日本向けの1969年モデルのシートにはヘッドレスト一体のシートが採用されるが、ヨーロッパモデルはローバックシートが継続使用された。

カメラ:Masaya-ABE 阿部昌也
テキスト:Jun ISHIHARA 石原淳
媒体:LetsPlayVWs 49

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