2019.02.19

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

The California Look「1967 Rip Van Winkle」

時代や世代の移り変わりととも思い描かれる"Cal Look"の姿は違っても、Cal Lookは世代を超えた空冷VWシーンの大きな潮流として、今現在でも脈々と流れ続けている。『Let's Play VWs』では今回、Cal Look創世記に誕生し、今に蘇った2台をお届けする。

30年の眠りから目覚めたCal Lookは、1980sのタイムカプセルだった

 50-60年代からVWをベースにしたHot Rod、ハイパフォーマンス化のカスタムは存在していたが、『Hot VWs magazine』が1975年2月号で提唱した"Cal Look"は、その後の空冷VWの世界に大きなインパクトを与えた。そんなCal Look創世記に誕生し、今に蘇ったこの車両は、カスタムナンバープレートにも入れられる車両のニックネームとなっている「RipVan Winkle」(リップ・ヴァン・ウィンクル)とは、1820年に小説家ワシントン・アーヴィングによって書かれた短編小説、そしてその主人公の名前である。日本でいうと浦島太郎のような存在で、酒盛りをして酔っ払い、ぐっすり眠り込んでしまった間に20年もの歳月が流れてしまっていたというストーリーだ。

 今回登場願った1967年型タイプ1は、まさにそのRip Van Winkleよりも長い、30年もの間手がほとんどつけられることなく眠り続けていたCal Lookで、装備されているエンジンやインテリア、エクステリアに至るまでが30年前に準備されたもので組み上げられており、まさにこの1967年型は、Cal Lookが生まれて間もない1980年代からタイプスリップしてきたかのような1台なのである。

 オーナーのSteve Walkerは、1970年代に友人が所有していたタイプ1をベースにOrangeCounty Car(Cal Lookという言葉が生まれる前は、こう呼んでいたそうだ)を製作したのがキッカケで、空冷VWの世界に魅せられる。1977年、Steveは1953年型コンバーティブルを手に入れ、バンパーレス、BRMホイール、そして自ら組み上げた1,776ccエンジンを積んで、まさにCal Lookの王道と呼ぶに相応しいスタイルで仕上げる。Cal Lookの魅力にどんどん引き込まれていったSteveは1980年になると1967年型セダンをたったの500ドルで手に入れた。そう、それが今回紹介するRip Van Winkleなのである。

 Steveはこのロクナナのプロジェクトを進めるに当たり、パーツの収集を開始する。ホイールは当時まだ新品で手に入れることが出来たアメリカンレーシングの5スポークマグネシウム、シフターはハーストのウッドボールクイックシフター。さらにフロントシートはポルシェ356用、そしてリアシートはセンターアームレストが備わるタイプ3用をタイプ1にフィットするようにモディファイ。ダッシュパネルに収まるアフターマーケットのBlaupunkt製ラジオカセットも、1980 年代のもの。入手したパーツのほとんどは当時に普通に手に入れることが出来たものばかり。でも、その中で1,776ccで組まれたエンジンに使用されているパーツは、今となっては玉手箱を開いた状態だ。

 当時容易に入手することが出来たメキシコ製の新品ケースをベースに、クランクシャフトはBergのカウンターウェイト、ピストンはBergがモディファイした90.5mm、キャブレターはWeber42 DCNF-9 Bergスペシャル。そう、このエンジンは今は亡きGene Berg本人によって手がかけられたパーツをふんだんに使って組まれているのである。極めつけは、Gene Berg 本人が生前にポート加工を行ったセミヘミスフェリカル形状の40X35.5ヘッドで組まれていること。

 Gene Berg本人の息がかかった新品のエンジンを手に入れる。これはCal Look愛好家がどんなに望んでも、もはや叶わない夢でありSteve が当時入手したパーツを大切に保管していたからこそ、成せたのである。Steveは1980年代クラシック&レーシングポルシェのレストレーションショップを自ら営んでいたたが、顧客のプロジェクトに時間を追われ、自身のCal Look製作をなかなか進めることが出来なかった。

 ボディのペイントを行ったのが2001年。そして完成までにさらに15年。気がつけば完成までに30年以上もの月日が流れていたのである。こうして2016年6月に開催されたDKPクルーズナイトで30年越しのデビューを果たすことになったSteveのロクナナRip Van Winkle。Cal Look創世記時代のリアリティに溢れる仕上がりはDKPクルーズナイトを訪れたギャラリーを釘付けにし、栄えあるDKPクラブチョイスアワードに選ばれた。

 極めてシンプルであるが、要所要所をキッチリ押さえているインテリア。ほぼすべてが1980年代に入手したパーツだが、唯一例外のステアリングはFLAT4のGTステアリングをチョイス。1980年代によく見ることが出来たBlaupunkt製カセットラジオカセットも、当時の雰囲気を重視するためにそのまま装着された。

リアシートはセンターアームレストが備わるタイプ3用をベースに、フレームをモディファイし、タイプ1にフィッティングさせている。

フロントシートはリクライニングが備わる、ポルシェ356用をインストール。VWのシートレールに装着できるようフレームをモディファイしている。

装着されるキャブレターはGene BergスペシャルのWeber 42DCNF-9。マニフォールドはGene Bergによってポート計のマッチングも施されたBerg DCNF。キャブのGary Bergによって再チェック、セッティングが行われた。

ホイールは当時新品で入手したアメリカンレーシングの5スポークマグネシウム。前後ともに15インチの5.5J。

text & photo:Shin WATANABE 渡辺慎介
媒体:LetsPlayVWs 50

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