2019.04.17

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

DIYプロジェクトで成し遂げた、Canadian Look「1955 Type ...

1957年型オーバルを、不運な事故で愛車を失ったJosh Buchan。打ちひしがれていたときに、バンクーバーで作業半ばで放置されていた1955 年型オーバルのプロジェクトカーと出会う。気持ちが高ぶったJoshはほとんど衝動買いでオーバルを手に入れたが、その後には気の遠くなるような試練が待ち受けていた……。

 カナダ西海岸のブリティッシュコロンビア州ビクトリアで、オフィス&一般住宅向けの空調設備の会社を営むJosh Buchan。幼少期に母親が空冷VWをドライブしていたことから、気がつけば自身もVWフリークとなり、免許を取得してからは10台以上の様々な空冷VWを所有してきた根っからのVW Guyである。現在でも今回紹介する1955年型ラグトップ以外に1958年型カルマンギア、1956年型タイプ2コンビも所有しており、これまで頭の片隅から空冷VWが離れたことは一度もないというほどのVWフリークだ。

 Joshと55ラグトップとの出会いは10年前まで遡る。当時2,332ccのビッグモーターで1/4マイルを11秒前半で駆け抜ける1957年型オーバルを所有していたが、不運の事故で愛車を失うことになる。心打ちひしがれていたその後、バンクーバーでプロジェクト半ばで放置され、For Saleとなっていた55ラグトップを偶然見かけたのだ。気持ちが高ぶっていたJoshはディテールを慎重にチェックすることもなく、55ラグトップの購入を決意する。しかし、これが泥沼に填まってしまう入り口だったのだ。

 プライマーの状態でボディワークも完了し、一見レディtoペイントかと思われた55ラグトップ。しかし自宅ガレージに引き上げてきた時、Joshは55ラグトップのボディ一部のチリが合っていないことに気がつく。良く見てみるとパテが相当盛られていた。パテを剥がしていくと、かなりいい加減に施された板金痕や、交換済みのヒーターチャンネルも取り付け位置が間違っており、とてもじゃないけどこのままペイントして組み上げられるような状態ではなかったのだ。

 Joshはラグトップの部分だけ切り離してパーツ車として売却してしまおうか悩んだが、なんだかんだ言っても目の前にあるのは貴重な1953 〜55年のオーバル前期モデル。Joshは全てをやり直そうと決心した。しかし当時はまだ上質な初期モデル用のリプロボディパネルもなく、地道に程度のいいパーツを探すかNOSを探し当てるしか方法がなかった。財力はもちろんだが気力も必要であった。

 「これまでエンジンやトランスミッションリビルトはさんざん経験しているけど、クルマのメタルボディワークは初めて。でも仕事柄、溶接の経験はあるので、自分で板金にチャレンジすることにしたんだ」。とJoshは当時を振り返った。

 問題のあるセクションは全て取り払われ、新たにインストールするボディパネルはジャーマン製に拘り、何度も仮組みを行いながらチリを合わせて完璧にオリジナルな寸法を再現した。もうここまで来ると、全てのプロセスを自ら行わないと気が済まない! ということでJoshは未経験にも関わらず、自宅ガレージにペイントブースを設けて自らスプレーガンで塗装吹き付けを行うことになる。

 カラーは同年代のポルシェ、VWの純正カラーから悩んで、1955年モデルのカブリオレ専用色であった「L322 Silver Granite」をチョイスした。そのペイントのフィニッシュレベルは、これがガレージプロジェクトであったことなど、誰も信じることは出来ないほどのコンコースレベルを実現している。ただし、Joshはさすがにいきなりぶっつけ本番での塗装は不安だったので、Manxバギーを購入してペイントの予行演習まで行ったそうだ! 

 こうしてJoshの情熱と愛情がタップリ注がれ、宝石のような仕上がりを実現した55ラグトップのボディには、ロールケージがビルトインされ、2,332ccエンジンを搭載したシャシーとマリアージュ。仕上げのホイールはErcoをスターカット加工。そしてインテリアは、ドイツから仕入れたスプリットウィンドウ用のHellgrauでコーディネイト。55ラグトップはまさにCanadian Lookに相応しいオーラが放たれることになった。

DTMファンシュラウドが目を引く2,332ccエンジンは、AS21 Case94mm × 84mmボアストローク、圧縮比は10.1:1、Scat 5.5 ChromoH-Beamロッド、FK46カムシャフト、1.45:1 Bergロッカー、Jay Ceeモディファイ51.5mm IDAキャブレター、電装系はMSD 7AL、 MSDDizzy、MSD HVCII Coilがチョイスされた。ファンシュラウド背後にマウントされるオイルブリーザーボックスは、自作によるカスタムメイド。

Ron Lumusの4130クロモリ・ロールケージに、シンプソンのハーネスでスパルタンながらクラシカルな雰囲気が漂う。シートのマテリアルは、スプリットウィンドウ世代のHellgrauをチョイス。ステアリングはオリジナルのEMPI GT。シフターはGene Berg。ダッシュにはAuto MeterのSport Compタコがセットされ、シフトライトはラジオグリル内におさめられた。右リアフェンダーに装着されるのはカナダ仕様のみに装着された、VWエンブレムだ。フロントフードのクレストはケルンのバッジに変更。

マフラーは1 3/4"プライマリーステンレス、Josh自身がカスタムメイドした。ホイールはErcoをスターカット加工。フロント3.5J、リアは6.5J。ブレーキはJamarのビレット。

幼少期から空冷VWと過ごしてきたオーナーのJosh Buchanは、ビジネスオーナーと2児のパパとで忙しい合間を見て、大好きなVWをエンジョイしている。

text & photo:Shin WATANABE 渡辺慎介
媒体:LetsPlayVWs 51

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