2019.04.08

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

改めて振り返る、"ロクナナの魅力"を再考する。

通称「ロクナナ」の名で広く親しまれている、1967 年式のタイプ1。電装の12V化を中心として、大幅なモデルチェンジを果たし、細かなバージョンアップの連続であったフォルクスワーゲン・タイプ1 の長い歴史の中でも、ひときわ大きな区切りとなるモデルだ。

 ロクナナは、USと日本仕様で電装系がそれまでの6Vから、標準仕様として現代でもそのまま通用する12Vに切り替わるという、タイプ1の歴史の中でも非常に重要なターニングポイントに位置する。そのほかにも過渡期ならではの、この年式だけのディテールが随所に見られることもあり、世界中に多くのファンがいる。

 ここでご紹介するのは、『FLAT4』がストックするサバンナベージュ(L620)のロクナナ。オリジナルのディテールが数多く残っており、状態の良いベースから時代考証も踏まえたレストアが施されていることが窺える。この個体を例に、ロクナナの代表的な特徴を見ていこう。

 1966年8月から67年7月までにウォルフスブルグで生産されたタイプ1が、いわゆる1967年式モデルとなる。この期間の中でも仕向け地によって仕様が異なるので、一概に語ることは難しかったりする。幸いに、この個体は我々が「ロクナナ」として思い浮かべるディテールを、ほぼ全て兼ね備えている。

 最大の特徴は、US&日本仕様では12V化と同時に、ヘッドライトの形状がフロントフェンダーのラインに沿ったスロープスタイルから、直立型に変更されたこと。なおかつ、ダブルバンパーを備える最後のモデルでもある。直立型ヘッドライトとダブルバンパー、ヴィンテージVWの味わいと、現代の交通事情でも安心して走れるパフォーマンス、双方の魅力を持ち合わせているのである。

 しかし、かつての日本では、誰もがこの精悍で趣きある姿を認めている訳ではなかった。直立型ヘッドライトを備えるフロントフェンダーや、切り詰めたデザインに一新されたリアフードなど、ロクナナのアイコンとも言うべき箇所を交換し、66年式までの6Vスタイル(バケロク)の格好のベース車とされていた時期もあったのだ。
 ロクナナならではのスタイルが日本で広く認知され、愛される契機となったのは1986年、富士スピードウェイで開催された「FLAT4 FAMILY DAY7」(今号の特別付録小冊子をご参照いただきたし)。このイベントでドラッグストリップを駆け抜けた1台のドラッグレーシングカーだった。バンパーが外された白いストックボディーにMIKESMITHと大きくドライバー名がレタリングされた1967年式タイプ1。当時アメリカで絶大な人気を集めており、NHRAや伝説のVWイベント「BugIn」でトップを争う1台だった。多くのVWフリーク達が本場の圧倒的なパフォーマンスを目の当たりにしたことで、ロクナナへの認知度が加速した。
 かく言う筆者も、当時ロクナナの格好よさを刷り込まれたことから、今回ご紹介する個体と同じサバンナベージュのUS仕様セダンを現在所有している。キャルルックスタイルからストックの姿に戻してみようかと数年前よりパーツを探し続けてるものの、思うように見つからず、計画はストップしたままである。
 ロクナナはキャルルックだったりバケロクだったり、カスタムされた個体が多く、本来のディテールが失われた姿からオリジナルの姿に戻す作業は、思いのほか困難を極める。なぜならロクナナオンリーのパーツが多く、その流通量が絶対的に少ない。また、直立型ヘッドライトが備わるフェンダーはUSと日本にしか正規輸入されておらず、本国ドイツをはじめ欧州では、前年式までのスロープスタイルヘッドライトが備わっていた。さらにパイプ形状が他と異なるダブルバンパーは67年式のみに装備されたものだ。世界中を探しても流通量が圧倒的に少ないこれらのパーツの入手は、今なお増え続けているヨーロッパ各国のロクナナ・フリーク達との競合となるため、コンディションの良いダブルバンパーやフェンダーの相場は年々エスカレートしている状況だ。
 そんな貴重なオリジナルスタイルのロクナナが、生誕から50周年を迎える今年、ロクナナの魅力を日本で広く認知させるきっかけを作ったFLAT4によって仕上げられたと。ロクナナと、そのディテールの数々を、次のページでさらに詳しくご紹介しよう。

ロクナナのディテールをチェック

フロントフェンダーやリアフード以外にも、1967 年式タイプ1には1年だけ採用されたディテールが、数多く存在する。ロクナナのディテールを画像とともに、わかりやすく解説しよう。

フェンダー&ホーングリル:
ヘッドライトの形状変化に伴いフロントフェンダーの形状も変更された。'68年以降のスタンダードモデルのフロントフェンダーともホーンリングの位置が違うことから、これもロクナナオンリーとなる。

ラゲッジコンパートメント:
フロントフード内に給油口が備わる最後のモデル。スペアタイヤには66~67年式専用の、VW純正オリジナルホイールが残されている。

ドアハンドル:
プッシュボタンの形状が、スクエアから円形になったアウタードアハンドルも、ロクナナ専用(66年式一部にも採用)。なおUSモデルはパッセンジャーサイドに鍵穴が無い。

リアバンパー:
ロクナナ専用ダブルバンパー。丸パイプのボウの形状が、前年の型と比べて中心に向かって斜めに、なだらかに落ちる。ただしロクナナ初期の中には、前年モデルのバンパーがキャリーオーバーされていたケースも見られた。フロントバンパーのボウもロクナナ専用で、フロントフード付近が前方に張り出すような曲がりがある。

エンジンルーム:
左右それぞれに伸びるエアクリーナーやヒートパイプは、ロクナナのみに採用。リアエプロンの形状もロクナナオンリーの特徴となる。

オリジナルスタイルのレザーレットマテリアルで張り替えられた、シートカバー(バスケットウィーブ)とドアパネル。また、ロクナナのみのVW純正オプションであったリトラクタブルシートベルトが、Bピラーに固定するストッパーともども残っているのは貴重だ。ウィンドウクランクハンドル、インナードアハンドル、そしてドアロックノブもロクナナ専用。

USモデルのダッシュパネルには、BENDIX製のSAPPHIRE V(AM)またはVI(AM/FM)ラジオが備わっていた。仕向地によって採用されたラジオのブランドは異なり、日本仕様にはナショナル(現パナソニック)製AMラジオが装備されていた。さらにノブ類のデザインもロクナナで刷新されている。ベントウイング(三角窓)そのものの形状は65年式以降最終モデルまで同じだが、レバータイプのロックは65~67年式のみの特徴である。

VW sisty-seven Parts Selection

ロクナナオンリーのパーツや、67 年式を含む狭い年代向けのパーツも数多くラインナップしているFLAT4。ここではそんなアイテムの中から、ロクナナオーナーにおすすめのものをセレクトしてご紹介しよう。

VW純正(GENUINE) ステンレススティール アウタードアハンドル(GOOD USED) W/キー:
VW純正品で専用キーが付属。 ¥16,000-(取材当時)

ブレーキフルード リザーバータンク:
67専用のブレーキフルードリザーバータンク。独特のシェイプまで忠実に再現している。 ¥2,800-(取材当時)

ストックシフトレバーコンプリートKIT φ7mm アングルタイプ:
VW純正の形状を忠実に再現したタイプ1の61~67年式用ストックシフター。 ¥6,800-(取材当時)

カメラ:Junichi OKUMURA 奥村純一
テキスト:Koichi ENDO 遠藤幸一
媒体:LetsPlayVWs 51

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