2019.04.19

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

スピード狂は、VWの世界にも。「VW Land Speed Record 36h...

自動車がこの世に生まれてから、人間達はスピードに夢をかけてきた。ひたすら伸びる直線、海岸、飛行場、ドライレイク……、広大エリアを利用して最高速に挑戦し、記録と自動車の性能を塗り替えてきたのだ。スピードへの憧れ。空冷フォルクスワーゲンの世界でも、最高スピードへ挑む者が出てきたのはごく自然な流れなのであった……。

1959年にはじめてVWがボンネビル・ソルトフラッツに登場。ドライバーはPhil Fruedigerで1955年型で時速108kmを記録した。

 フラットな海岸、飛行場、ドライレイクなどの広大エリアを利用して記録に挑むランド・スピード・レコード(最高速トライアル)。人類は自動車が発明されてから、常にスピードを追い求めてきたが、ランド・スピード・レコードに初めて挑んだのは、フランス人レーサー、Gaston deChasseloup-Laubatといわれている。当時の記録はわずか時速62.79km。

 当初ヨーロッパとアメリカでランド・スピード・レコードといえば、フラットな砂浜の海岸で行われることが多かったが、スピードが高まるにつれ砂浜での最高速チャレンジは危険度が高まり、1930年代に入ると舞台は干上がった湖へ移されることになる。特にユタ州のボンネビル・ソルトフラッツは、260平方キロメートルに及ぶ広大な干上がった塩湖の平原で、ランド・スピード・レコードには最適であったのだ。

 ここボンネビルではまるでロケットが横向きになってタイヤが備わったかのようなレースカーが、時速1,000kmオーバーのレコードを樹立している。現在ランド・スピード・レコードはアメリカだけでなくドイツ、イギリス、スイス、オーストラリア、南アフリカなどで開催。記録には最低1.5マイル(2.4km)の真っ直ぐなトラックが必要となり、通常のレース施設での開催が難しいため、飛行場の滑走路、ドライレイク、そして時には凍った湖が舞台となる。

 アメリカで記録として残っているVWのランド・スピード・レコードは、1954年にDickKatayanagiがドライブした1953年型タイプ1が記録した、時速98㎞が最初とされている。以後60〜90年代にかけて様々なVWレーサーがランド・スピード・レコードに挑んでいるが、特にDean LowryはEMPI在籍中のときからボンネビルでランド・スピード・レコードに挑み、Deano Dyno-Soars設立後も兄弟のKen LowryとSchleyブラザーズと共にソルトフラッツで時速250kmオーバーを記録している。

 現在開催されている「36hp & Big Block VW Challenge」は、これまで個々で行われてきたVWランド・スピード・レコードを記録としてキッチリ残して盛り上げていこうという趣旨で、2005年にBurly Burlileによって設立されたシリーズだ。アメリカではMojave Miles、El Mirage、Colorado Mile、そしてボンネビルのソルトフラッツで開催。特にボンネビルでは毎年9月にユタ・ソルトフラッツ・レーシング・アソシエーション(USFRA)主催のWorld of Speedに組み込まれている。さらに今ではヨーロッパやオーストラリアで開催されるランド・スピード・レコードイベントも「36hp & Big Block VW Challenge」としてスケジュールに加えられている。

 「36hp & Big Block VW Challenge」はエンジンタイプによって大きく4つのクラスに分けられている。中でも25/36馬力のスタンドエンジンで挑む「36hpチャレンジ」は、2014年にDarrell VittoneがInch Pincherレプリカで参戦して以来、大いな盛り上がりをみせている。

 「36hpチャレンジ」は、ストックエンジンのSS、シングルキャブのDSS、1970年以前の過給器、1965年以前インジェクションが使用可能なK36、そして基本的には無制限なNA36と、エンジンのチューニングレベルによって4クラスに区分けされている。チューニングクラスの排気量は無制限であるが、シリンダースタッドの位置を変更することは許されていないので、自ずとエンジンサイズには制約が掛かるというわけだ。NA36クラスのエンジン出力はスタンドエンジンベースにも関わらず、今では250馬力オーバーを実現しているのも驚異的。

 2017年シーズンはいよいよ、スタンドエンジンで時速300kmの壁を突破するのも夢ではない。

1960年に登場したDick Bethの1958年型は、ホームメイドのマニフォールドでツインキャブ化してパワーアップ。トップスピードは、レコードとなる時速130kmに到達した。

1962年にはオクラサヘッド、ツインキャプを備えた1954年型で挑んだMel EllisとJohannes Gosvigは、時速151kmでレコードを更新した。

1960年にランド・スピード・レコードを樹立したDick Bethは、半世紀たった現在でも、ボディをストリームライン化して大幅にモディファイし、Buglinerでソルトフラッツを走る。

VWアメリカはTheビートルのGSRモデルをベースに、ランド・スピード・レコードレースカーを製作し、ソルトフラッツに挑んだ。2リッターターボで時速328kmに到達した。

2016年のソルトフラッツには、1,835ccのビッグブロッククラスでフォーミュラVeeのエントリーもあり、時速198kmを記録。その前のオーバルはWW製オクラサキットで、時速129kmをマーク。

ビッグブロックカテゴリー2,332ccエンジンで、ソルトフラッツに挑んだBritt Grannisの1969年型カルマンギアは、時速250kmオーバーをマークする。

Darrell Vittoneは、最高スピード262.72km/hスタンドエンジンで記録更新!

Darrell Vittoneの36hpチャレンジ・カルマンギアは、2016年10月8-9日に開催されたMojave Magnumで36hpチャレンジ最速記録をさらに更新! 25馬力エンジンベースでなんと時速262.72kmという、とてつもないトップスピードをマークした。Darrell Vittoneは時速170マイル(272km)突破を目指し、2017年シーズンに挑む予定。本誌『LET'S PLAY VWs』でも引き続きチャレンジを追っていく。

飛行場の滑走路を利用してスピードトライアルが行われる、Mojave Magnumに挑んだDarrell Vittone。ターボを搭載した25馬力エンジンは、シャシーダイナモで265馬力を発揮し、ノーマル比10倍以上のパワーを得ている。

Darrell Vittoneがドライブする36hpチャレンジのカルマンギアと、25馬力エンジンビルドは、本誌『LET'S PLAY VWs』50号で徹底紹介しているので、是非ともチェックしてほしい。現在Darrellはボディをリニューアル中。

text & photo:Burly Burlile
媒体:LetsPlayVWs 51

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