2019.04.23

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

着地可能なFastbackはハイウェイクルーズもこなすFasty Tourer!

 1950年代に入ってビートルの後継モデルを画策していたフォルクスワーゲンは、1961年にVW1500、通称タイプ3を発表する。しかしこの頃タイプ1の人気に火がつき始めていたアメリカ市場。主幹モデルの販売への影響を恐れたVWアメリカは、当初タイプ3の正規輸入は行わず(ディーラーを通しての本国オーダーは可能であった)、1965年にようやくバリアントとファストバックのみがラインナップに加わることになる。

 結果的に商業的にタイプ1を超えることはなかったタイプ3であるが、市場からはタイプ1よりワンクラス上のモデルとしてそこそこの支持を得て、タイプ4にバトンを渡す1973年まで生産が続けられた。

 現車はカリフォルニアのVWディーラーから右ハンドルでドイツにオーダーされたというユニークなヒストリーを持つ1966年型タイプ3ファストバックだ。オーナーのJeff Garmesonは免許を取得する前、『Hot VWs』誌に掲載されていたタイプ3に憧れ、自分もいつかはと夢見ながら、学生時代はビートルを3台乗り継いだ。

 しかしJeffは1994年、これまで所有していたVWを売却し、ここで彼のVWライフはいったんお休み。でもJeffは仕事の関係でサクラメント郊外に引っ越してきたのを機に、近所で開催されているBugorama VWイベントに足を運ぶようになった。もちろんJeffには若い頃の夢が蘇っていた。再びVWのステアリングを握りたい、そして若い頃の夢を実現させたいと、タイプ3を探し始めることになる。

 約半年の期間を経てJeffはforsaleサインが掲げられている程度の良い右ハンドルのファストバックと運命の出会いを果たす。Jeffにとって実に19年ぶりのVWカムバックを果たすこととなったのだ。

 こうしてJeffのファストバックプロジェクトは始まった。ボディカラーにはアウディRS純正のNardo Greyをチョイス。フロントビームをPunchdrunkのタイプ1にコンバートし、シングルエアバッグを投入。着地可能なスタンスを実現しながらも、ストリートでのドライバビリティは全く損なわれないどころか、NOSブラジルケースをベースに組んだ1776ccエンジンとのコンビネーションで快適なクルージング性能も実現している。

 基本的にストックを維持しているエクステリアだが、VW Looseutによってワンオフ製作された巨大なフロント・サファリ・ウィンドウが強烈なインパクトを与える。このサファリウィンドウは製品化が検討されていたが、製作にあまりに手間が掛かるため断念。Jeffのファストバックがオンリーワンとなった。

モールディング、ガスタンクキャップ、サイドマーカーなどの細かい箇所をチェックすると、キッチリとディテーリングが行き届いていることが確認できる。Jeffが如何にこのファストバックに愛情を注いでいるか、感じ取ることが出来る瞬間だ。

ファストバックが見事に履きこなすのは、EMPIの17インチFuchsスタイル。フロントは7Jサイズをカットして4.5Jサイズにカスタムし、フロントフェンダー内にフィッティングさせている。リアは7Jサイズをそのままフィットさせている。

エンジンはNOSのブラジルケース、その他多くの純正NOSを惜しげも無く投入し、排気量を1,776ccへアップ。快適なクルージング性能を実現している。

美しく仕上げられたファストバックのインテリア。シート、ドアパネルはSewfineのレザーレットをチョイスし、上質な仕上がりを見せる。ステアリングはFLAT4 GTステアリング。シフターはヴィンテージスピードのクイックシフターだが、シフターハンドルをタイプ3純正に交換している。

オーディオはレトロサウンドをチョイス。ビンテージな雰囲気ながらスマホとのブルートゥース接続。ハンズフリーなどを可能にするモダンオーディオユニットだ。

VW LoosenutのJeremy Brooksが製作した、タイプ3用サファリウィンドウ。広大なカーブドウィンドウにフィットさせるフレームの製作には、Jeremy自身も閉口するような気の遠くなる作業工程を要し、市販化は諦めざる得なかったそうだ。

text & photo:Shin WATANABE 渡辺慎介
媒体:LetsPlayVWs 52

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