2019.05.29

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

目指すは速くてカッコいいクルマ!!「1959 Type-117」

 Cal Lookに魅せられ、そのルックスだけではなく、ドラッグレースの魅力にも取り憑かれた男がここに一人。理想を追い求めて作り上げたクルマを紹介しよう。

 オーナーは、'59タイプ1ラグトップをドライブする、北海道帯広在住の馬場さんだ。このクルマに乗り続けて8年くらいになるそうだ。さらに以前には'65タイプ2に乗っていたこともあり、その頃から地元のVWショップ「ファットモービル」に足を運んでいたとのこと。

 その後、アメ車にも乗ることもあったが、ある日、店頭に並ぶこの'59タイプ1に出逢うこととなった。ボディは色褪せることのない艶やかなガルフブルー(L390)が輝きを放っており、その第一印象でこのクルマを購入。オーナーとなった。エンジンは12V化されたノーマル1,200cc。車高は低く下げられ、リアは八の字をキープしたスラムドスタイルであった。特にスピードに興味を持つこともなく、様々なホイールをセレクトするなどして、しばらくは自分なりのスタイルを楽しんでいたのだった。

 「ファットモービル」へ遊びに行った日のことである。田原氏から「今度、ドラッグレースがあるんだけど見に来ないかい?」と誘いがあった。なんとなく同行したレース場で、田原氏がドライブするクルマは自分と同じ'59タイプ1のドラッグマシンであった。走る姿を目の当たりにし、その迫力とVWの秘めたるポテンシャルに驚かされた。それから幾度となく田原氏のレースに同行するようになり、自分の'59タイプ1の方向性を見直すこととなった。

 自分は、あくまでストリートカー。レースカーは異次元すぎる世界。ストリートカーで「速く」「カッコ良い」クルマにすることが、いつしか目標となっていた。さまざまなマガジンを手に取り情報収集する日々が続いた。特に印象的だったのがアメリカのVWクラブ「DKP」で、メンバー達のクルマには魅せられるものが多くあった。

 ショーカーのように美しいボディに絶妙な車高バランス、タイヤ・ホイールの収まり具合など見どころが満載。ビッグモーターを搭載しエンジンルームも妥協なく美しい。そして、ドラッグレースでは、レースカー並みに速いクルマばかり。まさに憧れの存在となっていた。

 自分の想いを田原氏に相談してみると、クルマを作る上で田原氏が想い描くカッコ良さと自分が考える内容が合致。意気投合し、ここから二人三脚により、'59ラグトップが変貌を遂げていくこととなったのであった。
 
 まず取り掛かったのは足周り。低い車高はカッコ良いが、スラムドスタイルは低すぎ、ミッションへの負担も大きい。理想形は、リアタイヤが地面とほぼ垂直に立ち上がり真っ直ぐな姿勢にすることであった。トーションバーの位置を出し直し、スプリングプレートでも車高を調整するなどして、新たなパーツに頼ることなく、理想の姿勢を手に入れることが出来た。

 フロントは、購入時から2インチナロード化されており、これにドロップスピンドルをセットすることでフロントの車高だけでなく前後のバランスを図っている。実は、この車高は、見た目だけでなくドラッグレースに参戦する上で必要不可欠な車高でもあった。スタート時はもちろん、走行中でもエンジンパワーを路面に伝え、トラクションを稼ぐためでもあったのだ。

 注目のエンジンサイズは、2,000ccに届きそうで届かない1,904ccを選択することに。ここ北海道でドラッグレースに参加する場合、VWワンメイクレースではなく、国産車を始めとする多くの車種と競い合う。そのレギュレーションとして、2リッター以上と2リッター未満の2クラスの選択しか出来ないのだ。

 2リッターオーバーであれば、より排気量が大きいエンジンが有利であるのは明らか。国産車であれば3リッターオーバーのクルマと戦わなければならないことも多々ある。その反面、2リッター以下であれば、1,904ccは理想的なエンジンサイズである。そして、何より他車に比べVWには、車重が軽いという大きなアドバンテージがあり、残りの96cc相当分を補って余りあると考えられたからであった。

 エンジンパワーを最大限引き出してくれるキャブレターにはWEBER48IDAを迷わずチョイス。GENEBERGリンケージでアクセルワークをコントロール。エキゾーストはA-1マフラーを採用し、イグニッションはドラッグスタートを可能にしてくれる2ステップモジュールを内蔵したMSD6AL-2。今となっては入手困難なBOSCH010ディストリビューターで、MSDからの強靭なスパークを供給し点火性能をアップさせている。

 また、性能面だけでなく、エンジンチン、ファンカバーそしてオイルフィラーをブラックでペイントし、キャブレターのアッパーボディとファンネル部分に輝かしいクローム加工を施すアクセントは、センスの光る仕上がりだ。街中でもスピーディーかつ乗りやすいように、カムシャフトはW120をチョイスし、ドラッグマシンさながらのレーシーなエンジンサウンドを奏でるストレートカットのカムギアを採用することで、見た目とパワーだけでなく、エンジンサウンドにも抜かりない仕様のエンジンを製作したのであった。

 ドライブする室内もシンプルながら、馬場さんと田原さんの好みが現れた内容となっていた。シフターは確実なシフトワークに定評あるGENEBERG製を採用し、迫力あるAUTO METERのタコメーターをセット。フロント2脚のシートはプロストックシートを取り付け、グローブボックスが開閉できるように取り回した6点式のロールケージが備わる。まさにドライバーをその気にさせる、レーシーな香りのみなぎる空間である。

 ルックス、パワー、スピード、サウンド。どれを取っても抜かりなく、細部にまでこだわりを感じさせるVWへと、見事なリメイク。馬場さんは、自分好みに仕上げ、ほぼ完成といっていいレベルに達したという。このクルマが通り過ぎれば、誰もが振り返り、信号待ちや駐車中にも視線がこのクルマへと向けられる。そして、迫力あるサウンドが近づいたかと思えば一気に抜き去って行く。そんな理想を追求し、思い描いたCal Lookerがここに完成したのであった。

前後BRMホイールにフロントはMICHELIN ZX 135SR15を履き、リアはM&H "Racemaster " 215/65R15をチョイス。マフラーはA-1。オレンジに見えるのはオイルフィルター。その奥に見えるバーは、エンジンバーだ。後ろから眺めるこのスタイルは、王道のルックスだ。

エンジンは1,904cc(ストローク:74mmボア:90.5mm)、W120のカムシャフトにmade in ITALY製WEBER 48 IDAにリンケージはGENE BERGがセットされる。パワープーリーもGENE BERG製。ブラックペイント&クローム加工がアクセントとなる。

MOTOLITAステアリングに迫力あるタコメーターは、AUTO METER MONSTER SPORT-COMP。

GENE BERG初期モデルのシフターに、シートは2脚ともJAZプロ ストックシートをチョイス。

ロールケージはフロントからリアにかけての6点式。ドラッグレースでの安全性とボディ剛性を兼ねる。レース時は、リアシートを取り外している。

ファイヤーウォールの室内側に、2STEPモジュールが内蔵された、MSA 6AL-2とMSD ハイバイブレーションコイルがセットされる。

カメラ:Yusuke YARIMIZU 鑓水雄介
テキスト:Yuji OHSAKO 大佐古裕士
媒体:LetsPlayVWs 52

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