2019.06.05

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

徹底的ディテーリングで新車当時以上のオーラを放つラグジュアリー・カルマン

 カルマンギアは元々、1950年代初頭に勃興していたアッパーミドル層をターゲットに、タイプ1よりワンランク上のスポーツカーとして計画されたモデルだ。イタリアのカロッツェリア・ギアのデザイナー、ルイジ・セグレの手による流麗なボディラインを与えられ、誕生した。

 日本でもまだまだ数多くのカルマンギアが生息しているが、種々のカスタムや経年劣化を経て、デビュー当時のラグジュアリーな雰囲気を今なお保っている個体はきわめて少ないのが実情。年月を重ねたクルマならではの「味」を愉しむのも一興だが、一方でカルマンギアが'50年代当時に放っていたであろうオーラを、どこまで再生することが可能なのだろうか……?その一つの答えが、ここで紹介する1959年型カブリオレだ。

 ディテールの一つ一つまで妥協しない、こだわり抜いた仕上げで知られる大阪の空冷VWショップ『Garage Vintage』。スタッフの奥村さんは'56 カルマンギアのオーナーであり、カルマンギアに関する知識と熱意では、現在日本でトップレベルにある人物だ。今回'59角テールのオーナー氏から受けた依頼は、主にカーペットやシート等インテリアのレストレーション、カスタムされていたダッシュパネルをオリジナルに戻すこと、エンジンのオーバーホール、以上3つだったが、それに付随して大小様々な、そして膨大な作業を実施。

 例えばシートはすべて分解した上で、スプリングやフレームの修正、ペイント仕上げ、リアシートの木製フレームの製作、パディングの新規製作など、目に見えない部分まで徹底。ドアパネルもただ交換するだけでなく、モールやアームレスト、プルストラップ等、角テール専用のディテールをきっちり再現している。エンジンは1,775ccとマイルドな街乗り用チューニングに留めているが、パーツのチョイスとディテーリングにこだわり、エンジンルームのペイントやサウンドボードの製作等、エンジンルーム全体を一つの作品としてハイクオリティに仕上げている。

 当時物のNOSパーツやレアパーツを探し出して装着する一方で、オーナー氏から依頼のあったハザードスイッチやETCなど現代の交通事情に合わせたモディファイを、オリジナルの雰囲気を損なわず巧みに採り入れているのも、『Garage Vintage』ならでは。他にも誌面では紹介しきれない膨大な作業が行われ、ようやく完成を迎えた。

 車高を適度に下げてFuchsホイールを装着した佇まいは、かつて半世紀以上前に世に出た当時にカルマンギアを見た人々が感じたであろう、高級ツアラーとしてのスポーティさとラグジュアリーさを換骨奪胎して、21世紀に再現したものといえる。時間と手間、それに情熱を惜しまなければ、VWはここまで美しく格好良くなるのだ。

リアのストップランプはHella製を探し出して装着。

排気系には『Racing Staff』のスパイラル・エキゾーストシステムを採用。リアに『Garage Vintage』の扱うアジャスタブル・スプリングプレートを入れて、車高を下げている。

フロントフード内も美しい。角テール用トランクライナーの良質なリプロを用いてスッキリと見せ、何故か白く塗られていたガソリンタンクはボディ同色の黒でリペイント。キャップもしっかりポリッシュしてある。スペアタイヤのミシュランZXまで、ディテールの一切に抜かりがない。

カスタムのダッシュパネルからオリジナルに戻すため、同じ年式のカルマンギアのダッシュパネルを探し出し、鈑金作業で交換、メーター類も全てオリジナルを探し出した。

オリジナルのVDOメーター、右の時計をタコメーターに変更。

エンジンは、街乗りで快適なライトチューンの1,775ccで、キャブはWEBER 40 IDF。エンジンのO/Hとディテールアップに合わせ、エンジンルーム全体もリペイント。もちろん配線もすっきりと整理されている。中央で輝くのはJOE HUNT製マグネトー点火システム。写真右端に映るキルスイッチはBOSCH製。ディテールにこだわった仕上げが光る空間だ。

text & photo:Kota TAKEUCHI 竹内耕太
媒体:LetsPlayVWs 52

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