2018.11.06

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

NYのマッハ乗り!?  佐藤正朗さん 【LIFE with FILSO...

1972年製の750SS MACH Ⅳ。北米をターゲットに作られたモデルだったが、2ストでナナハンという化け物バイクはオイルショックや環境規制のあおりもあって4年で生産終了。今では伝説のバイクとなっているのだが……。

アメリカを代表するアウトドア・クロージングブランド「FILSON」の質実剛健な世界観を、本場アメリカで取材する連載『LIFE with FILSON』。第6弾の今回はバイクとFILSONをこよなく愛するニューヨーカーを取材。男臭いガレージとオススメのショップを訪ねた。

ブルックリンのコミュニティーガレージにて

パリパリパリパリ……。甲高い排気音と白煙を吐きながらニューヨークを走る一台のKAWASAKI 750SS MACHA Ⅳ。70年代初頭、カワサキの名前を全米に轟かせることとなった500ss MACH Ⅲのボアアップバージョンとして登場したMACHA Ⅳ (通称H2)は、当時世界最速に君臨した2ストローク3気筒のモンスターマシン。それが世界一の大都会を走っているとは。

「ニューヨークでそんなの乗ってて怖くないの? って聞かれますけど、そんなに大きくないからアメリカンとかに比べたら取り回しも全然いいですし、排煙があるからみんな車間をあけてくれて、寧ろ安全かもしれません(笑)。もちろん、僕だって街中を走るときはいつも迷惑だろうなーって思いながら遠慮して走っていますよ?」

そう話すマッハの主はニューヨーク在住の日本人、佐藤正朗さん。彼は有名メゾンを渡り歩き、フリーランスのパタンナーとして活躍するゴリゴリのファッション業界人。ニューヨーク市を出て少し走れば自然豊かな街が広がっているので、このマッハを足にして、休日は仲間や奥さんとツーリングに出かけているのだという。

バイク好きのニューヨーカーが集うコミュニティガレージ。奥には自由に使えるピットもあり。

マッハは日本でも熱狂的なファンがいて、今ではヴィンテージバイクとしてウン百万で取引されている代物だが、正朗さんは知り合いが手放すというので数十万円で手に入れることができたというから運がいい。

「ネコ・パブリッシングって言ったら『2ストロークマガジン』じゃないですか!? アメリカの紀伊國屋で買って愛読してますよ」。挨拶して名刺をお渡しするやいなや、年2回しか発行していないうえ、コアすぎて日本でも一般認知度が低めな弊社のバイク雑誌を読んでくれているあたり、かなりのエンスーであることがわかった。

正朗さんの自宅はニューヨーク北部のブロンクスにあるが、整備できる場所もあって、盗難の危険性もなく、奥さんのものを含めて3台のバイクを置けるスペースを探した結果、このブルックリンのコミュニティガレージにたどり着いた。自宅から距離はあるものの、幹線道路の近くにあり、仲間との集合場所としても重宝しているらしい。

「69年のBMW R69S、75年のNORTON Commando、77年のDUCATI SPORT DESMO 500……。新しいのもありますが、古いのに乗っている人も多いから話が合っていいんですよ」

日本では、バイクの整備はプロショップにお任せするのが一般的だが、アメリカの人はとりあえず自分で弄ってみて、ダメならショップに持って行くのが普通の感覚らしく、その分バイク乗りは自分のマシンへの愛着が深い。常にガレージでは誰かがバイクをいじっていることもあり、ガレージを借りている人同士での交流も盛んのようだった。

オリジナルの良さは活かしつつ、足回りや電装系は現代的にモデファイ。ガレージで作業をする時はツナギで。

ニューヨークのパーソンズ美術大学卒というモードファッションのエリートながら、正朗さんが着る服はいたってカジュアル。普段はヘビーツイルのブリーフケース、バイクに乗るときはバックパックにもなるフィルソンのダッフルを愛用している。Duffle Pack ¥38,880

コミュニティガレージでは仲間とバイク談議に花が咲く。みんな自分でいじっているから熱も入る。

コミュニティーガレージ「MACHINA CYCLES」。週末にはオーナーたちが賑やかな時間を過ごしている。

おしゃれバイカー御用達のギアショップ『Union Garage』

クールかつセーフティなアパレルやギア、バッグ類を世界中からセレクトしている「ユニオン・ガラージ」の店内。展示されているBMW GSも現役でオフロードに繰り出しているとか。

ちょうど近くのショップで店長をしているガレージの仲間がいるというので、正朗さんについていくことに。そしてたどり着いたのはユニオン・ガラージというモータサイクルアパレルショップだった。

倉庫が立ち並ぶ海沿いのエリアで、店はやはり、元々倉庫だったレンガとモルタルで作られた建物をリノベーションしたもの。280平米ある店内はレンガの壁とインダストリアルな設えで、THEブルックリンという感じを受けるが、それでいてもっとスタイリッシュ。店内にはノートンやBMWのヴィンテージも展示されていた。

セレクトされているのは、世界中でリスペクトされるような良品のみ。確かにここでひと揃え出来たら、間違いなくかっこよくなれる感じがする。

正朗さんのガレージフレンドで、店長をしているヘンリー。今日の愛車はドゥカティ・ディアベル。

大きなソファもあって、ゆっくり過ごせるのもこの店の特徴だ。

思い返してみると、アメリカ人のバイク乗りのテンプレート通り、オープンフェイスのヘルメットにレイバン、フリンジやチーム名のワッペンが付いた革ジャンかジージャンを羽織って、ジーンズとエンジニアブーツを履いてハーレーに乗っている……なんて人をニューヨークやブルックリンで見かけることは少ない。

アメリカン乗りは、街とは逆方向に行くから見かけないのだと思うが、街で見かけるのは近頃トレンドが続いているストリートファイタータイプやスーパースポーツ、次いでモトクロッサー、オールドバイク、カフェレーサーといった具合。Tシャツでスニーカーのライダーも多いけれど、みんな降りた時にもカッコよくしたいという意識が高い印象を受ける。

世の中のライダーズウェアの中には、バイクを乗るには理にかなっているけどデザインが残念なものも少なくない。しかし、ユニオン・ガラージにあるのはダンディなアパレルばかり。ジャケット一つとっても、化繊系よりレザーやオイルドファブリックなど天然素材のものの方が多く、大人なライダースタイルを提案していることがわかる。

憧れられるバイクウェアを取り揃えたショップ、日本にも欲しい……。

ユニオン・ガラージがバンソンに別注したオリジナルジャケット。ライディングを快適にするギミックが追加されている。

オリジナルのディスプレイラック。日本で売っている同じショーエイのヘルメットでも、こう並んでいるとまた違って見える。

エントランスはソリッドなステンレスの壁。クールな写真も掲げられた、ギャラリーのような空間だ。

【Information】
 UNION GARAGE
  Address:103 Union St, Brooklyn, NY U.S.A.
  営業時間:12:00~19:00(平日)、11:00~18:00(土曜)、12:00~18:00(日曜)
  http://uniongaragenyc.com/

眼福!! ニューヨークの老舗レストラン『Keens Steakhouse』

外観からすると一見小さな店に見えるけど、中は広々とした空間が広がっている。

トラディッショナルなバイクカルチャーに触れることができたこの日の締めは、歴史あるステーキハウスで。

「僕がニューヨークに来た人に真っ先にオススメする店はこのキーンズって決めてるんです。ニューヨーク最高のマトンチョップと、絶品熟成ステーキが食べられますよ」

そう言われて正朗さんに先導されるままやってきたのは、ニューヨークのど真ん中。店の扉を開くと、シックな佇まいの店内が見えてきた。バーともレストランとも判断し難い暗めの照明に、年季の入ってツヤの出たウッドの家具と壁が照らされている。

席に案内されるまでの少しの間エントランスで案内を待っていると、喫煙具のパイプが無数に天井にかけられているのに気がつく。

1885年創業、昔々はパイプクラブとして営業していた時期もあり、1905年までは女人禁制・男の社交場であったキーンズ・ステーキハウス。そんな馬車しかなかった時代、チャーチワーデンパイプと呼ばれる吸い口が細くて長いパイプは移動中の振動で壊れてしまうこともあったため、レストランや宿では客のパイプを預かっていたのだそう。その名残でキーンズの天井には、かつて客が置いていったパイプが天井を埋め尽くすほどかかっているのだ。

エントランスのショーケースの中にはセオドア・ルーズベルト大統領から、ダグラス・マッカーサー、ベーブ・ルース、アインシュタイン、マイケル・ジャクソンなど、各界の著名人のパイプが展示されている。

創業時のオーナーはアルバート・キーンズというイギリスの俳優。昔は近くにメトロポリタンオペラがあったこともあり、俳優や劇場関係者の顧客が多くいたらしい。

名だたる有名人も御用達の歴史あるトラディショナルな店。その重厚な雰囲気に圧倒され、もっとちゃんとした格好で来ればよかったと思うも、意外とTシャツの人もいるし、ドレスコードがなくて一安心。ちゃんと席まで案内してくれた。

Tボーンステーキ、フィレ・ミニオン、サーロイン、マトンチョップ……。どれも美味しそうで心引かれるけど、ここはアメリカ。食べきれる量を考え、お肉は断腸の思いでサーロインとマトンチョップをオーダー。双方アメリカらしく引き締まった赤身で食べ応えがあるのだが、熟成されたことで旨味が凝縮され、飽きる暇もなく食べ進める事ができた。

店の雰囲気にお肉の味。正朗さんが勧める訳が痛いほどわかる。平日はランチ営業もやっているし、リーズナブルで少量ずつの料理を提供してくれるバースペースもある。読者諸兄がニューヨークに行ったら、絶対にキーンズステーキハウスへ行ってみてほしい(完全な受け売り)。

ウェルダンに仕上げてもらったサーロインステーキとマトンチョップ。名物マトンチョップは、ミントのジュレソースでさっぱりいただく。

キーンズは300席もの客席を保有するが、ディナーは予約でいっぱい。2階は部屋ごとに名前があり、どデカイ剥製がある部屋も。リンカーンルームと名付けられた部屋にはリンカーン大統領にまつわる展示物が並ぶ。

【Information】
 Keens Steakhouse
  Address:72 W 36th St, New York, NY U.S.A.
  営業時間:11:45〜22:30(月曜〜金曜)、17:00〜22:30(土曜)、17:00〜21:30(日曜)
  http://www.keens.com/

 

☆FILSON商品の問い合わせ:OUTER LIMITS (03-5413-6957)

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