2019.02.01

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

「SLIDER TOUR ROAD TRIP TO BIWAKO」

そうだ、琵琶湖へいこう――始まりはいつも唐突なもの。夏らしい夏を満喫できなかった僕らはバンに乗り込み、日本最大の湖がある滋賀県へと向かった。そこには近代的なビル群もなければ著名な"スポット"もない。少し寂れた町並みと、豊かな自然のある穏やかな風景に、スケートボードという異物を足してみた。

SHOGO ZAMA (座間翔吾)

神奈川県横浜市出身。
柔軟な動きに加えて、ありとあらゆるテラインにも適応する柔軟性に富んだ、期待の濱っ子スケーター。
ツアー中もほぼ全てのスポットを攻略。

Ollie/
ホウキの買い付けで一瞬立ち寄ったホームセンター前にて。円の中をオーリーでくぐり抜ける、琵琶湖を背景にしたフォトジェニックな1枚。

Nosegrind/
週末は観光客らで賑わう琵琶湖のエントランスで、ノーズグランドで足跡を残す夜行性シューティング。

SHINICHI ITO (伊藤慎一)

茨城県土浦市出身。
ツアー帯同メンバー最年長のベテランスケーター。
百戦錬磨のスキルで、難易度の高いスポットを殲滅。
Lakai、Fullon、Independentなどがスポンサー。

Bs Wallride/
急勾配な坂でのハイスピードなBsウォールライド。空き家の家主の想像を遥かに超えるスケーターの着眼点と実践力。

Fs Noselide Fakie/
昼下がりの団地では目立たぬよう速攻メイクが求められる。バンクからのFsノーズスライド・フェイキー。

GENKI SUNAGAWA (砂川元気)

沖縄県那覇市出身。
ワイルドな風貌からは想像できないような繊細な動きをかます、マチェーテ砂川。
技のデパート aka 伊勢丹の異名を誇るだけに、オールラウンドな滑りで場を盛り上げる。

Indy Tail Jam/
通称おにぎりトンネルと呼ばれている、秘境の中に隠された地方ならではの名物スポット。実際は見た目よりも使い勝手が難しい、というのはいうまでもない。こちらのインディ・テールジャムを皮切りに砂川劇場がスタート。

Bs Flip/
ツアー中最もアグレッシブに動いていたヤングガン、座間翔吾。畑の真ん中に突如あらわれた某施設のパーキングスポットにて、ハイライトといっても過言ではないタイトバンプからのBs 180フリップをメイク。山、雲、畑、スケーターがマジックアワーに調和する瞬間。

ISSEY KUMATANI (熊谷一聖)

大阪府泉南郡出身。
均整のとれた美しいシルエットと、伸びのあるスタイルで注目を集める期待のルーキー。
洗練された動きの美大生スケーター。
Enjoi、Strushなどがスポンサー。

Ollie/
県外のスケーターが滋賀を訪れる際のマストスポットの某公園にて、どこかの有名芸術家がデザインしたであろうアーチを背景に、クリーンなオーリーを披露。滞在中は終始曇り空だったのが印象的だ。

Kickflip/
ポケモンGO!のホットスポットとなっている、某駅裏の駐車場にてフェンス越えのキックフリップをボム。ゲームではなく実践するところがスケーター的リアリティ。ニュースポットとの邂逅は、ロードトリップの醍醐味のひとつ。

RYO KAMII (上井 陵)

埼玉県本庄市出身。
クリーンで精巧な動きを武器に玄人を唸らせる自称神童スケーター。
今回は足首を痛めつつもクールなトリックをメイク。
Independentなどがスポンサー。

Bs Smith/
自称サイラス・ベネットといわんばかりのスタイリッシュなスラッピーからの、Bsスミスグラインド。足首を痛めていて本調子ではなかったそうだが、要所要所できちんと決めるところはAクラスの証。

Nollie Crooks/
子供用の遊戯スポットにしてはヴィンテージ感出まくりの渋めオブジェにて、ノーリーKグラインドをねじ込む自称ハスラー上井 陵。最終日のフィナーレとばかりに有終の美を飾る。

 2016年、夏の終わりに敢行されたSLIDER TOURのデスティネーションは、琵琶湖で知られる滋賀県は大津市。

 毎年恒例となりつつあるロードトリップの、ことの始まりこうだ。今回のツアーの写真を撮影してくれる、フォトグラファーの荒川晋作の住まいが京都にある。とかく主役になりがちな京都よりも、脇役になりがちな周辺の町に焦点を当ててみようと。それでは、京都の西隣りに位置する琵琶湖を有する滋賀県大津市はどうかということで、企画がスタートしたわけだ。メンバーの招聘は毎度ながらランダムで、年齢も出身地もスポンサーもバラバラの10代後半から30代半ばまでの5名。

 伊藤慎一、砂川元気、座間翔吾、上井 陵の4名は東京から出発し、大阪からは熊谷一聖、京都から荒川晋作と合流すべく、一路合流ポイントへとバンを走らせた。

 琵琶湖をはじめ、大津市や滋賀県についての知識や見解を、ぼくらはどれぐらい持ちあわせているのだろうか? 比叡山や近江、草津温泉あたりの地名は知っているけれど、具体的な位置関係を指さしてみろといわれれば、正直わからない。あれこれ考えるよりも、実際に足を運んで見るほうが話が早い。思いつきというかほとんど無計画のまま突っ込んでいくのが、いわゆるスケーター流。国内外問わず、現地に行けばなんとかなるで、なんとかしてきちゃっているから大したものだ。

 歴史や文化的背景を吟味しながら町を練り歩き、美しい景色やそこで生活をおくる地元の人たちと触れ合うのが旅の醍醐味というのであれば、スケーターはそのほとんどを体感していることになる。通常お世話になることもないであろう、警備員や警官との触れ合いも含めて(笑)。

 今回のSLIDER TOUR企画の主旨の中に、地方都市とスケートボードとの親和性というものがある。東京・名古屋・大阪といった三大都市圏以外であること。地方都市や片田舎においてもスケートボードが映えるということ。ライトアップされた都心のフォトから一歩引いてみた、ありのままの姿を写しだせるような企画。

 論より証拠ということで、5名のスケーターとフォトグラファーとが琵琶湖周辺で過ごした数日間の、フォトストーリーをご覧いただきたい。

 壮大なスケールの湖と山、緑が際立つ町とレトロな建造物、曇り空とスケーターとの2016年夏の記録。今日も琵琶湖には、気持ちのよい風が吹いているにちがいない。

 滋賀県は地元というわけではないのですが、京都出身の自分にとってはわりと馴染みのある土地です。元々田舎育ちの自分は基本的に都心よりも郊外に行きたがる傾向があります。いま住んでいる京都の出町柳から車を走らせれば下道で20分ほどで大津市に入り、すぐに琵琶湖が見えてきます。若い頃にはスケートスポットを求めて琵琶湖を一周したこともありました。十数年前に付き合っていた子が滋賀に住んでいて、その子の家の近所のショッピングモールの駐車場でひとりで滑っていたこともありました。普段どちらかというと自分は他所の土地に赴くが多く、その土地に住んでいる友人にスケートスポットからメシ屋までアテンドしてもらいっぱなしなのですが、今回はかなり久しぶりに自分が案内する立場となりました。最近は滋賀へスケート目的で行くことはほとんどなかったので、ひたすらに記憶を辿りまくり、滋賀出身の友人がくれる情報も頼りに、車を走らせました。各地から集結したスケートエリート達をロングドライブで引きずり回しぐったりさせるのは申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、みんなはのんびりと旅を楽しんでくれている様子でした。とはいえ仕事でもあるので、写真を残さないといけないというプレッシャーはツアーには付きものですが、今回はあまりミッション感を持たず、たどり着く先々で即興のセッションを出来たことは、自分の計画性の無さが引き起こしたものだったのですが、今になって思えばこんな素晴らしいメンツとほとんどいきあたりばったりな旅が出来たことをとても嬉しく思います。こんなことが言えるのは結果的に誌面に出しきれない程たくさんの写真が撮れたからで、それは今回のメンツのスケートスキルとリラックスしたスタンスのおかげです。
 年齢も出処もばらばらのメンツでしたが、一度一緒にツアーに行くとそのスケーターとは一生残るなんらかの繋がりを感じます。みんなが帰ってしまった後の喪失感、自分だけが残された寂しさも半端なかったです。またみんなでどっか行きたいなと思います。
 若い頃、何もないようにしか見えなかった、ひたすらに続く田畑や琵琶湖沿いの風景、チェーン店まみれの国道沿いの風景が、今となっては愛おしくすら感じます。

カメラ:Shinsaku ARAKAWA
テキスト:Blue Lake OHTSU、Shinsaku ARAKAWA
媒体:SLIDER 28

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