2019.01.09

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

ゴローで作る、オーダーメイドのウェーディングシューズ 【前編】

釣り人たちにとって、ウェーディングシューズは相棒と呼べる釣り道具の一つ。そのシューズがオーダーメイドできるとなったら、こんなに嬉しい事はない。今回は、東京・白山に店を構える登山靴の老舗「ゴロー」がラインナップしている沢登り・釣り用のシューズ、「レンジャー」のオーダー、製作工程を取材した。

来春を見越した、トラウトマンの旅支度。

もう早いもので12月も終わり、今年はどうだったという振り返りも終えて、来年へ思いを巡らせる時期になった。禁漁のシーズンになり、トラウトマンは長い冬を道具のメンテナンスをしながら過ごしている事だろう。今回の記事は、来たる春の準備をしている釣り人にとっては有益な情報になるかも知れないので、ぜひお付き合いいただきたい。

登山靴の老舗ゴロー。実はウェーディングシューズも作っていた。

「オーダーメイド登山靴で有名な、あのゴローがウェーディングシューズを作っているの知っていました?」
今回の記事は、以前HUNTでも取材させていただいたフィッシングブランド「Fish」主催する若山さんとの飲みの席での話がきっかけだった。

若山さんはシーズン中毎週末のように川に立つ生粋の釣りバカで、バンブーロッドオタクでもある。加えて、長年続けているアパレルブランドだけでは飽き足らず、釣りをテーマにしたブランドを手がけているくらいだから、当然ファッションには一家言も二家言もある。

「Fish」の名でトラウトフィッシングに関するアパレルを提案している若山さん。シーズン中は忙しい合間を縫って、関東・甲信越を中心に釣り回っている。

「僕は今まで色んなブランドのウェーディングシューズを買っては履き潰してを繰り返してきて、今まで多分10~15足くらい履いてきたんです。中にはとても気にいって今も履いているものありますが、今までこれだ! ってものにたどり着けてなくて、結果いつも取っ替え引っ替えしているんですよ。それで今のも悪くなったしそろそろ新しいのを買わなきゃと思って探していたら、昔ゴローでウェーディングシューズを作っていたのを思い出して。WEBのラインナップに載ってないんで辞めちゃったのかと思ってダメもとで問い合わせたら、まだ作れるよって話になったんですよ」

ゴローといえば、東京・白山で45年の長きにわたり営業を続け、登山家の足元を支えてきたブーツメーカー。メイドイン東京とは思えない良心価格で職人が作ったハイクオリティなブーツを販売している。また、ゴローといえば、足を採寸してもらって自分の足に合った登山靴を作ってもらえることで有名だ(平均的な木型に合わせて作られた既成サイズも販売していて、3240円だけ追加で支払えばオーダーメイドができる)。

ウェーディングブーツがオーダーメイド可能。それを聞いた若山さんは、早速オーダーしに行くというので、採寸に同行させてもらった。

一代でゴローを築き上げた、日本が誇る靴職人、森本勇夫さん。いつも自ら店頭に立ち、森本さんに採寸してもらうことができる。

手前がウェーディングシューズ「レンジャー」で、奥がゴローのベストセラー登山靴「ブーティエル」。

「ウェーディングシューズがWEBに載ってない? そうでしたっけ? ただ単に載せ忘れていただけだと思いますよ(笑)」(現在はWEBのラインナップに復活)

少しの間幻のモデルとなっていたウェーディングシューズ「レンジャー」は、沢登りと釣り人のために作られているモデルで、アッパーはレザーとナイロン、内張にネオプレーンを使用している。

足首から爪先までレースアップになっており、フィット感も抜群。見た目はクラシカルで、ゴローで作っているレザーの登山靴と比べると明らかにスリムなフォルムだ。そしてソールに使われている厚さ10mmのフェルトは高級なウール製。これが水を含んだ時に、岩の上でも滑りにくくて良いのだという。

フィットして滑りにくく、そしてファッションとしてバンブーロッドに合う。完成すれば若山さんにとって考えうるベストなウェーディングシューズになることだろう。

シートの上に足を乗せ、足の形を採寸。外周だけでなく、足の甲の高さもや指の形などもこの時にチェックしているのだ。

これが若山さんのオーダーシート。採寸したものをみると左右で足の長さや甲の高さに違いがあることがわかる。

流れとしては、足の採寸とフィッティングの好みを相談するためにゴローの店に出向き、それから製靴が始まる。お客の手元に届くのは平均して2、3ヶ月程度なので、その間は首を長くして待つことになる。

今回オーダー、採寸のため白山にあるゴローを尋ねると、ご主人森本勇夫さんが対応してくれた。まずは裸足の状態で足の状態をみて、そのあとに既成のサンプルを使ってフィッティングの好みをすり合わせる。今回は釣りの時にウェーダーの上に履くのでウェーダーを持参しての試着も行なった。

所要時間は約30分程度。あっという間にオーダーシートが出来上がり、あとは出来上がりを待つのみとなった。

工房で生み出される、ゴローの靴。

東京・王子に構えるゴローの工房。日本の多くの登山家たちの足元を、この工房が支えているというわけだ。

白山にあるゴローを訪ねてから暫く経ったある日、オーダーした「レンジャー」の製靴をするというので、ゴローの工房にお邪魔して製作工程を取材させていただいた。

他のブーツ同様、ゴローでは職人が一足一足時間をかけて仕上げて作られる。一般的なフィッシングメーカーが売っているウェーディングシューズはオーダーメイドできないし、さらに人の手で吊り込むなんて作られ方はされていないだろう。

ここでは写真とともに工程の一部をご紹介する。

基本的にゴローの工房では1足を1人が仕上げまで担当し、お客のオーダーに沿うように製靴している。

アッパーが縫いあがって筒状になった状態。ここから木型にはめ込み、釘を売っていって革を型に沿わせる「吊り込み」という工程に入る。

使い込まれた道具たち。右手に見えるワニ(ピンサー)と呼ばれるペンチとハンマーが一緒になったような道具は、靴作りにおいて重要な道具の一つ。

シーズン中は毎週のように釣りに出かける。そんな熱狂的な釣り人にとって、ウェーダーやウェーディングシューズはいわば消耗品と考えられているだろう。しかし、ゴローのウェーディングシューズは破れさえしなければソール交換も可能だ。
「ソールは5回ぐらいまでなら張り替えできると思いますよ。他の登山靴のように長く使ってもらえると思います」

トゥ部分の皮を引っ張り型に沿わせ、釘で止める。その後はさらに革を叩いて伸ばしてなじませる。履き心地を左右する職人の腕が試される工程だ。

革を叩いてなじませた後、底面にコルクを盛って、サンダーで平らに仕上げる。

工房に並べられた靴の型。サイズはもちろん足幅や甲の高さなど細かく違うのでその数は相当。特徴的な足の人の場合はこの型を加工して型を仕上げている。

工房で完成を待つブーツ達。釣り人同様、登山好きの人たちも次の春を待ちわびて道具を新調する人もいるようで、冬には多くのオーダーが入るのだという。

底面のラバーとフェルトソールを縫い合わせる工程。登山靴作りに使う機械は今は作られていないものも少なくないので、メンテナンスも欠かせないとか。

ソールとアッパーを接着する前に、プレス機で型にフィットするよう、力を加えてクセ付けをさせる。

あとはソールを接着すれば完成という状態に。アッパーは木型になじませるため少し時間を置く。

かくして完成した若山さんの新しいウェーディングシューズ。

このシューズをオーダーしたのは昨年だったので、実は、もう使用した模様を取材ずみだ。
果たしてどんな履き心地なのか? 後半へ続く。

【Information】
ゴロー
Address:東京都文京区本駒込6-4-2
営業時間:11:00〜20:00(月曜〜土曜)、11:00〜18:00(日曜・祭日)、火曜定休
Tel:03-3945-0855
 http://www.goro.co.jp/

◆若山さんのフィッシングライフは、FishのInstagram「@fish_waka」をチェック!

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