2019.03.15

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

相性抜群なら、水槽内も円満 !?「クマノミとイソギンチャクの共生」

クマノミを飼うなら、やはりイソギンチャクとの共生を試したい。しかし、その種類によっては共生の相性があるので、それぞれの組み合わせを確認しておこう。カクレにはハタゴ、クマノミにはシライトなどといった定番の組み合わせもあるが、それだけとは限らない!

 異なる生物が一緒に生活することを「共生」と呼ぶ。クマノミは、毒性のあるイソギンチャクの触手の間に身を隠すことで、天敵から逃れるメリットがある。また、イソギンチャクは自らを中心にテリトリーを持ったクマノミに、食害してくる小魚などを追い払ってもらうため、双方に利益のある双利共生といえる。

 クマノミがイソギンチャクの刺胞毒に刺されない理由は、体を覆う粘膜にあるとされる。その粘膜に刺胞を発射させない性質があるとする説や、イソギンチャクの粘膜がクマノミの体表に移って攻撃しないようになるとする説がある。

 また、クマノミの仲間は種類によってイソギンチャクへ依存する程度が異なる。カクレクマノミやハナビラ、セジロなどは依存度が高く、逆にクマノミやハマクマノミなど、やや気の強い種類ほど、イソギンチャクから離れて泳ぐことが多い傾向がある。

クマノミとイソギンチャクの相性チャート

 クマノミはさまざまな種類があり、現在のところ2属29種が知られている。これらを特徴の似ているもので分けると、6つのグループになる。1属1種のスパインチーク・アネモネフィッシュのほかは、日本でも見られるカクレクマノミ、クマノミ、ハマクマノミ、ハナビラクマノミ、トウアカクマノミのグループに大別することができる。クマノミの種類は、これらのグループごとに分類すると覚えやすい。観賞魚として入荷されるのは20種程度だ。

カクレクマノミ/
アニメ映画などでもおなじみ、クマノミの仲間を代表するポピュラー種。個体差や地域の違いによって、体色がやや黒みがかったものや、あざやかなオレンジ色をしたもの、白いバンドが乱れた個体などが見られる。国内外で養殖も盛んに行われ、個人の水槽でももっとも繁殖させやすいクマノミだ。

相性◯:シライトイソギンチャク/センジュイソギンチャク/ハタゴイソギンチャク/イボハタゴイソギンチャク

ブラックオセラリス/
カクレクマノミの養殖品種。体色の黒い個体を固定した種類で、真っ黒いボディーに白バンドのコントラストが美しく、人気が高い。性質や飼育、イソギンチャクとの相性はカクレクマノミと同様。繁殖も比較的容易で、稚魚をとって育てているアクアリストも多い。

相性◯:シライトイソギンチャク/センジュイソギンチャク/ハタゴイソギンチャク/イボハタゴイソギンチャク

クラウンアネモネフィッシュ/
カクレクマノミによく似ている種類だが、白いバンドの周囲の黒が太いのが特徴。種小名の「ペルクラ」と呼ばれることが多い。個体によってはオレンジ部分が少なく黒い部分が多い個体なども。カクレに比べると生息域が狭く、オーストラリア北東部の熱帯海域に分布している。

相性◯:シライトイソギンチャク/センジュイソギンチャク/ハタゴイソギンチャク/イボハタゴイソギンチャク/タマイタダキイソギンチャク

オレンジフィンアネモネフィッシュ/
ヒレがオレンジ色に染まるクマノミグループの仲間。西部太平洋を中心に広く分布している種類。各ヒレがオレンジ色に染まるのが特徴だが、個体によっては尾ビレが白いタイプもある。成長するとバンド部分が蛍光ブルーに輝くのも特徴だ。最大で15㎝にもなる大型種。

相性◯:シライトイソギンチャク/センジュイソギンチャク/ハタゴイソギンチャク/イボハタゴイソギンチャク/サンゴイソギンチャク/タマイタダキイソギンチャク/ロングテンタクルイソギンチャク

レッドサドルバックアネモネフィッシュ/
「インドトマト」の愛称で親しまれているクマノミ。白バンドをもたないのが特徴で、成熟すると体側の後方に黒い斑紋が入る。生息域はインドネシアの比較的狭い範囲で、入荷量は多くない。ハマクマノミ同様に気が強く、小さな個体であってもかなりのもの。

相性◯:シライトイソギンチャク/ハタゴイソギンチャク/サンゴイソギンチャク/タマイタダキイソギンチャク

セジロクマノミ/
背中にはっきりとした白いラインが入り、体色はピンクから淡いオレンジ色。西部大西洋に広く分布している。性格は比較的おとなしいほうなので、大きなクマノミと一緒に混泳させないほうがよい。入荷直後は調子を崩していないか、チェックして入手するとよい。

相性◯:シライトイソギンチャク/センジュイソギンチャク/ハタゴイソギンチャク/イボハタゴイソギンチャク/ロングテンタクルイソギンチャク

モルディブアネモネフィッシュ/
インド洋のモルディブ周辺に生息するクマノミ。体色はオレンジがかった褐色で、はっきりとした太めのバンドが入る。コンスタントな輸入はなく、入荷量はやや少なめ。ハナビラグループのなかでは性格は強いほう。

相性◯:シライトイソギンチャク/ハタゴイソギンチャク/サンゴイソギンチャク/タマイタダキイソギンチャク

スパインチークアネモネフィッシュ/
1属1種のアネモネフィッシュで、エラぶたにそれぞれトゲが1本ずつあるのが特徴。バンドは白のほかに黄色に染まる個体もあり「イエローバンドマロン」と呼ばれて区別される。大型種で、成熟した個体は気性が荒く、中~大型水槽を利用し、ペアだけの飼育が無難だ。

相性◯:センジュイソギンチャク/ハタゴイソギンチャク/イボハタゴイソギンチャク/サンゴイソギンチャク/タマイタダキイソギンチャク/ロングテンタクルイソギンチャク

クマノミと一緒に飼いたい! イソギンチャク図鑑

シライトイソギンチャク/
ポピュラーなイソギンチャクだが、じつはさまざまな種類が総称されている。触手の短いタイプは、キッカイソギンチャク類やチクビイソギンチャクであることが多い。強めの光を当てたほうが状態よく飼育できる。触手の短いタイプなら60㎝以下の水槽でも飼育可能。

センジュイソギンチャク/
カクレクマノミが共生しやすい種類。ただ、水槽内での移動が激しいので、サンゴレイアウト水槽にはあまり向かない。また、ポンプに吸い込まれるトラブルが起きやすいため、防護策をとる必要がある。大型種だが直径20㎝程度の手ごろなサイズが入荷してくる。

ハタゴイソギンチャク/
短い触手が特徴で、カクレクマノミが好んで共生する。パープルやグリーン、ブルーなどのカラーバリエーションがあり人気が高い。触手の刺胞毒は強く、粘着力も高いので、あまり素手で扱わないほうがよい。また、クマノミ以外の小型魚が食べられてしまうこともある。

サンゴイソギンチャク/
熱帯域だけではなく、温帯の海でも見られるイソギンチャク。触手の先端付近が球状になるのが特徴。岩場がおもな生息場所で、岩の隙間に定着する。最も飼育しやすい種類で、比較的弱い光量にも耐える。サイズは通常10~20㎝。クマノミ系やスパインチークなどが共生する。

タマイタダキイソギンチャク/
サンゴイソギンに似るが、本種のほうが触手の先端が丸い。岩場に生息し、海中では大きなコロニーをつくることがある。飼育はサンゴイソギンと同様に容易だが、本種のほうが南方に分布するので、より明るい光を好む。ハマクマノミ系が共生しやすい。

ロングテンタクルイソギンチャク/
通称LTと呼ばれるイソギンチャク。触手が長いのが特徴で、体壁が赤く染まるものが多い。おもに砂地に生息し、イボハタゴと同様、砂中にある岩などに定着する。定着するとあまり移動しない。サイズは直径20㎝ほど。クマノミ系やスパインチークなどが共生しやすい。

めざせ、長期飼育! イソギンチャクの飼育法

飼育にはサンゴが育成できる環境が必要

 イソギンチャクの飼育だが、クマノミに比べるとその難易度は高い。清浄な水質と強めの光量が必要になるからだ。どれくらいの飼育環境が必要になるかというと、LPSが育成できる環境であればOK。サンゴ類に比べて排泄物などが多く、水を汚しやすいため、簡素なシステムでの長期飼育は難しい。システムは強制ろ過とベルリンシステムのどちらでもかまわないが、それなりのろ過能力が必要になる。

 照明はイソギンチャクの種類によって光量の要求が異なる。もっとも強い光を好むのが、浅瀬に生息するハタゴイソギンチャク。高輝度LEDやメタハラを用いて飼育したい。そのほかの種類も総じて明るい環境のほうが育成しやすい。

 水温は25℃前後が適温。高くても28℃以下をキープしなければいけない。適度な水流も必要で、水中ポンプを取りつけるとよいだろう。

 水槽レイアウトは、イソギンチャクが好む環境に合わせて配置しよう。イボハタゴ、ロングテンタクルなら砂地にレイアウトする。底砂は5㎝程度敷いたほうが落ち着きやすい。また、ハタゴやシライトも底砂があるほうがよいが、2~3㎝程度で問題ない。センジュやタマイタダキ、サンゴイソギンチャクは岩場に配置させるとよい。

よくあるトラブルに備えて予防策を

 イソギンチャク飼育のトラブルの多くは、移動することで起こる。そのなかで最も多いのは、フィルターなどの吸水口に吸い込まれてしまうというもの。吸い込まれて時間がたってしまうと救出&再生は難しい。事故の防止にはポンプやストレーナーにスポンジをかぶせるなどの対策が必要だ。オーバーフロー水槽では、フローパイプにイソギンチャクがはまって本水槽から水があふれるというトラブル例もある。とくに、フロー管が立ち上がっているだけのスタイルではイソギンチャクがはまり込みやすいので注意しよう。

 このほか、移動してヒーターの上に乗ってしまってヤケドするケースも。ヒーターを水槽内に入れる場合はカバーを取り付け、イソギンチャクが乗らないようにライブロックで隠すとよい。

長期飼育の条件元気な個体を見極めるコツ

 飼育環境を整えてもイソギンチャクが長生きしない。その要因の大半は個体の選び方にある。一度調子を崩してしまったら、その状態を立て直すのはベテランでも困難だという。よい個体を見極めて入手することが、長期飼育の第一条件となる。

 まず、イソギンチャクの体壁をチェックして破れている箇所がないかを確認しよう。破れている場合には全体が萎縮していることが多い。また、真っ白く色抜けした個体も要注意。弱っていることが多いので購入は避けたほうが無難だ。ただし、のびのびと触手を伸ばしているものであれば、褐虫藻が戻る可能性もある。このほか、口がだらしなく開いてしまっている個体も選ばないほうがよい。さらに口から内蔵が露出している個体はすぐに死んでしまう場合がほとんどだ。

 触手をきちんと伸ばし、生き生きとした個体を選ぶようにしよう。

カメラ:平野 威 Takeshi Hirano、湧口真行 Masayuki Yuguchi
テキスト:平野 威 Takeshi Hirano
媒体:AQUA Style 11

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