2019.04.25

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

コーラルブリーディング「LPSブリードの極意を知る」

ソフトコーラルやミドリイシなどと比べるとカット自体の難易度が高く、ブリードに関しては敷居が高いことも否めないLPSの仲間。そんなLPSのブリードの奥義を、我らがミスターブリード、ネオウェーブの阿久根直之氏に伺った。

LPSカットの必需品といってもいい、ダイアモンドアクアソー。友達同士でシェアして持ってみるのもよい。

――:LPSのカットといえばダイアモンドアクアソーを使用するのが確実だとは思いますが、アクアソーを使用せずに行うのは不可能ですか?

阿久根:LPSのカットはアクアソーがなくてもカットできる種類もあります。シコロサンゴ・フォックスコーラル・ウミバラ・スリバチサンゴなど比較的骨格が薄い形状な種類であれば、SPSと同様にクリッパー(ニッパー)で簡単にカットすることはできます。ただしキレイにまっすぐのカットは難しいです。どうしてもサンゴの形状や薄い部分厚い部分がありますので、変形して裂ける
形に切れてしまいます。

 キレイにカットをしたいのであれば、スカルペ(メス)でサンゴに切りたい方向や切りたいサイズに、骨格に傷を入れておけばその溝に沿ってカットすることもできます。あとはタバネサンゴのように1つの群体の集合体であれば、そこを避けるように切り込みを入れれば、小さくすることも可能です。

――:これまでに阿久根さん本人が挑戦してきたLPSの種類を教えてください。

阿久根:これまでに挑戦した種類は、アザミサンゴ・アザミハナガタ・アワサンゴ・オオタバサンゴ・トランペットコーラル・オオバナサンゴ・カビラタバネサンゴ・キクメイシ・クサビライシ・コエダナガレ・ナガレハナサンゴ・コハナガタサンゴ・スリバチサンゴ・ゾウリイシ・パラオクサビライシ・タバネサンゴ・ハナガササンゴ・ハナサンゴ・ミズタマサンゴ・ウィスカーズ・キッカサンゴ・ガラハナガタ・スコリミア・トゲルリサンゴ・ヘロコーラル・アバタセンベイなどですね。

――:すごい種類数です。

阿久根:何を調べてもどこにも載っていないので、自分自身の興味もあり、実験の感覚でおこなっていた時期もありますので(笑)

――:これから挑戦してみたい種類があれば教えてください。

阿久根:ウチウラタコアシはまだやったことのない種類ですので、今後チャレンジして見たいと思います。それから、不可能ともいわれてますが、同じサンゴのカラー分けを、半分に分けて2合体させてみたいです。コモンサンゴなどでは実際にできているものを海外のサイトで見ましたので。

――:ぜひ挑戦して成功したら、連載かこのコーナーかで紹介しましょう!

阿久根:頑張ります。

――数多いLPSの種類の中でも、比較的成功率の高い種類を教えてください。

阿久根:成功率でいえば、トランペットコーラル・タコアシ・ナガレハナ・キッカサンゴ・カビラタバネ・ウィスカーズなどは簡単だと思います。

――:より成功率を高めるために必要なことはありますか?

阿久根:やはりもともとの状態のよい個体を選ぶことです。ですので、購入してすぐの個体はおすすめできないですね! 状態の悪くなったサンゴのダメージのある部分を取り除くカットの場合は、できるだけ溶けている部分と離れたところをカットすると良いでしょう。カット後のケアも重要で、新鮮でクリーンな海水でディップをすると助かる確率も比較的、上がる印象があります。

――:成功率の低い、難易度の高い種類を教えてください。

阿久根:オオバナサンゴ・アザミハナガタ・アワサンゴ・コハナガタサンゴ・ハナガササンゴ・ミズタマサンゴ・ガラハナガタ・スコリミアなど、共肉に厚みのある種類は難易度が高いですね。

――:カット後のディップの濃度や、付ける時間を教えてください。

阿久根:ディップの濃度はSPSなどとほとんど変わりませんが、入れる時間は少し長めにやっています。長くても10分程度です。

――:傷口が塞がるまでは、定期的なディップが必要ですか?

阿久根:完全に傷口がふさがっていればもうする必要はないでしょう。少しでも傷口があれば週に1回程度、定期的にディップをする必要があります。

――:カット後、断面の傷口が塞がるまでにどれくらいの時間がかかりますか?

阿久根:早いもので、2週間ぐらいで傷口がなくなる個体もあります。逆に長いもので2ヶ月ぐらいで覆う個体など様々です。

――:同様に傷口が完全に塞がり、触手が出てくるまでにどれくらいの時間がかかりますか?

阿久根:例えばアザミハナガタやスコリミアは、ピザのようにカットしても傷口が1か月ぐらいでふさがりますが、新たに触手が完全に出るまでは早くても半年はかかります。元の丸い形になるまでには約2年はかかります。

――:傷口が塞がるまでの間、水槽内で行いたい管理や注意点はありますか?

阿久根:できるだけ水質の良い環境でストレスを与えないよう、水流もほどほどにしておかなければ、水流の摩擦で成長が遅くなります。給餌も最小限で餌を与えて、被覆をしてしまえば通常通りの餌を与えてください。

――:塞がるのが早い種類、遅い種類を教えてください。

阿久根:本体自体をカットした際に塞がるのが早いのは、キッカサンゴ・アバタセンベイ・アワサンゴ・ハナガササンゴ・ウィスカーズ・ヘロコーラル・トゲルリサンゴ・スリバチサンゴ・ゾウリイシ・パラオクサビライシ・クサビライシなど。

時間がかかるのは、トランペットコーラル・オオバナサンゴ・カビラタバネサンゴ・キクメイシ・コエダナガレ・ナガレハナサンゴ・タバネサンゴ・ハナガササンゴ・ハナサンゴ・ミズタマサンゴ・ガラハナガタ・スコリミア・・コハナガタサンゴアザミサンゴ・アザミハナガタ・オオタバサンゴ、などが挙げられます。

――:これまでの経験で驚いたことなどあれば教えてください。

阿久根:スコリミアやハナガタなどは、丸を半分に切ってしまっても時間がかかりますが、元の丸い形状に戻るということがわかりました。それからクサビライシのカットのサイズを小くするほどに被服後、新たな株が出て、苗木のように増えていくというのもわかりました。

――:その他、なんでも誌面を通じて読者に伝えたいこと、LPSのカットについて上記以外でなにかあれば合わせて教えてください。

阿久根:ブランチタイプなどのサンゴを分割することは簡単にできますが、本体を切るブリードは時間も費やし、リスクもあることです。オオバナサンゴなど部分的に溶けてしまった部分の再生は時間が解決してそのうち、元の形状に戻りますのでむやみにカットしたりしないほうがリスクは減ります。溶けた部分に苔などがついている状態では絶対に元に戻らなくなりますので、コケの生えにくい環境をしっかりと作り、ほかのサンゴにも良い環境が作れると思いますのでLPSとはいえ、定期的な水換えや水質管理をしてください。

阿久根氏がいまだ挑戦したことがないという、ウチウラタコアシサンゴ。ぜひチャレンジしてほしい。

カット後の生存率が高いトランペットコーラル。たしかにバディング個体の流通が多い。

傷口が塞がるまでは、ディップは定期的に行った方がよい。

完全に丸形に戻るのには、2年程度の時間がかかる。短気な性格には向かない。

骨格部分から小さな子株が複数生えてきた、クサビライシ。

写真・取材協力:ネオウェーブ
テキスト:鶴田賢二 Kenji Tsuruta
媒体:コーラルフリークス 19

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