2019.03.31

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

ゴローで作るオーダーメイド・ウェーディングシューズ【後編】

今年も早いもので4月。トラウトマンは解禁直後でいてもたってもいられない頃だろう。前編からしばらく時間が経ってしまったが、ゴローのウェーディングシューズの話の後編をお届けしよう。フライフィッシング狂の若山さんが、オーダーした一足を履いて川に立つ。とある夏の日の釣行に密着した。

出来上がったウェーディングシューズを履いて

右が完成したゴローのウェーディングシューズ。左は若山さんの最初の一足、憧れだったラッセルモカシン。登山靴がベースとなったクラシカルなデザインだ。

東京は白山にあるブーツの老舗「ゴロー」でウェーディングシューズを注文した、フィッシングブランド「Fish」の若山さん。前編でお届けした採寸から待つこと約2ヶ月、待望のシューズが届いた。

採寸した時、若山さんの足の大きさは左右で0.4センチ違いがあり、甲の高さも違っていた。それがオーダーメイドと既製品でははき心地に違いがでるのか。そして登山靴メーカーのウェーディングシューズは実際どうなのか? 彼にゴローのシューズの調子を伺う。

朝一は思い切ってホッパー(バッタ)。入渓ポイントでフライを結び、白泡の中から大物を狙う。

いつもの休日、馴染みの流れ

青々とした緑が気持ちの良い8月、若山さんの釣行に同行させていただくことに。その時すでに何度かウェーディングシューズを履いて釣りに行ったという若山さんは「もう足に馴染んでる感じがありますよ」と、気に入って愛着も湧いてきた頃だった。

真夏だというのに嫌な暑さもなく、心地よかったその日、多忙の合間を縫ってやってきたのは関東近郊のとある川。靴を馴らすにはもってこいの、彼にとっては釣り慣れたお気に入りの川の一つだ。

空が白み出した頃、変化に富んだ一筋を釣り上がる。

朝5時着。幸いにも先行者の影ない。ようやく手元が見えるくらいに明るくなったところで支度をし、足元に気をつけて川まで下る。仕事が忙しく、なかなか思うように釣りにいけなかったそのフラストレーションがあったからか、シューズのおかげなのか、それともいつものことなのか、朝だというのにその足取りは軽快に見えた。

森林浴を楽しみながら、心穏やかに竿を振るう。すっかり緑が生い茂ったお盆の時期、虫も釣り人も羽を伸ばす。 

特有の美しい模様がはっきりと見てとれる、手のひらサイズの小さなヤマメ。放流も盛んな川だが、ヒレも整った綺麗な個体も多い。

若山さんによるウェーディングシューズを履いてのファーストインプレッションは、やはりフィット感についてだった。

「これを履いて初めて釣りに行ったときでさえ、少しも足が痛くならなくてよかった。普通のことなのですが、特に履き始めはどこかきつい部分などがあったり、多少違和感を覚えるものだと思うんです。採寸の時にゴローのご主人が“左右同じ足のサイズ同じ形の人は少ない”とおっしゃってましたし、そこはオーダーメイドならではの強みですね」

彼の足は左右で甲周りで0.8cm、長さは0.4cm違うため、これまで使っていた既製品では、当然ぴったりフィットというわけにはいかなかったのだろう。

しなやかな弧を描くバンブーロッド、矢のように飛んで行くライン。フライはふわりと着水する。

天然ウールのフェルトソールは濡れた岩の上で真価を発揮。滑る心配も、ストレスも少なく歩ける。

「足元にかかるストレスがないというだけで釣りに集中できる気がして。この違いはでかいですよ。川と山を長いときは10時間以上歩くわけですから。やっぱり登山靴の名店だけあって、疲れにくいノウハウがこのシューズにも詰まっているんでしょうね。流れが緩やかな川は特に、水の中の石に藻がつきやすくて滑りやすくなっているので、このグリップが良いフェルトソールは間違いない。天然素材だから減りが早い気はしますが、でも5回くらいは貼り直しができるだろうとおっしゃってたので、その時はリペアに出そうと思います」

太く強よい流れの切れ目から出て来たのは、見事な尺越えのヤマメ。午前中からお腹いっぱいの釣果があった。

朝測った時の水温は適温。水温が年間を通してあまり変わらないというこの川は、魚にとっても住みやすく、トラウトマンにとっても嬉しい川なのだとか。朝まずめ小さなヤマメやニジマスが遊んでくれた。

フライを投げては上流へ。気がつけばゆっくり2Kmほど釣り上がって来た来たようだ。ちょうど日が高くなり、気温がぐっと上がって活性が悪くなってきたため一旦川から上がった。

ちょうどお腹も減ったので行きつけの店に向かい、冷たいうどんをすすり、午後は山岳部へクルマを走らせた。

若山さんにとって川こそ憩いの場所。たまに立ち止まっては自然を感じ、せせらぎを聞く。

地元民に愛されている隠れ家的うどん屋さんでランチタイム。

釣り場と同じぐらい大切なお昼寝スポット

コットの上に麻のシーツを敷いて寝床が完成。自然の音を子守唄に、ゆっくり昼寝をするのが若山さんの王道パターン。

日の出から釣りに行くときは、決まって食後に昼寝をするのがいつもの流れ。若山さん曰く、「朝から釣りに出かけるのは、気持ち良く昼寝をするためと言ってはも過言ではない」。のだとか。

やってきた川は、釣り場同等かそれ以上に大切な絶好のお昼寝ポイントでもある。

ここは通いつめてようやく見つけたベストなコットの設置場所。釣り人も少なく、程よい日陰があって、水の音に癒される。また、河原のすぐそばまで車で近づけるので、荷物を運ぶのも手間じゃない。上流域は岩が多いため、探してみると思った以上に平坦な場所が少ないのだ。

ここで3、4時間心地よく寝て、起きたらコーヒーを淹れて川を眺める。
この川はヤマメもイワナも居るものの、天然ものはイワナだという。普段は昼寝をするだけだが、久しぶりにここのイワナの顔を見ようと、その日は再び竿を取った。

午前中での本流とうって変わって、上流部らしい大岩が多く見られる渓流。木漏れの中をのんびりと釣り上がる。

「唯一このウェーディングブーツの難点を挙げるとすれば、いま出ている他社のシューズよりソールが給水しやすく、重くなる点。今回のような穏やかな流れではバッチリですが、アップダウンが激しくて長く釣り歩く時には向かないのかなとは感じました」

川を変えれば竿やリール、ライン、フライを変えるように、シューズも変える余地があるというのが、今回使ってみてより明確になったそう。しかし足にフィットする点、滑りにくてストレスなく歩けるという点においては、若山さんのベストシューズに君臨しているという。

アッパーはネオプレンとナイロン、レザーを組み合わせて構成されている。だから魚を取り込む際にしゃがんで足を曲げてもキツくなく、それでいてタフに使える。

「アウトドア遊びの楽しみは、そのアクティビティー自体にあると思いますが、加えて自分のスタイルを見つけることにも醍醐味があると思っています。特に釣りにおいては、人によって釣り場も違うし、釣り方も1日の過ごし方も違います。道具や服においてもそうだと思うので、人の目を気にしたりブランドネームなどに翻弄されず、自分のスタイルに合っていて、使っていて気持ちがいいものを選ぶべき。僕はそう考えています」

キラキラと反射する綺麗な水面とつぶらな顔のイワナ 。川底は白く、魚も透明感があるのがこの川の特徴だ。

「もちろん使っていて気持ちがいい道具っていうのは、機能やスペックという話だけではなく。僕の場合はモノ自体の雰囲気もとても大切。それが僕のスタイルです(笑)。結果いまも使い続けているものは、色々試してたどり着いた自分にとってバランスの良い道具です。実のところFishのモノづくりの原点は、僕が理想とするフィッシングギアのアウトプットなんですよ」

最後は市街地でイブニング

鳴きだした鈴虫が夏の暮れを感じさせる夕方。手元が見えなくなった頃、川でライズが始まった。

今回来た流域は去年とその前の年から急に魚が減ったのか、ライズがほとんど見られない。だから釣り人も少ないのだとか。だから若山さんはこの年、今までと違うアプローチを行っていたという。昔全く釣れなくて行かなくなったポイントに行ったり、今までと違う時間帯にアプローチしたりする事で、新しい発見をしたのだ。

「違う川を探るのも良いけれど、同じ川を深く探るのも、それはそれで楽しい作業ですよ」

結果、この日も型の良い魚を釣り上げ、釣り取材としては最高のものとなった。暮れなづむ山を背に竿もしまい、この日は終了。
……と思われたものの、市街地を走っていると「鈴木さん、どうせ夕方は高速が渋滞しているんで、イブニングにトライしても良いですか?」。と駄目押しの提案があった。

「普段はこんなにみっちり釣らないんですけど、今日はライズしそうな気がするんで(笑)」。そして若山さんが運転する車は、イブニングを狙って市街地に近い川へと歩を進めて行った。

市街地を流れる、この川きってのメジャーポイント。ヘッドライトをつけて最後のアタック。

そして期待を裏切らず、結局やっぱり釣れてしまった良い形のヤマメ。

満足のいく釣果があった帰りの車中。若山さんと田舎暮らしの話になった。レディスのブランドが中心ではあるが、始めたばかりのFishにも力を注ぐべく、今は真剣にフィールドに近いところに住むことを考えているという。

子供の頃から地元の岐阜で釣りを嗜んでいた元来の自然好きで、心地よく感じるのもやはり東京より田舎だと気がついてはいた。しかしここにきて本格的に移住に動き出しているのだとか。

デザインしている服も自ずと天然素材のものが多く、釣りでもバンブーロッドを愛好している。それは懐古主義や自然回帰的なものでなく、性に合っていて使いやすいからだという。便利さだけを求めるだけでなく、ちょっとした不自由も含めて楽しみたい。1日を通して、そんな趣味人らしい若山さんの考えが窺い知れた。

40cm近い秋のオス。撮影からひと月後の同じ流れでの釣果。この一匹でシーズンを納めた。

フィッシングブランド「Fish」も要チェック!

さて、ここまでご協力いただいた「Fish」の若山さん。
だが、改めてFishとはどんなブランドなのか?? 最後にそのアイテムをご紹介させて頂く。

”バーサタイル”ウールパンツは2019年秋頃にリリース予定の新作。度詰めのジャージ生地で、素材はウール70%コットン30%。

人によって違いはあるものの、ウェーダーを履く際は下にスウェットやサポートタイツというの一般的かと思う。しかし、スウェットやタイツでは道中の飲食店はおろかコンビニですら行きづらい。かと言って普段着から履き替えるのも面倒臭い。

こちらは長年の構想を具現化したという、自宅からそのまま履いていけて、快適に車が運転できて、そのままウェーダーが履ける、お洒落で動きやすいパンツ。街と釣り場、両方で使えるツーウェイ仕様という代物だ。

この手のアイテムによくあるパジャマのようなルックスではなく、スラックスのような上品な見た目。さらに伸縮性、保温性に優れている。また、股下にマチが取られているので、急斜面を登る際に足を大きく開いてもストレスを感じることがない。

ロングスリーブカットソー。ウールのカラーバリエーションはアイボリー、チャコール、ブラックの三色。

Fishの代表作でもあるロングスリーブのカットソー。
デザインとしてはシンプルにブランドロゴが刺繍されているだけ。しかし、ほかのカットソーブランド以上のこだわりがこの一枚の中に詰め込まれている。

特筆すべきはパターン。肩の可動を良くするために特殊なラグランスリーブを採用。上下左右あらゆる方向に動きやすい最善の形を取り入れた。また、20年間にも渡ってレディスブランドも手がけているだけあり、素材作りから一過言あり。アウトドアのアンダーとして最適と言われているウール素材を採用している。

今シーズンよりコットン素材(ライトグレーのみ)も展開。

生地は細くて長い繊維を持つことで有名なメリノウール及びファインコットン製で、細く、それでいてソフトに撚った糸を使用。ウール100%なのに洗っても硬くならず、ケバも立ちにくく、ゴワつかず、いつも柔らか。

パッとみた感じでは、アウトドアで着るものとは思えない上品なTシャツに仕上がっている。
しかし、水に濡れたり、汗をかいたり、日差しを受けるという環境、尚且つ腕の可動域が広くなる釣りにおいては、とても理にかなっている一着と言えるのだ。

Infomation

若山さん曰く、マニアックでワクワクするフライショップ「HIRANOTSURIGU」にてFishのアイテムを販売中。
同店はヴィンテージロッドをはじめ、店主が気に入った道具しか店頭に置かないという、その道のプロショップ。Fishをリアル店舗で見て購入ができる場所は限られているので、気になる方は同店まで足を運んでみてほしい。

『HIRANOTSURIGU』
Address:東京都北区浮間4-12-9
営業時間:11:00〜19:00(平日)、10:00〜18:00(土日祝)、火曜日
Tel:03-3960-5279
https://www.hiranotsurigu.com/

『ゴロー』
Address:東京都文京区本駒込6-4-2
営業時間:11:00〜20:00(月曜〜土曜)、11:00〜18:00(日曜・祭日)、火曜定休
Tel:03-3945-0855
http://www.goro.co.jp/

◆若山さんのフィッシングライフは、FishのInstagram「@fish_waka」をチェック!
お問い合わせはFishのアトリエまで。 Tell:03-5773-5520

おまけ:編集部鈴木もFishのシャツを愛用中

取材時の合間にちゃっかり釣りをしていた鈴木。この時もインナーにFishのウールシャツを着ていた。

余談になるが、編集部鈴木もFishのウールシャツの愛用者。

着心地がよくて寒い日にインナーとして普段は活用しているが、快適さを感じるのはやっぱり外遊びでのシーン。特に感じているのは、運動している時に腕が動かしやすいという事と、とにかく臭わないという事。

登山で山小屋に泊まった時、散々汗をかいたのに風呂に入れない。それでもそのまま着ていて臭くならなかったし、釣りに行って転んで濡れてしまった時も、すぐ乾いて臭わなかった。

ちょっと宣伝じみてしまったが、Fishとは利害関係があるわけでもないので悪しからず(笑)
いちファンとして、読者諸兄にはFishの活動にも注目していただきたいと思う。

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