2019.01.16

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

パイクスピークで新記録を樹立した、フォルクスワーゲンのモンスターマシン

世界的に見ても過酷なレースのひとつ「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」において、フォルクスワーゲンのEVレーサーが驚異的なタイムをたたき出して優勝した。

 100年以上もの歴史を持っており、標高3,000m近くのスタート地点から4,301mのゴールまでを一気に駆け上がるという、世界的に見てもあまりに過酷なレース『パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム』。ガードレールなどない岩山を、猛スピードで疾走するレース映像の強烈なインパクトや、モンスター田嶋や日本車ブランドの活躍もあり、日本でも熱狂的なファンを持つレースだ。

 2018年大会においてフォルクスワーゲンが送り込んだEVモデル『I・D・ R Pikes Peak』が7分57秒148という驚異的なタイムで総合優勝した。これは2013年にセバスチャン・ローブがプジョーを駆って叩き出した、2013年大会でのレコード記録からなんと16秒もタイムを短縮させたということになる。

 そもそもパイクスピークが開催される山岳道路は、ゴールに近づくほど標高が上がり、酸素が薄くなってゆくことから、内燃機エンジンの場合燃焼効率が下がって不利だとされてきた。それでもキャブレターからコンピューター制御のインジェクションへと時代は移り変わり、さらには全面舗装されるなど、以前に比べればタイムは格段に縮められてきていた。にも関わらず、このEVモデルは一気にその記録を打ち破ったのである。

 さかのぼれば2015年大会において、ラトビアのレース車両メーカーである「Drive eO」が出走させたEVモデルPP03が優勝を飾っていたこともあり、パイクスピークに参戦するチームの中にも、"EVレーサーはすでにガソリンエンジン車と同等、もしくは有利かもしれない"と噂されているふしがあったことも事実ではある。

 加えて今回の総合優勝は誰しもが驚愕するタイムをたたき出したことにはじまり、自動車販売台数世界一を誇るフォルクスワーゲンが送り込んだモデルであること、そして起用したドライバーが世界耐久選手権やラリーでも活躍し、過去2大会においても優勝した実績を持つロマン・デュマだったことで、世界中のモータースポーツファンはレースの世界におけるEVモデルの強さを再認識させられることとなったのだ。VWチームの関係者はまだまだタイム短縮の余地があると口々に話す。来年以降のパイクスピークもEVモデルはますます活躍を見せてゆくことだろう。

車名に"パイクスピーク"のイニシャルが付けられた、同大会専用モデル。大会の一週間前に行われた練習走行時でも、まだ開発テスト段階のような状態だったというが、見事に素晴らしい記録を樹立した。

ドライバーと務めたロマン・デュマは過去3度の優勝経験を持つ。
「一部路面がぬれていたためロスが出てしまった。仮にコースの状態が完璧だったら、あと10秒はタイムを縮めることができた」と話す。

Photograph:Volkswagen AG
Text:Dan Komatsu

NEWS of E MAGAZINE

ARCHIVES

RANKING

POPULAR TAG

NEWS

SEARCH