現段階で、世界最速のEV車である「EP9」を生み出した。

世界のEV累計販売台数は約300万台で、その4割は中国市場に販売されている。そう、中国は世界最大の自動車市場でもあり、世界一のEV大国なのだ。中国というと、北京での大気汚染など環境問題が深刻で、世界最大の二酸化炭素排出国であるが、習近平国家主席は2018年新年の挨拶で、「温室効果ガス削減・抑制目標」を定めるパリ協定を遵守すると明言。トランプ大統領がパリ協定を脱退したのとは対照的に、世界のエコ文明を築くリーダーになるとし、脱炭素社会とEVを中心とした世界トップクラスの自動車産業を築くべく着々と取り組んでいるのだ。

クルマやモータースポーツが好きな方ならばNIOと聞いてピンと来た方もいるかもしれない。そうNIOはフォーミュラEでのチームを持ち、参戦している。当初はネルソン・ピケ・ジュニアをドライバーとして迎え入れ、年間チャンピオンシップで優勝を遂げたこともある実力を持っている。
さらには公道走行可能市販車として、FoS(グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード)やニュルブルクリンクでのコースレコードなども持つEV「EP9」も、NIOが作り出したモデルだ。
EP9は合計4基の電気モーターを搭載し、最高出力は1,360㎰を発生、最高時速は313キロで、時速200キロに達するまでわずか7.1秒しかからない。先述したレコード記録からもわかるように、現時点で世界最速の公道走行可能な市販車なのである。

このようにスーパースペックEVで世界中のモーターファンを驚愕させる一方で、先日は中国市場においてクロスオーバーEV「ES8」のデリバリーが開始されている。ES8に関しても最高出力は644㎰を誇るハイスペックなのだが、それにも関わらず価格は54万8,000元(約890万円)に抑えている。
他社にいたってはなかなか量産体制が整わないまま右往左往している間に、これほどのクルマを市場へと投入するまでに成長しているということにも驚くが、その真相はNIOそのもののブランドスタイルにあるのかもしれない。
取材協力:NIO(蔚来汽車) https://www.nio.io/
Text: Soichi Kageyama , Dan Komatsu
Coordination: Ganan Sho
媒体:『E MAGAZINE Vol.1』