2019.04.03

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

昔想像していた、近未来はもうすぐ。「自動運転とライドシェアの未来」

2018年12月、自動運転車開発会社のWAYMOが、ついに自動運転タクシーサービスをアリゾナ州フェニックスでスタートした。自動運転の技術により、移動の概念やクルマやIT企業の勢力図も大きく変わろうとしている。モビリティーサービスと技術の今と未来を、ITやライドシェア事情に詳しい佐藤耕一さんに解説いただこう。

ついにロボタクシーが走り出す

 いま世界中で、自動運転タクシーのテストが繰り返されている。自動運転のタクシーに乗れるなんて、まだまだ先の話だろうと思いがちだが、2018年12月、自動運転車開発会社のWAIMOが自動運転タクシーサービスをアリゾナ州フェニックスで開始。一部のユーザーに向けた限定的なサービスをスタートさせたというニュースが飛び込んできた。

 ではなぜ、世界は自動運転タクシーの開発に注力しているのだろうか。人間の運転手さんがいるタクシーのほうが安心だし、それで充分事足りるよ、という意見も確かに一理ある。しかし、タクシーのコストのうち、人件費が7割以上である(※一般社団法人 全国ハイヤー・タクシー連合会HPより)、という事実を知ったらどうだろうか。

 仮に、現在のタクシー料金の7割を占める人件費がなくなり、いまの3割の料金になったら、私たちのライフスタイルはどう変わるだろうか。まず、タクシーの利用頻度は間違いなく上がるだろう。いまはバスや自転車、徒歩でまかなっているちょっとした移動を、自動運転タクシーで移動するようになる。

 そうしたライフスタイルに慣れていくうちに、自家用車を所有することの"ムダさ"に気づくに違いない。クルマの買い替え時期になったとき、はたして新しくクルマを購入するだろうか。

 一方で、世界のタクシー業界は転換期を迎えている。ご存知のとおり、アメリカ発の配車サービス「UBER」が世界中にサービスを展開し、それをまねたサービスも続々と誕生し、利用者が増え続けている。そしてUBERは配車サービスを展開しながら、世界に先駆けて自動運転タクシーのテストを開始している。もちろん自らのサービスで利用するためだ。UBERがこれまでに蓄積してきた配車サービスのノウハウに、自動運転タクシーを組み合わせて、モビリティに革命を起こそうとしているのだ。

Google 関連企業で無人タクシーの実現を目指すWAYMOは、ついに12 月からアリゾナ州で商用サービス「WAYMOONE」を開始した。当初は係員が同乗する模様(写真はイメージ)。

自動運転レベル4は東京オリンピックで実現

 自動運転レベル4とは、すべての運転操作が自動になることを意味している。言い換えると、人が運転することを想定していないので、運転席がない。よって、アクセルやハンドルがない(※)。

 そのようなクルマが、1年半後の東京オリンピックで、都内の公道を走ることになる。トヨタは、自動運転レベル4の自動車を、東京都内の臨海副都心地区・羽田地区の特定エリアで走らせることを表明。地域限定で低速で走るマイクロバスのような車両、トヨタ『e-Palette』が、まさにそのモビリティだ。レベル4が公道を走るなどという一見リアリティのない話だが、トヨタのプランということもあり宣言通り実現される違いない。

 そのような完全自動運転のバスが東京の街を走る姿が、東京オリンピックという舞台でお披露目されたあとの社会の変化について、想像してみよう。まず、赤字路線を抱える地方のバス会社が、自動運転バスの導入に向けて動き出すはずだ。彼らにとって自動運転バスは、一点の希望の光である。

 現時点でもすでに、地方のバス路線では盛んに自動運転バスの実証験が行われているが、技術的な課題はもちろん、最大の課題、"自動運転"に対する民意を得ることだ。これがオリンピックというイベントを契機に、大きく前進すると思われる。

 オリンピックという華々しい舞台で、事故なく自動運転をやり遂げる車両を見て、自動運転に対する漠然とした不安が、未来への希望へと変わるだろう。

 地方のバス路線は、高齢化による運転手不足と客の減少という、先の見えない課題を抱えながら、地方の"足"であり続けなければならないという矛盾を抱えている。自動運転バスは、そのような地方の課題が深刻であるほど、矛盾を打開する救世主となりうる。

 そうして市民権を得た自動運転バスは、都市部にも普及していくだろう。自動運転バスは、当面は時速20キロほどの低速になるだろうが、バス路線はもっと細かく、便数が多くなる。そしてサービス面も進化する。利用者の場所や数に応じて、AIが最適なルートを考えながら走るようになる。いわゆる「MaaS」のひとつの姿だ。

 事実、フォード傘下のシャリオットやフォルクスワーゲン傘下のMOIAといったスタートアップは、そのような未来を想定してサービスを展開しているし、トヨタ『e-Palette』やフォルクスワーゲン『セドリック』、ルノー『EZ- PRO』などといった車両も発表している。こうした車両は、バスやタクシーの機能だけでなく、物流でいうラストワンマイルでの活用や、移動店舗など車内空間を様々に変化
させることが可能。業種に合わせてクルマの形態を変える、プラットフォームモビリティへと進化を遂げることになりそうだ。

 このような変化は、私達のライフスタイルも変えていく。MaaSのバスで通勤する人もでてくるだろう。バスは低速だが、ドアtoドアで運行し、ラッシュの混雑を避けられるのであれば使う意味がある。柔軟で低コストなMaaSバスは、移動のストレスから私たちを解放してくれる可能性がある。

ハノーバーモーターショーで発表されたルノー「EZ-PRO」。急増するラストマイルの配達ニーズに応える自動運転EV。その場で荷物が受け取れるロッカー機能を搭載。

自動運転EVとなるVW「セドリック」。ミニバンサイズのボディで運転席は無くビジネス、 スクールバス、スポーツなど、用途に応じた様々なオプションが用意される。

※レベル4 はエリアを限定した自動運転を指すため、エリアの外に出ることを想定した運転席のある車両もある
※公益社団法人自動車技術会(JSAE)JASO テクニカルペーパーより https://www.jsae.or.jp/PR/html/17012.html
 
 
CASEとは
 「Connected:コネクティッド化」
 「Autonomous:自動運転化」
 「Shared/Service:シェア/サービス化」
 「Electric:電動化」

MaaSとは
 「Mobility as a Service:移動のサービス化」

Text:Koichi Sato
媒体:『E MAGAZINE』Vol.1

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