2019.04.11

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

待望のテスラ・モデル3を平成最後、桜満開の日本で試乗してみた

テスラ モデル3

まもなく日本でも発売予定の「テスラ・モデル3」。コンパクトなデザインや革新的なダッシュボード、直感的に操作が行えるテスラならではのUI(ユーザーインターフェース)の魅力を一足先にEマガジンが日本初の試乗レポートをさせて頂く。

2018年度のアメリカのラグジュアリークラスセグメントで、ドイツ勢を抑えて13万8,000台を販売してナンバー1となった、テスラのモデル3。弊誌『Eマガジン』創刊号ではEV大国ノルウェーの現地取材で、新車販売のうちついに半分がEVになったと報告させていただいたが、2019年3月のノルウェー新車販売のうちEVが占める割合は58%と数ヶ月であっさり6割弱に。うち、テスラ・モデル3の新車登録台数は、販売数の29%を占めるほどの大人気となっている。

 そんなモデル3を、日本での販売に先立って試乗させていたたく機会に恵まれたので、『Eマガジン』的にレポートさせていただきたい。

iPhoneを初めて使ったような衝撃かも

 モデルSでは、その暴力的なほどの加速力とEVならではの静粛性、ダッシュボード中央の大型ディスプレイ。モデルXでは、ファルコンウイングや広い室内と使い勝手の良さ。これらハードだけでなく、随時テスラがアッブグレードしていくソフトの先進性にも驚かされたが、モデル3にはさらなる驚きがあった。

 EVを形容するときに使い古された言葉ではあるが、まさに"ガラケーからiPhoneを初めて使ったときの衝撃"と似ている。試乗したモデル3はロングレンジモデルで、リアにモーターが配置されるRWDの左ハンドルモデルである(日本導入モデルは右ハンドル)。

 モデル3はアメリカ取材や日本のローンチイベントで何回か見ていたが、まだ試乗していないモデルだっただけに、日本のナンバーがついたモデル3を見て、やけに興奮してしまった。駐車場でモデルSのとなりに並んでいるところを見ると、いかにもコンパクトで乗りやすそうな印象を受ける。モデルSは白線にみっちり停車して大柄だが、モデル3は隣に停車中のクルマがあったとしても、ドアを開ける余裕が感じられる。

 デザイン最大の特徴はフロントグリルがないこと。ラジエターがないのでそもそも外気を取り入れるためのグリルがいらず、空気抵抗が電費に直結するEVだけに、滑らかな爬虫類のようなフロントマスクは理にかなっている。自動車メーカーが作るEVは、グリルはブランドのアイデンティティという考えがあるため、ダミーのグリルがついている(モデルX、モデルSにもあえてデザインされている)が、モデル3にはそれがないので、えらくさっぱりしている。

 フロントマスクは好みが分かれるところだろうが、ナンバープレートがつくとノッペリ感はかなり改善される(もう少し車高が低いとカッコイイかも)。ただ今後、グリルのないEVを他のメーカーが出すと、モデル3の二番煎じというイメージになってしまうかもしれない。

革新的なダッシュボード、直感的に操作できるUI

 モデル3で一番革新的なのは、ダッシュボードである。机にiPadを置いただけのような究極にシンプルな室内は、割り切っていて斬新だ。ただ、実際運転してみると使い勝手はどうなんだろう? と常々思っていた。しかし結論からいうと、モデル3のようなタッチ式ディスプレイがひとつあれば、運転も操作もまったく問題ない。というよりもセンターに全部集約しているので、恐ろしく使いやすいのだ。

 しかもUIが抜群にすぐれている。乗車時にすべての操作説明を教わったわけではないが、普通にすべての要求を操作できる。まだ要求を言葉にできない乳児が、スマホでYouTubeを見ているのと一緒であろう。感覚的に行きたいコマンドに行けるというスゴさがある。

 そもそも雨が降れば自動でワイパーが作動し、暗くなれば勝手にライトがつくので、クルマで何かを操作する機会自体が減っている。エアコンの吹き出し口もスリットだけで、風向きもディスプレイのタッチで制御。また音声入力もあるため切り替えスイッチすらいらないのだ。速度計はディスプレイのドライバー側に表示されるので、正面を向いていても視界に入る。そもそも高速道路はオートパイロットでほぼOKなので、法定速度にスピードをセットしてハンドルに手をのせていれば、スピード違反になることもないし、スピードを出したいとも思わない。

 電池残量はたまに確認すればいいだけなので、インパネ内には必要ない。ナビも音声が指示してくれるので、マップを常に見る必要もない。今後、クルマのインパネはモデル3のようにディスプレイがひとつだけになっていき、むしろ、インパネがあるクルマは古臭く見えるようになるかもしれない。

 今後センターディスプレイが主流となる頃に、テスラは完全自動運転を実現しており、インパネどころかセンターコンソールにすらディスプレイがなく、ただ空間に椅子が並んでいるだけというモビリティを作っているのかもと感じてしまう。今でもモデル3に乗り込み、音声認識で「どこどこまで行って!」と話しかけ、道路に出て自動運転をオンにしておけば、交差点やたまに車線を認識しないところでクルマがよろけたときに、ドライバーがアシストをするなどの場合以外は、基本的にあとは外を見ながら音楽を聴いてれば、目的地に着く時代なのだ。

GAFA時代のアメリカを象徴するクルマ

 さて前述したように、アメリカでモデル3はコンパクトラグジュアリークラスというカテゴリーだが、実際に運転するとラグジュアリーという感じはしない。何をもってラグジュアリーとするかは意見の分かれるところだが、ここもiPhoneに似ている感じがする。iPhoneは女子高生もお金持ちも持っているが、ラグジュアリーではない。革新的で洗練され、上質でブランド力はあるものの、いかにもなラグジュアリー感はない。

 モデル3に乗り、車載アプリの「Tune in Radio」でオールドスクールヒップホップを聴きながら、外の景色を眺めていると、ただの首都高湾岸線がロサンゼルスのハイウェイに思えてくる。コーナーリング性能が峠でどうのとか、ステアリングの反応性などは、EVと自動運転の時代になると個人的にはそれほど重要でなくなると思う(モデル3は加速もいいし、コーナーリングもよく考えられているのかもしれないが、私はそうした峠での判断はつかない)。

 どの媒体のテスラのレポート記事でも読んだことはないが、テスラで個人的に特筆すべきは、どのモデルもスピーカーの重低音がヤバいということだと思う。トランクにウーハーを積んでいるような、ど迫力サウンドはいかにも西海岸出身っぽい。テスラを借りて自宅に帰ると家の中まで重低音が響いてくるので、帰宅がすぐにわかると妻に言われたこともある。ということで、テスラ・モデル3はGAFA時代の現在のアメリカを象徴する新時代のクルマだ。平成最後の桜満開の東京でモデル3に乗れたことに、感謝したい。
 
 
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