2019.06.11

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

中国が世界のEV市場を制するワケ「BYTON」

 『E MAGAZINE』 Vol.1でもご紹介した、BMWと日産というキャリアを経た二人の"外国人"が中国で起業した「BYTON」は、その成り立ちも含めて、世界中から注目を集めている。

 BYTONはそのデビューから、国際的なイメージづくりを強く意識していた。同社初のコンセプトカー「M-Byte」のワールドプレミアは、中国国内ではなく、アメリカ・ラスベガスで開催されるCES2018が選ばれたこともそれを裏付けている。

 ブランドイメージやデザインコンセプトも、特定の文化的な土着性をあえて排し、無国籍でありながら、エッジーなカッコよさを訴求することに徹している。中国っぽさは微塵も感じさせないのと同時に、どこか特定の地域を感じさせる要素もない。
 
 

日本では大型SUVにあたる車格のM-Byte。コックピットには48インチの大型ディスプレイを装備し、ユーザーのデジタル体験を最優先する。

 そのBYTONは2019年1月のCESに出展し、2019年中のM-Byte生産開始と、欧米市場での発売をアナウンスした。価格は4万5,000ドル(約500万円)とされている。M-Byteを北米市場でのライバルと比べてみると、車格的にはテスラ「Model X」が近いが、価格は10万ドルからとM-Byteの倍以上だ。

 そのほか北米市場には、日産「リーフ」など価格帯が近いCセグメントのEVもあるが、車格的にも競合しない。

 筆者の個人的な予想ではあるが、M-Byteは欧米市場、特にEV優遇政策を採るカリフォルニアにおいては、かなりの注目を集め、相当な販売実績を残すだろう。そう考える根拠は、無国籍でカッコいいからだけではない。量産を実現するための具体的なファクトがあるからだ。

 まず、中国の大手自動車メーカー「中国第一汽車集団(FAW)」の出資を受け入れ、量産に関するサポートを受けながら、
30万台規模の生産ラインの完成を急いでいる。テスラが苦しんでいる"自動車の大量生産"という高いハードルを、BYTONはすでに越えているのだ。そしてリチウムイオンバッテリーは、いまや世界トップのバッテリーメーカー「寧徳時代新能源科技(CATL)」が協力するという。
 
 

中国のトップメーカー「第一汽車」とタッグを組み、大量生産のハードルを越えたBYTON。人気に火が付けば、一気にセールスを伸ばす可能性がある。

 中国の自動車産業は結局のところ、エンジン車では日米欧に勝てず、これまで世界では存在感を示すことはなかった。しかし中国は、EVによって要素技術が大きく入れ替わるタイミングを狙って、これまで国内でEV産業を粛々と育成してきたのだ。

 BYTONの欧米デビューは、EV時代に移行する自動車産業において、中国が世界を制する第一歩になる可能性がある。そして中国には、BYTONと同じアセットをもつほかのEVベンチャーも複数存在しているのだ。

 中国の逆転ホームランをいちばん警戒しているのは、日米欧の自動車メーカーであることは間違いない。
 
 

BYTONは、クルマの販売現場も変えようとしている。ディーラーは車両の展示と販売ではなく、BYTONのライフスタイルを体験する場だとする。

 
 
 
http://www.byton.com/
Text:Koichi Sato
媒体:『E MAGAZINE』 Vol.2

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