2019.06.12

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

EVは電柱で充電する!? 「東電の充電器事業本格参戦とサスティナブルな暮らし」

自宅やSAだけでなく、路上パーキング感覚で充電ができるようになるのかも……?

 東京電力ホールディングスが、EV向けの充電器事業に乗り出す。既存の電柱を活かした、急速充電器の設置コストが従来の半分ほどの工法を開発したという。

 ひとまずは首都圏に100台、EVの普及に合わせて数百台に増やしていく予定とのこと。現在、日本国内での急速充電器の設置台数は8千台ほどだが、こういった充電器や充電の機会が増え、電欠の不安が解消されれば、EVのさらなる普及に繋がりそうだ。

昼間は太陽光でEVを充電、余った電力は売電へ

 「BMW i3は快適ですよ。しかも速い。普段の生活範囲の行動はこれで充分です。充電も簡単ですし、長距離以外はこのクルマばかり使っています」。と語るのは施主の安田さん。奥様用のX1も合わせてBMWは3台、ロングツーリング用のバイクもBMWというBMWフリークだ。

 ご自宅の屋根にはソーラーパネルが取り付けられており、昼間は生活用の電力をまかなうとともに、余った電気を売電している。蓄電池はないので、太陽の出ない夜間などは電気を購入しているが、i3の充電も昼間であれば電力はゼロエミッションといえる。

 この自宅は200V電源を引いていないので、i3には家庭用100Vで充電。200Vと比べると充電速度は遅いが、近隣への日常使いではそれほど不自由ではないようだ。また、屋根には一般的な太陽光発電モジュール18枚のほかに、2枚の温水用集熱器を装着。太陽熱を利用して貯湯タンク内の水を温めてお湯にすることで、通常であればガスや電気で沸かしていたお湯を低コストで作ることが可能。このお湯は、風呂や炊事はもちろん、床暖房にも使われており、ガス代とCO2が約3割削減されるという。

 太陽光のエネルギーを暮らしにシンプルに取り入れたBMW好きのガレージハウス。太陽光パネルと100V電源というシンプルな組み合わせは比較的導入しやすいスタイルではないだろうか?

住居は2階が吹き抜けのリビング。風の吹き抜けを考慮した設計によりエコで快適な住まいを実現している。

室内のモニターでは、太陽光パネルでの発電、発熱を、電力換算でどれだけ発電したかも確認することができる。

ニチコンのトライブリッド蓄電システムで理解する「VtoH」

『V to H(V2H)』とは「Vehicle to Home」、つまりEVと家庭で電力をやりとりするシステムのこと。
EVの大容量電池を蓄電池とすることで、系統電力網が停電時にも電気を使えるようになる!
 
 
1)太陽光発電の有効利用
『系統連系』が実現したことで、従来の機器や仕組みでは売電するしかなかった太陽光発電の余剰電力をEVに充電することができるようになった。もちろん、EVに蓄えた電力を家庭で使用することもできる。

2)電力のピークシフトに貢献
電力需要が高まる真夏の昼間などは太陽光発電の効率も上がる。自宅の電力は太陽光発電でまかない、余剰電力を系統電力網に売電。また、電力に余裕のある夜間にEVへ充電することでピークシフトに貢献できる。

3)EVを非常用電源として活用
日本の自家用車はガレージに停まっている時間は長い。そこでEVの電池を家庭でも使える大容量蓄電池として活用。災害時など、もしもの停電時には、電力網が復旧するまでの数日間、EVが家庭の非常用電源になる。
 
 

 EVを蓄電池として活用するV2Hへの注目度が高まっている。V2Hには専用機器が必要で、国内トップメーカーといえるのが『ニチコン』だ。昨年3月に発売された『トライブリッド蓄電システム』は、太陽光発電(太陽電池)とEVの電池、さらに定置型蓄電池という3つの電池を変換ロスの少ない直流で結び、系統電力網と連携させるシステムだ。

 と、これだけでもう難解である。理解を深めるために、いくつかのキーワードを解説しておこう。

【系統連系】太陽光発電で得た電力は家庭で使った余剰分を電力会社に売電するのが基本。直接EVに蓄えることはできなかったが、系統連系することで可能になる。EVと系統電力網の連携は「V2G(ヴィークルtoグリッド)」とも呼ぶ。

【ダブル発電】太陽光発電と蓄電池を併用。夜間電力で蓄えた電気を、料金の高い昼間の家庭用電力として使用すること。ダブル発電を行うと電力会社への売電価格が安くなっていた(2019年は同価格)。

 ともあれ、各家庭のEVと太陽光発電、系統電力が繫がることには、電力システムを根幹から変えるほどの可能性がある。ニチコンからはより安価にV2Hを実現できる「EVパワーステーション」も発売した。EVとV2Hは、もうセットで考えるべきなのだ。今後にますます注目したい。

余剰電力を「充電」:太陽光発電した電力の余剰分をEVや蓄電池に充電し、朝や夕方など家庭の電力使用ピーク時に活用する設定。FIT売電期間が終了したユーザーの電気料金低減に貢献。

余剰電力を「売電」:太陽光発電の余剰分はすべて売電。深夜などEV(蓄電池)に充電した電気を電力使用ピーク時に活用する。EVの電気は売電しない「押し上げ効果なし」にも対応。

 
 
Photograph:Masayuki Yoshimi
Text:Dan Komatsu
媒体:『E MAGAZINE』 Vol.2

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