2019.06.25

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

メーカーの未来が見えるConcept EV①Mercedes-Benz / IN...

人々の想像力を掻き立てるもの、それがコンセプトモデルだ。 「非現実的だ」「出来るわけがない」と揶揄するのは簡単だ。しかし肯定した者にこそ、未来は切り開かれてきたのだ――。

01:往年のスピードレコードカーがモチーフ「Mercedes-Benz」

 クラシックカーの美を競うコンクールの最高峰「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス2018」にて、メルセデス・ベンツは壮大極まるEVコンセプト「ビジョンEQシルバーアロー」をワールドプレミアに供した。「シルバーアロー」の名は1934年
から1939年まで、現代のF1GPに相当するAIACR-GPを文字どおり席巻したメルセデスGPマシンに由来するもの。

 また、同時代から世界中で行われていた世界速度記録チャレンジのため、GPカーから改造された専用マシンもシルバーアローと呼ばれたが、このビジョンEQシルバーアローでモチーフとされたのは、ルドルフ・カラッチオラに1937年のヨーロッパチャンピオンをもたらした「W125」をベースとする速度記録用レコードカー。現在でも破られていない公道での国際記録を1938年に樹立した、記念碑的な一台である。

 モーターは前後車軸に搭載され、システム全体で750㎰もの大パワーを発生。シルバーアローの名に相応しいパフォーマンスを獲得した。また床下に搭載されるバッテリーは、蓄電容量80kWh。1回の充電で400㎞以上の航続距離を可能とするという。

 こんな最新鋭のEVコンセプトながら、往年の速度記録車をモチーフに選んだことには、たとえEVの分野でもチャレンジ精神を持ち続けようとする、メルセデス・ベンツの強い意志までもが垣間見られると思うのだ。

Mercedes-Benz Vision EQ Silver Arrow:
メルセデス・ベンツのデザインディレクター、ゴードン・ワグナー氏と彼のチームが手がけたカーボンファイバー製のボディは、全長5.3mに達する巨大なもの。しかしモチーフとされたW125レコードカーと同じく、完全なシングルシーターとなる。後半部がむき出しとなったホイールが「シルバーアロー」の出自を物語るようだ。

02:50sレーシングスポーツへの憧憬「INFINITI」

 2017年の北米「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」にて、1940年代のフォーミュラカーを彷彿とさせるEVコンセプト「プロトタイプ9」で話題を呼んだ日産/インフィニティは、2018年のペブルビーチでは、次作に相当するコンセプトカー「プロトタイプ10」を世界初公開した。

 プロトタイプ10は、1950年代のレーシングスポーツ、例えばジャガーDタイプのごとく、助手席側にカバーをかけた単座スピードスターにヒントを得たスタイルを提案。長大なノーズとオープンコックピット、ドライバー背後に設けられたフィン付きのヘッドフェアリングを特徴とする。

 クラシカルなデザインという点では、前年のプロトタイプ9の延長であるかにも見えるが、コンセプト10では基幹となるメカニズムもリニューアル。セダンやSUV、スポーツカーまで、あらゆるボディ形態とサイズに対応する次世代の電動モジュラープラットフォームを採用する。高剛性かつフラットなフロアは、モーターやバッテリーなど電動パワートレーンを当初から想定した設計との由。2021年から電動化を推し進める計画を掲げたインフィニティの近未来像を明確に示す一台、とされている。

 EVとなることで拓かれる、スポーツドライブの新境地を目指すコンセプト9&10は、プレミアムブランドのEVを模索するインフィニティが導き出した、魅力的な解答といえよう。

INFINITI Prototype 10:
インフィニティ自ら「古き良きカリフォルニアのスピードスターの伝統を体現」と標榜する美しきボディ。助手席スペースは、バッテリーの過熱を防ぐ巨大なエアインテークに充てられている。自動運転テクノロジーによるドライブアシストが想定されていないのは、このクルマのキャラクターを思えば当然のことと思われる。

 
 
Text:Hiromi Takeda ,Dan Komatsu
媒体:『E MAGAZINE』 Vol.2

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