2019.07.26

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

リピーターの多いカメラ屋さん。「ステレオカメラ」

 機械式カメラを手にする度に覚える新鮮な驚き。掌に収まるボディがまとう精密な重量感。大小のギアが精密に噛み合う感覚。シャッターが落ちる軽やかな音色。フィルム全盛時代に作られたカメラは、それ自体が独自の世界観を持つ工芸品。撮って良し、語って良し。デジタル時代の今、趣味の王道としての立ち位置はさらに確かなモノとなっている。

 ライカにローライ、ハッセルブラッド。憧れの名機たちは、当時の技術の粋を尽くした精密機械。まずはしっかりとした一台を手に入れようと思うのなら、スペシャルショップがオススメである。例えば「ステレオカメラ」という専門店。コチラは福岡に店を構えながら、県外からも評判がよいと聞く。常連のリピーターが多いというのも、信頼がおける理由のひとつである。
 
 

趣味性の高いユーズドカメラやレンズを扱う「ステレオカメラ」。ヴィンテージに付きものの修理やメンテナンスは、「中村光学」をはじめとする腕利き職人たちが支えている。

ズミクロンとの出会い――それが人生を変えた

 店主の饗場靖史(あいばやすし)さんとカメラの付き合いは幼少時代に遡る。カメラ好きだった父親の影響で、いつもカメラが傍らにあるような少年時代を過ごされたらしい。いわば生活の一部だったカメラに、本格的に取り組みだしたのは大学に入ってから。友人に誘われて入った写真部で撮りまくるようになったとか。

 ニコンのFM2といった一眼レフも手にしたが、当時一番よく使ったのは、コンタックスT2。カールツァイスの38㎜がとにかく良く写ると評判の高級コンパクト機は、一世を風靡した名機である。そのT2にトライXやイルフォードを詰め、風景やスナップ、そしてポートレイトを中心に作品撮りを続けたという。

 写真への情熱は、就職してからも決して冷めることがなかったという饗場さんは、ある時海外の通販サイトを通じて一本のレンズを手に入れる。ズミクロンの50㎜。M型ライカにとって、まさに標準中の標準ともいえる一本は、高い解像度と自然な描写力を見せつけてくれたという。

「レンズの力って、こんなにもスゴイものなんだ……」。

 銘レンズとの出会い。それが、「ステレオカメラ」誕生へとつながっていく。

1963 LEICA M3=13万8,240円(税込) Summicron 50㎜F2 沈胴=6万4,580円(税込):
ドイツ製の後期型M3は、シングルストロークの102万番台。人間の視野角にもっとも近いと言われる標準レンズの50mmと、ほぼ視野率100%に近いM3のファインダーは、王道中の王道の組み合わせとなる。

動画による丁寧な解説も評判

 書籍を読みあさっては知識を深め、実機に触れる事で経験値を上げていく。やがて扱う商品が増えていき、スタート直後は副業で始めた専門店も、気がつけば福岡に実店舗を構えるようになっていた。

 「扱っているカメラやレンズについては、やはり信頼してもらえる事を追求しています」という言葉どおり、ホームページではひとつひとつの商品について丁寧な説明がなされている。中でも評判なのは、動画による解説。饗場さん自身が手にとり、個体の状態をキチンと伝えてくれるのである。確かにこれならば、遠方のファンでも安心して購入することが可能だろう。

 そして何より、サイトや動画から伝わってくるのは、あふれ出る愛情である。手にしたレンズやボディを伝える語り口は、まさにヴィンテージカメラの伝道師。デジタルなミラーレスボディとヴィンテージレンズの組み合わせについても言及しており、肩肘を張らない写真生活も提案している。なるほど、たしかに旧いカメラが欲しくなる、そんな名店なのである。

Hassel bla d 500C/M=7万9,920円(税込)  Distagon C50㎜F4=5万3,784円(税込):
スウェーデンが生んだ中判カメラの傑作、ハッセルブラッド。35㎜フィルムでは28㎜に相当する広角の50㎜も人気の一本で、特にシルバーのレンズ鏡胴は美しく、三脚に据えて撮影する姿はタダノモデナイ感溢れること間違いなし。

ROLLEICORD I型 アール・デコ=6万2,640円(税込):
特徴的な凹凸模様の施された、たいへん美しい二眼レフカメラ。この意匠はこの型番のみで、後のモデルにはまったく継承されなかった孤高のモデルだ。3枚玉トリオターの立体感ある写りも秀逸で、モノクロとカラーの両方で試してみたい。

ステレオカメラ
 Address:福岡県福岡市東区香椎駅前2-8-18エムビルⅢ 1004
 Tel:092-410-5800
 営業時間:10:00〜19:00
 https://stereocamera.co.jp/
 
 
Text:Yoshiro Yamada
媒体:『VINTAGE LIFE』 Vol.21

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