2019.07.30

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

EVトラックで、エコでセーフなロジスティックスの未来へ各社続々移行中。

自動運転が起こす、インテリジェントなロジスティックス革命

 自動運転の秘めるポテンシャルはまだまだ計り知れない。実は一人称的な移動にとどまらず、ロジスティクス(物流)な面において、その真価が発揮できることをご存知だろうか。

 スウェーデン発の『EINRIDE』は、2016年に立ち上げられたばかりの注目のスタートアップ企業だ。すでに自動運転レベル4を実装した「T-Pod」というEVトラックを世に送り出している。このT-Pod、2019年の5月からスウェーデンの公道での試験走行をスタートしている。聞けばボルボ・トラックのエンジニアを務めてきたというバックグラウンドを持つ、CEOのロバート・ファルク氏に会うことができた。

 EVのトラックといえば、のちに紹介するテスラの「SEMI」が話題だが、SEMIはあくまで既存のトラックの延長線に過ぎない。しかし、EINRIDEは従来のロジスティックスの在り方さえも、根本から変えようとしている。

 ひとつに、T-Podにはドライバーのキャビンは存在しない。キャビンを無くしてしまうことで、ドライバーの運転環境を配慮するエアコンを設ける必要もなければ、ワイパーやメーターもない。ありとあらゆる電力源をカットするだけでなく、軽量化にも大きく貢献。さらにキャビンがないことは、積載能力を高めてもいる。
 

自動運転レベル4を実装したEVトラック。ドライバーのキャビンは存在せず、遠隔操作にて操縦する。ボディの床下に200kWhほどのバッテリー容量を搭載し、1回の充電で約200kmの距離を走行可能。日本の中型トラックに近いサイズ。

 もちろん、キャビンを無くせるのは、自動運転レベル4のなせる技だ。尚、緊急時の運転は遠隔操作によって行われるという。その要となる自動運転について、T-Podのボディの隅々には、カメラやレーダーをはじめ、赤外線レーザーを使った3Dスキャナーが備わり、周囲360度を死角なく検知。そして、NVIDIAのAIを搭載することで、自動運転を現実のものにしている。

 そんな彼らがフォーカスしているロジスティックスの実態とは、大型トラックで大陸間を行き来するような従来型の物流ではなく、特定の倉庫から倉庫までの、中距離間のコンパクトなロジスティックスだ。自動運転を駆使することで、より無駄のないオンデマンドなロジスティックスが可能になるというのだ。

 すでにドイツの物流企業DBシェンカーであったり、自動運転を安全なものにするために、通信大手エリクソンの5Gネットワークとの提携も始まっている。CEOのファルク氏は、ボルボ在籍時に日本にいたこともあり、日本も重要なマーケットと見ていると話す。数年後、いや、このスピード感だと近い内にEINRIDEが日本へ上陸する日も遠くはないだろう。

排ガスや騒音がゼロのEVトラック「Tesla SEMI」

 テスラは一般車だけではなく、トラックメーカーにも激震を与えようとしている。現在、米国でプロトタイプを走らせて開発の最終段階にあるセスラセミは、EVでありながら最大限荷物を積んだ状態で800キロの高速走行が可能だ。もちろん電気モーターならではの強烈なトルクで、加速もディーゼルエンジンとは比べ物にならない速さで、排ガスや騒音はもちろんゼロ。

 こうしたEVトラックであれば、ディーゼル燃料代やエンジンのメンテ代が浮くため、トラック運送業者からも歓迎されている。UPS、FedEx、DHLなどに加え、ペプシやWalmartなど名だたる企業がテスラセミに予約を入れているのである。

 そして、特筆すべきはこのトラックの保証期間。テスラセミの耐久性に相当な自信があるのか、テスラはドライブトレインの保証を60万キロまでにすると発表。部品点数が格段に少ないEVは内燃機関より壊れにくいとはいわれるが、この数値は驚きだ。ここでイーロン・マスクらしい点を一つ挙げておく。

 テスラはこのテスラセミ用に独自に壊れにくいフロントガラスを開発していた。それは地域によってはフロントガラスにヒビが入ると、トラックの営業が出来なくなってしまうからだ。このトラックの生産は2019年開始ということだが、新車生産の遅れが多かったテスラだけに気長に待とう。

運転席は車の真ん中に置かれ、さながらレーシングカーの様。ダッシュボードは左右に画面を配置したモデル3に似た、ミニマムなデザインが貫かれている。

2021年に量産を予定する、大型EVトラック「Mercedes-Benz eACTROS」

 また、メルセデス・ベンツは2016年から開発してきた大型トラック「メルセデス・ベンツ アクトロス(Mercedes-Benz ACTROS)」のEV版である「eアクトロス(eACTROS)」の実地テストを開始している。

 容量240kWhの大容量リチウムイオンバッテリーを2個搭載したeアクトロスは、最大航続距離200km。出力150kWの急速チャージャーを利用すれば、バッテリーの充電は2時間で完了するという。

 一般の乗用車より先に、商用車がEV化の波に乗っているようだ。

 
 
Text:Shogo Jimbo (EINRIDE),テスラモーターズファン(Tesla)
媒体:『E MAGAZINE』 Vol.2

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