2019.07.31

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

個性派クラシックカーたちの競演。「浅間ヒルクライム」

日本にヒルクライム文化を取り戻す――。地域振興と自動車文化の育成を目的として、2012年に初開催された浅間ヒルクライムが、会場と開催時期を変えて新たなスタートを切ることとなった。この変更によってこれまでの人気が保てるかどうか不安視もされたが、会場は前回までと変わらぬ盛り上がりを見せた。

「パドックは臨時のクラシックカーショー」

 2012年秋、長野・高峰高原「チェリーパークライン」を舞台に初開催された「浅間ヒルクライム」は、日本のモータースポーツ発祥の地である「浅間」の名を掲げて、それまで40年以上に亘って途絶えていた、自動車イベントとしての「ヒルクライム」を今いちど再燃させることに成功した。

 そして第三回となる2014年以降には、国内の大規模ヒルクライムイベントとしては久方ぶりとなる公道封鎖を実現したことを契機に、人気が爆発。今や2万人以上のギャラリーを集める、日本を代表するクラシックカーイベントの一つへと成長するとともに、近年では日本全国で続々と復活を遂げている幾多のヒルクライムイベントの先駆けとなった。

 しかし、例年5月に開催されるはずのこのビッグイベントが、昨2018年にはなかなか開かれなかったことを不思議に思われたファンも多かったに違いない。実は、第一回からの拠点であった「アサマ2000パーク」のホテル移築のため、向こう数年間はパドックや観覧スペースとしての使用が不可能となることが判明。昨2018年からは同じ浅間山麓の群馬県側「つまごいパノラマライン」へとコースを移し、11 月に開催されることになったのである。

1974 RENAULT ALPINE A110 1600VD:
昨年から、同名の後継モデルの復活が巷の話題をさらっているアルピーヌA110のオリジナル版、しかもワークス専用の1.8リッターユニットを搭載したGr.4ラリーカーの登場に、会場のギャラリーは大喝采。

1973 LOTUS EUROPA SP:
市販スポーツカーであってもフォーミュラカー並みのハンドリングを誇るロータス・ヨーロッパは、ヒルクライムに好適なのであろう。浅間ヒルクライムでも、毎年必ず見られる人気モデルの一つである。

浅間を駆け抜けるクラシックカーたち

 とはいえ、開催場所に加えて開催時期まで一変してしまったことから、大会の発起人に名を連ねている筆者は、例年どおりの人気を得られるか否かを不安にも感じていた。ところが11月3日の初日早朝、イベントの拠点となるパルコールつま恋を訪れてみると、そんな筆者の懸念は一瞬にして雲散霧消した。

 生産年代別から「ヒストリック」「ネオ・ヒストリック」「モダンタイムズ」に分けられた3クラスにエントリーした参加車両は、前回と同じく100台を優に超えていたのだ。

 この3クラスの中、クラシックモデルからモダンカーに至るスポーツカー/スーパーカー、往年のラリーマシンなど、登録ナンバーのついたクルマたち。あるいはスーパーGT 選手権用のマシンやFIA-GTマシン、さらにフォーミュラマシンに至る4輪の純レーシングカーたち。あるいは、ホンダHRCワークスマシンを含む、新旧の2輪レーサーたち。そして今や「浅間名物」とも称されているレーシングサイドカーなど、実にバラエティに富んだエントリー車両が公道を疾走するさまが見られるのは、これまでの浅間ヒルクライムと変わらない、ここだけの特権的愉悦といえるだろう。

1966 HONDA CONIGLIO:
1960年代中盤にFRP研究の大家、浜素紀氏がホンダS800をベースにオリジナルボディを載せたスペシャル。コニリオとはイタリア語でウサギを意味する。

FORD ESCORT Mk1:
今回はクラシック・ラリーカーたちが大いに目立っていた。中でも、英国では大人気ながら日本では希少なエスコートMk1は、一部のファンを熱狂させた。

開催地に寄り添うイベントを目指して

 さらに、協賛各社が持ち込んだスペシャルな車両によるデモ走行も浅間ヒルクライムでは毎回話題となるのだが、今回はジャガーの新世代EV「I-PACE」が日本国内で走行を初めて披露したのが最大のトピック。ほぼ無音のまま目覚ましいスピードで走るさまは、会場に詰めかけたギャラリーを魅了することになったのだ。

 旧くは1960年代のスポーツカーやラリーカーから最新のEVまで、あらゆる世代やカテゴリーの自動車が日本モータースポーツの聖地を駆け抜ける「浅間ヒルクライム」は、近い将来、英国の世界的イベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」のようにもなり得るポテンシャルを秘めている。発起人の一人である筆者は、いささかの身内贔屓を認めながらも確信している。

 これからも聖地浅間を舞台に連綿と行われてゆくであろう、このヒルクライムイベント。残念ながら2019年は、10月19日(土)&20日(日)の2日間、「浅間モーターフェスティバル」という複合的なイベントの開催となってしまうが、2020年度以降にはぜひ、温故知新の精神を誰よりも知っている『Vintage Life』読者諸兄には、一度訪ねていただきたいと切に願っているのである。

1973 PORSCHE 914 (914-6GT Mod.):
本気の「レン・シュポルト」914-6GT仕様にモディファイされたという、ポルシェ914。「栄光のル・マン」でお馴染みガルフ・カラーとボクサー6の快音が、会場の人気を集めていた。

1967 VOLVO 123GT:
一見長閑に見えるボルボ122GTアマゾンだが、現役時代はラリーカーとしても活躍したことからも判るように、その走りっぷりは思いのほかスパルタン。

地域振興も重要な目的とする浅間ヒルクライムでは、群馬県嬬恋村の農産品などを紹介・販売するコーナーも設置。

 
 
取材協力:浅間ヒルクライム
Photo:浅間ヒルクライム ,Yoshiro Yamada
Text:Hiromi Takeda
媒体:『VINTAGE LIFE』 Vol.21

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