2019.08.08

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

ブレザー研究者が立ち上げた、ブレザーブランド。「Rowing Blazers」

 アイビーファッションにおいてブレザーとは、20世紀半ばにアメリカのアイビーリーガーたちが着たジャケットのこと。日本では1960年代VANに端を発してアイビーブームが起こり、段返りの3つ釦ブレザーがアイビージャケットとして認知され、以降もアメトラの定番アイテムとなっている。

 さてそんなブレザーであるが、元を正すと起源が19世紀のイギリスにあるのをご存知だろうか。もちろんアメリカの服装文化はヨーロッパから来ているので察しはつくだろうが、元々はスポーツウェアだったことは意外と知られていない。ブレザーが世に知られるようになったのは19世紀半ば、当時ロンドンを流れるテムズ川にてケンブリッジ大学対オックスフォード大学のレガッタボートレースでのこと。その大会のときにケンブリッジ大学のクラブチームが着ていた、母校のカレッジカラーであるスカーレッド色のジャケット。

 これが水面に反射して炎(Blaze)のように見えたことから、この手のスポーツジャケットがブレザーと呼ばれるようになった。

 ブレザーはその後スポーツクラブや学校、企業の制服として用途が広がり、アイビーブームの日本でも人気となった。それから半世紀たったいま、ブレザーの地位を再び押し上げているブランドがある。それは2017年にニューヨークで誕生したローイング・ブレザーズ。彼らがフィーチャーしているのはボート競技の選手が着ていたブレザーである。

 ブランドを立ち上げたジャック・カールソン氏は本場イギリスの名門レガッタクラブでトップ選手として活躍。それでいて考古学の博士号も持ち、2014年にはブレザーの歴史についてまとめた本を出版したことで、現在におけるブレザー業界の第一人者ともいわれている。

 我々の感覚だとどうしても、ブレザーはキレイ目な格好をして着るものという感覚だけれど、彼らのショップではもっとカジュアルに着るよう提案している。ブレザーは今でいうパーカーやジャージのように、スポーツマンが気軽に着ていたもので、必ずしもシャツを着なければならないというものでもないらしい。

 彼らのブレザーはニューヨークでハンドテーラリングされていて、当然ディティールに並々ならぬ拘りがある。基本的には3つのパッチポケット、ノーベント、ノーライニング、メタル釦、七宝焼のフォブやラペルピンが付いた昔ながらの仕様で、ヴィンテージをモチーフにしたアイテムには、何代も受け継がれて着古され、何度もパッチを付け直したような加工が施されたものも。素材や生地も伝統的なものを使うことで、ブレザーが歩んできた歴史に敬意を表しているのである。また、ブレザーの文化を掘り起こしたことと同時に、今のファッションシーンにブレザーを取り入れ、アイビーを再提案したことも、ローイングブレザーズの大きな功績だ。

クロッケー(ゲートボールの原型となったイギリス発祥の球技)の際に着られたストライプのジャケットがモチーフ。パッチや刺繍も施されたファンキーな一着。

ボート競技のブレザーの歴史や変遷を、255ページに渡って綴ったジャックの著書『ROWING BLAZERS 』。アメトラを知る上でも資料性の高い一冊となっている。

ブランドの創設メンバーであるデイビッドは、世界のショップにローイング・ブレザーズを売り込む敏腕営業マン。たまに店頭に立ってお客さんの相談にのっている。

ボートの道具や写真、絵を収めたフレームなどが飾られた"部室"のような一角。アメカジド直球なラガーシャツは、一枚で着ても風格があるし、ラフにブレザーと合わせて着こなしてもよし。

 
 
Rowing Blazers
 Address:161 Grand Street, Soho, NY U.S.A.
 営業時間:10:00~19:00(月~木曜)、11:00~20:00(金曜、土曜)、12:00~18:00(日曜)、
Photo:Soichi Kageyama 
Text:Junpei Suzuki 
媒体:『VINTAGE LIFE』 Vol.21

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