2019.08.28

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

プライベートアイズで探す ヴィンテージクロノグラフ

1913年にロンジンが世界初の腕時計用クロノグラフムーブメントを開発以降、'30〜'40年代に黄金期を迎えた名機たち。世界中から選りすぐりのヴィンテージウォッチを探し出す時計探偵、「プライベートアイズ」の膨大なコレクションの中から、最近特に人気が高まっている逸品をご紹介。 クロノグラフの黄金期を追いかけよう。

 そもそもクロノグラフとは、通常の時計にストップウォッチの機能をつけたものと定義され、ストップウォッチのルーツと呼ばれるモデルは1816年に登場。フランスのルイ・モネがその原型を開発し、当時は時計というとまだ懐中時計であった。ストップウォッチが時計機能と合体したのが1820年代であったが、1900年代に入るまでは懐中時計が主流の時代が続く。

 1896年にアテネで開催された第一回オリンピックでロンジンのストップウォッチが採用されたのは知られた話であるが、そのロンジンは1913年に世界初の腕時計用クロノグラフムーブメントを開発。今回プライベートアイズが販売しているロンジンのモノプッシュクロノグラフは、その設計図を元に開発されたキャリバー13.33を搭載した希少モデルで、しかもイタリアの宝飾店、エベラールとのWネームということもあり、歴史を感じる究極のマスターピースといえる存在である。

1930’s LONGINES MONOPUSH CHRONOGRAPH:ロンジンを代表する、名機13zn以前の貴重な自社キャリバー13.33を搭載。モノプッシュと呼ばれる、リューズと同軸にクロノグラフプッシャーが設置された、貴重な初期型クロノグラフ。ダイヤルはポルセリン製で、13.33では珍しいカラトラバケースが時代の様相を魅せている。イタリアの宝飾店エベラールとのWネーム。Cal.ロンジン13.33。18KYG。33㎜。ポルセリンダイヤル。トリプルスケールデザイン。150万円+税。

 この時代のダイヤルは陶器を使ったポルセリン製ということもあり、90年近く経過した個体であるにも関わらず、新品同様の輝きを放っている。また、第一次世界大戦がはじまった1914年にはスイスの時計職人レイモンド兄弟により創業されたバルジュー社により、クロノグラフの名機バルジュー22が発売される。

 このムーブメントは、今回紹介するレオニダス カラトラバクロノグラフにも採用され、さらに1916年には、より小型化したバルジュー23が登場。1974年までこのムーブメントは生産され続け、バルジューはその完成度の高さからロレックス、ロンジン、パテック、ブレゲなど高級クロノグラフのムーブメントとして採用されていったのである。

(左下) 1940’s BREITLING 3-REGISTER CHRONOGRAPH:
40年代では珍しい3レジスタークロノグラフで、非防水ながらも重厚感ある造りの38㎜オーバーサイズケースや、風合い良く経年変化した大振りなルミナスアラビックナンバーのブラックダイヤルが、ミリタリーウオッチを彷彿とさせる素晴らしいテイストを魅せている。のちのブライトリングの傑作ナビタイマーに搭載される、ヴィーナス社製の名機Cal.178を搭載。Ref.734。Cal.ヴィーナス178。SS。38㎜。ブラックダイヤル。88万円+税。
 
(中央) 1940’s LEONIDAS CALATRAVA CHRONOGRAPH:
大振りなピンクアラビックナンバーがレイアウトされたブラックミラーダイヤルや、インパクトある37㎜オーバーサイズケースは、ミリタリーウオッチを彷彿とさせるデザイン。同年代のロレックスなど、多くのブランドに採用されたバルジュー社の名機Cal.22を搭載するなど、有名ブランドではないながらもクオリティの高さが窺える。レオニダスはのちにホイヤー社と合併し、ホイヤーレオニダスという名で共同開発を行っている。Cal.バルジュー22。SS。37㎜。ブラックダイヤル。110万円+税。
 
(右下) 1930’s MINERVA AVIATOR CHRONOGRAPH:
42㎜を超えるオーバーサイズケースや、ルミナスアラビックナンバーのブラックスネイルダイヤルが、ミリタリーウオッチを彷彿とさせる。当時ドイツ軍にも採用されており、軍用はもちろん民間用も含めてほとんど市場で見る機会のない大変希少なクロノグラフ。直径37.8㎜の大型クロノグラフムーブメントCal.17-29CHは、ミネルバを代表するCal.20CHと同じく曲線美も素晴らしく、大型ムーブメントならではの見応えと迫力がある。Cal.ミネルバ17-29CH。SS。41㎜。ブラックスネイルダイヤル。民生品。300万円+税。

 
 
 さて、その後1930年代には腕時計が懐中時計の需要を上回り、腕時計クロノグラフは一気に普及することとなる。これは、スポーツの普及や戦争の影響などで、計測機能の需要が大きく高まったことによるといわれているが、クロノグラフのムーブメントも次々と進化を遂げていく。それまでの懐中時計と同様、モノプッシュが基本だったクロノグラフが、1933年のブライトリングの特許による2つのプッシュボタンが登場。

 その後、計測中でもクロノグラフの針がゼロ位置にリセットされるフライバック機能がロンジンより発明され、12時間積算計が開発されるなど、どんどん複雑化していく。

1930’s OMEGA ONEPUSH CHRONOGRAPH:30年代の貴重なワンプッシュクロノグラフ。ダイヤルはポルセリン製で、タキメーターを3分割表示したマルチカラースケールデザイン。中でも4 色使いの4カラースケールデザインは大変希少で、4カラースケールデザインならではの独特な表情を魅せている。Cal.オメガ28.9CHRO。SS。33㎜。ポルセリンダイヤル。4カラースケールデザイン。198万円+税。

1940’s ROLEX CALATRAVA CHRONOGRAPH:防水ケースが定着しているロレックスでは珍しい、非防水仕様のクロノグラフ。中でも最も人気の高いカラトラバデザイン。ダイヤルもブラウンとブラックのツートンカラーというレア中のレアモデル。Ref.2508。Cal. バルジュー22。18KRG。36㎜。ブラックツートンダイヤル。ASK。

 また1936年には機能はキャリバー23と同じながら、直径23.35㎜、厚さ5.65㎜と非常に小さく設計されたバルジュー69が登場。今回紹介しているパーカーのベビークロノがまさにその個体で、同じページで登場しているジュネバスポーツとユニバーサルは個体数が少なく大変希少なクロノグラフとして知られている。

 クロノグラフの進化の過程を読み取ることができる、プライベートアイズのクロノグラフコレクション。ここに紹介させていただいたのは、数百本あるストックのうちのほんの一部なので、欲しいヴィンテージクロノがあれば、迷わず時計探偵にご相談を。

(左) 1940’s GENEVA SPORT BABY CHRONOGRAPH:
直径約23㎜の三大ベビークロノグラフといわれる、ジュネバスポーツ237を搭載している。1940年代では希少なカラーダイヤルで、希少なピンクダイヤルの中でも特に珍しいツートン仕様。ベビークロノの中では大きい30 ㎜、シリンダーケースならではのボリューム感がある。Cal.ジュネバスポーツ237。SSバック。30㎜。ピンクツートンダイヤル。145万円+税。
 
(中央上) 1940’s THUYA WATERPROOF CHRONOGRAPH:
横2つ目が多いヴィンテージクロノグラフでは珍しい、縦2つ目のクロノグラフ。ダイヤルは、40年代ならではの人気のマルチスケールブラックギルトダイヤル。エルメティコと呼ばれる、スナップバック仕様の貴重な初期型防水ケースを採用している。Cal.ヴィーナス170。SS。35㎜。ブラックマルチスケールダイヤル。88万円+税。
 
(中央下) 1940’s PARKER BABY CHRONOGRAPH:
直径約23㎜の3大ベビークロノグラフといわれる、バルジュー69を搭載している、希少なベビークロノグラフの中でも特に珍しい角型ケース。ダイヤルも人気のブラックマルチスケールダイヤル。Cal.バルジュー69。SS。26×34㎜。スクエアデザイン。ブラックマルチスケールダイヤル。79万8,000円+税。
 
(右下) 1950’s UNIVERSAL GENEVE BABY CHRONOGRAPH:
3大ベビークロノグラフのひとつといわれる、ユニバーサル289を搭載。バルジュー69やジュネバスポーツ237と比べて圧倒的に数が少なく、中でも18金ローズゴールド素材のスクエアケースは、さらに希少。アンタッチのダイヤルやケースなど、保存状態も素晴らしい正にコレクターズアイテム。Ref.12109 。Cal.ユニバーサル289。18KRG。26×35㎜。スクエアデザイン。ピンクダイヤル。168万円+税。

1940’s OMEGA CYLINDER CHRONOGRAPH:直径33㎜を超える大振りなクロノグラフムーブメント名機33.3CHROを、ふた回り小さくした希少なCal.28.9CHROを搭載。この時代ならではの緻密で複雑且つ凝縮感あるデザインの、ブラックミラーマルチカラーダイヤルが時代の様相を魅せており、32㎜の小ぶりなサイズながらも重厚感造りのシリンダーケースがサイズ感を超えた素晴らしい存在感を魅せている。貴重なアーカイブ付属。Cal.オメガ28.9CHRO。SS。32㎜。ブラックマルチカラーダイヤル。380万円+税。

移転をしたばかりの店内には、レアなヴィンテージウォッチが所狭しと並ぶ。豊富な知識を持つスタッフは顧客からの信頼も厚い。

 
 
PRIVATE EYES
 Address:東京都北区滝野川6-28-7-1F Tel:03-3940-0707
 営業時間:11:00~19:00 月曜定休
 http://www.watchnet.co.jp/
 
Photo:Noboru Kurimura
Text:Soichi Kageyama
媒体:『VINTAGE LIFE』 Vol.21

NEWS of VINTAGE LIFE

ARCHIVES

RANKING

POPULAR TAG

NEWS

SEARCH