2019.08.30

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

クラシックポルシェ界に衝撃を与えて、20年。「EMORY MOTORSPORTS...

 ポルシェ356をベースにモダンかつクラシックな独創的なアウトローカスタムを施した「Emoryスペシャル」を世に放ち、クラシックポルシェ界に衝撃を与えた「Emory Motorsports」。すでに20年以上も前に製作されたEmoryスペシャルのデビュー当初は、オリジナル信仰家や一部クルマ関連メディアなどからキワモノ的に扱われることも少なくなかった。

 しかし代表Rod Emoryの全くブレないユニークでオールドスクールな要素も併せ持つそのカスタムセンスは、今や世界中の誰もが認める存在となった。Rodの祖父Neilは1940年代にホットロッド&スピードショップValley Custom Shopをスタート、父親のGaryは南カリフォルニアのポルシェディーラー、Chick Iverson Porscheに長年勤めた後、356を中心にしたクラシックポルシェショップPorsche Parts Obsoleteを1975年に設立。

 Garyはビートルベースのバハバグをはじめて製作した人物としても、アメリカの空冷ポルシェ&VW界では広く知られている。Emory家の末裔、RodはホットロッディングとポルシェのDNAを引き継ぐ第3世代なのだ。

360を再定義したEmory

 現在「Emory Motorsports」は父親のGaryが営むPorscheParts Obsoleteがあるオレゴン州マクミンビルと、今回伺ったワークショップ&ショールームを構えるカリフォルニア州ノースハリウッドの2箇所に拠点を置いているが、Rodは普段ノースハリウッドをベースにEmoryスペシャル、アウトロー、RSなどのオリジナル・カスタムモデルの356製作に励んでいる。

 ただ、ごく希に貴重なレーシングモデルなどのフルレストレーションも行っており、ショールームを訪れたときは自らレストアした356/2-063"Gmund SL"、904/6、908が並べられていた。

 ワークショップに足を踏み入れると、まずはその非現実的な光景に圧倒される。イングリッシュホイール、ローラー、プラニッシングハンマーなど、様々なボディ製作のためのスペシャルツールに囲まれ、全てが剥がされベアメタルの状態になった356ボディが並ぶ。

 さらに奥には、すぐに作業が開始できるように下準備が完了したホワイトボディやベースカーの356が、ざっと数えただけで30台以上はあるだろうか。Rodは12〜18ヶ月を費やし、1台のEmory 356を完成させる。今ではスポーツ、エンターテイメントなど各界のセレブリティからもオーダーが殺到している「Emory Motorsports」なのだ。

 日本にもEmoryスペシャル356が上陸する日も近いかもしれない。

空冷4気筒にシンパシーを抱く

 カリフォルニア、ノースハリウッドの広大なワークショップをベースにポルシェ356をモダンかつアウトローなスタイルでEmoryスペシャル、アウトロー、RSなどのオリジナル・モデルを製作している「Emory Motorsports」。その卓越したボディ製作技術と、空冷4気筒ポルシェを知り尽くした父Garyの存在。そしてそのフラットフォーのDNAの引き継ぐRod。

 カレラはスペシャルプロジェクトとして、ごく希に貴重なレーシングコンディションモデルなどのフルレストレーションを行っている。このポルシェ356/2−063は、1949年にポルシェがまだオーストリア、グミュンドに拠点を置いている頃に製作されたレーシング・コンペティション。ボディはフルアルミニウムのハンドメイドだ。1951年のルマン24時間レースでAuguste VeuilletとEdmond Moucheによるドライブで総合20位、1,100ccクラスで優勝、さらに上の1,500ccクラスたちも打ち負かしてしまった。

 現車はルマンでポルシェに初めて勝利をもたらした1台である。のちにアメリカのインポーター、マックス・ホフマンによって大西洋を渡り、カリフォルニアのポルシェ・ディーラー・オーナー、John Von NeumannのドライブでSCCAレースイベントに参戦。1982年には別のオーナーへ渡り、2009年まで様々なレースに参戦。

 最終的にEmory の元へ引き継がれ、Rodの手によって1951年のルマン参戦当時の姿にフルレストレーションが施されている。

モダニズムとオールドスクールの融合

 ワークショップに足を踏み入れると、ヨーロッパの古典的なコーチビルダーのような雰囲気が漂う「Emory Motorsports」。イングリッッシュホイール、ローラー、プラニッシングハンマーなど、ボディワークのための伝統的な工作工具が揃い、職人達がEmoryスペシャルのボディ製作に励んでいる。奥にはプロジェクト開始を待つ356のホワイトボディが整然と並び、その光景はまるでオールドスクールなボディショップのようだ。

 ただその一方で、「Emory Motorsports」では職人達の勘だけに任せるのではなく、キッチリとしたデータを元にボディ修正、製作を行っていることも見逃してはならない。

 「Emory Motorsports」ではポルシェ356各モデルの骨格やボディの寸法などの詳細データを保有しており、全てをデータベース化。必要に応じてオリジナルのブループリントとデータから正確な木型を起こし、オリジナルと寸分狂いのないボディ製作を行うことができるのだ。

 さらにEmoryはこれらのオリジナルのデータを元に独創的なEmoryアウトロー&スペシャルのカスタムボディの製作も可能にしているのである。一番年式の新しい356でもすでに55年が経過しており、殆どのケースで新たにボディパネルを製作する必要がある。

 Emoryのスペシャルな356達の完璧なまでのボディフィニッシュは、こうしたデータベースにより生み出されているのである。

 
 
EMORY MOTORSPORTS
 https://www.emorymotorsports.com
 Tel: 971-241-7017  emorymotorsports@gmail.com
 
 
Photo:Emory Motorsports
Text:Shin Watanabe
媒体:『VINTAGE LIFE』 Vol.21

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