2019.09.10

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

欧州フォードの魅力に取り憑かれた、名チューナー。「MOUNTUNE USA」

 トーランスから北東に向けてクルマを走らせたカーソンという地域で、MOUNTUNEという名の屋号を掲げる場所を見つけた。駐車場に置かれたチューニングカーと、ファニーな看板ロゴに惹かれて中へと足を踏み入れたのだが、正面で我々を出迎えてくれたのは、鮮やかなブルーのボディカラーに精悍なラインが眩しい、フォード・エスコートRS Mk.1だった。

 何より欧州フォードのエスコートがカリフォルニアにあることに驚いた。このクルマが生まれた60年代のアメリカはまさにマッスルカー全盛時代。大排気量、高出力が正義。つまり米国フォードと欧州フォードではクルマ製作のアプローチが全く異なっており、無論、小さな車体に小排気量のエスコートはアメリカでは販売されなかった。

 我々に気づき、すぐさま中から出てきてくれたひとりの男性。すかさず彼は我々に向かい話を始めた。「このクルマに興味あるかい? アメリカでは珍しいだろう? これは我々Mountuneが英国から輸入した後に改造をした車両で、外観はオリジナルだが、中身は別物。2.3Lのモーターを搭載していて、馬力は軽く250hpを超えるよ」

 Mountuneは1980年にイギリスはエセックス州のマルドンで、当時モータースポーツやエンジン・チューニングに傾倒していた、弱冠22歳のデイビット・マウンテンにより設立された。彼は特に欧州フォードのチューニングやモディファイを得意としており、プライベーターとして数々のレースで輝かしい戦績を収めると、次にフォードの目にも止まり、ワークスとの提携により数々のエンジンチューニングそしてパーツ開発も行うようになる。

 瞬く間にMountuneの技術やパーツは世間に知れ渡ることになり、気がつけばワークスレースのサポートはもちろん、一般ユーザーに向けて様々なパーツを提供するようになる。しかし残念ながらMountuneは2004年に他会社へと買収される憂き目をみるが、引き続き名チューナーとして様々なパーツの開発を行っており、今でも世界中のフォードファンから絶大な支持を得ているのだ。

 今回我々が訪れたのは、そんなMountuneが運営するアメリカ支部のショールーム兼ファクトリー。店頭でのパーツ販売はもちろん、奥の工場では車種・年式を問わず、カスタマーが所有する欧州フォード車のチューニングやメンテナンス、そしてレストアが行なわれていると、同社アメリカ支部の社長であるケンさんは教えてくれた。

 「欧州フォードの魅力はなんといっても、男っぽい粗野で丈夫なエンジン。詰めれば詰めるほどに応えて速くなる。僕らはカスタマーと一緒に、いつまでもその可能性を探る旅を続けているんだよ」

1968 Ford Escort RS2000 Mk.1:
ショールームの中央に鎮座するエスコートRS2000 Mk.1は、Moutuneが外装から機関に至るまで徹底的にレストアを施した、アメリカ支部のアイコン的存在。
 
 

オリジナルにこだわり美しくレストアが施されたインテ リア。メーターの配置など往時を感じさせる。

また、エンジンは同社のチューニングにより、ノーマルをはるかに超える250hpを発揮。

Mountuneアメリカ支部の社長として、日々ファクトリーを統括するケン・アンダーソン。アメリカ人ながら自身も欧州フォードの魅力に取り憑かれたひとり。

ケンさんが所有するステッカーのコレクション。ほとんどが英国系だが、中には式場荘吉が設立したレーシングメイトのステッカーも大事に保管されていた。

さりげなく柱に貼られたフォードGTのステッカー。いつの時代もル・マンで活躍したGT40こそがフォードの最高峰だとケンさんは楽しそうに話していた。

 
 
MOUNTUNE USA
https://www.mountunestore.com
 
 
Photo:Soichi Kageyama
Text:Kota Engaku
媒体:『VINTAGE LIFE』 Vol.21

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