2019.09.17

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

これは一歩先を行くEVなのです。遊べるEV「RIVIAN」

アメリカに根付くピックアップトラック文化、そしてSUVブーム。だがそのどちらも内燃機エンジンならではの弱点があった。それを見事に解決し、長所へと変えた夢のEV、それがリビアン『R1S』と『R1T』だ。

 1990年代から2000年代にかけて、北米をはじめとした世界各国はSUV全盛時代だったといえるだろう。市街地からアウトドアレジャーまで幅広いステージで活躍するSUVは、スタイリングや利便性を向上させながら、様々なカーブランドから発売された。ただしそれらの多くのモデルはたくさんの燃料を消費するものであり、今さらながらではあるが環境保全の視点で考えてみると、時代の先端というものではなかったのかもしれないとも思う。

 ただSUVというパッケージの人気はまだまだ根強く、現在も次々とニューモデルが発表されることも確かだ。一方でPHVやEVの技術が進歩してきたことで、これからはE-SUVの時代が到来すると思われ、前号でも特集を組んだが欧州のカーブランドではすでに次々とE-SUVの開発に着手し始めている。

 そのような情勢の中、突如登場したのがアメリカの新興EVメーカーであるリビアンだ。

 まずリビアンは2018年後半、北米市場において人気の高いピックアップトラックのEV『R1T』、さらに次いで7人乗りSUVの『R1S』を矢継ぎ早に発表し、両車をロサンゼルス・モーターショー2018に展示した。我々の住む日本において、ピックアップトラックというのはあまり馴染みがないものだが、北米においてここ40年でもっとも良く売れたのは、フォードのピックアップFシリーズであり、GMとクライスラーのピックアップがそれに続く。つまり北米でのEV市場を勝ち取るには、ピックアップは外せないとリビアンは考えたのだ。

 初めて耳にするようなスタートアップブランドであるにも関わらず、どちらのモデルもしっかりとした作り込みがされており、その他多くのベンチャー系EVメーカーのコンセプト車両とは、一線を画する仕上がりとされているのはご覧のとおりだ。

 今から数年前となる2017年。実はリビアンの名が世の中に知れ渡るタイミングがあった。それはイリノイ州にあった北米唯一の三菱自動車工場が2015年に閉鎖され、その工場をリビアンという会社が買収を試みているという旨のニュースが流れたときだ。さらに遡ってリビアンの設立を紐解いてみると、2009年にファウンダーであり、現CEOであるRobert Scaringeが起業。

 彼はマサチューセッツ工科大学の自動車研究所の出身であり、当初は低燃費車両の開発などを手掛けていたものの2011年からはEV開発に注力。それと同時期にフロリダからミシガン州へと本社を移転、様々なサプライヤーとの繋がりを構築しつつ投資を受け、大きく成長してきた。

 2015年にはカリフォルニア州に自動運転やデータ通信、バッテリーなどの開発を行う研究施設を開設し、その間にクライスラーの副社長やGMやフォードからもデザイナーを引き抜いてきたという情報も入っている。そして、先の旧三菱工場の購入へと続くのある。

 三菱自動車工場として稼働していた際にはSUVモデルであるアウトランダーを生産しており、そのような面を考えると、リビアンがピックアップとSUVを最初に発表したことは出来過ぎた話なのかもしれない。しかし2017年にはイリノイ州の通称経済省が工場の売買計画があると発表していたので、リビアンが虎視眈々と準備を進めてきており、今日を迎えたということは間違いないだろう。その地盤作りが功を奏し、2019年2月15日にはアマゾン社から7億ドルという巨額な出資を受けるというニュースが世界に流れた。

RIVIAN R1T:
充分な広さを持つキャビンと遊び道具を満載に出来るベッド部を持つR1T。本格的なオフロード走行も可能で、ターゲットはフォードのFシリーズやダッヂ・ラムなどの購買層だ。
 
モーター最高出力/750hp  航続距離/400マイル以上  0-60mph 加速/3秒
発売時期/2020年後半予定  価格/61,500ドル  自動運転、AI 仕様/レベル3
 
 

フロントフード内は広々としたトランクとされた。ベッド部分と合わせるとかなりの積載量となる。遊びグルマとしての利便性は高い。

ベッド部分には110Vのコンセントプラグが3つ設置されている。大容量バッテリーを備えているため、アウトドアレジャーで重宝する。

 
 
 アマゾンのCEOを務めるJeffrey Bezosは、「リビアン・オートモーティブは優れた企業であり、素晴らしい製品と技術を備えている。アマゾンがこのような企業に対して投資できることを、誇りに感じている」と話している。それと並行してGMもリビアンに出資することを決めている。

 アマゾンは自社の物流のために自動運転も含めたEVの開発を、GMはテスラなどの新興勢力に立ち向かうためのEV開発を目論んでおり、そんな中で発表されたニュースであることを考えると、近い将来アメリカでのEV勢力図は大きく変わる可能性もあるということだ。

 そしてここで抑えておきたいポイントとなるのは、EVスタートアップブランドの多くがプロジェクト先行型で、クラウドファンディングとして資金を募ったうえで、生産体制を整えていくという手法を用いているのに対し、リビアンはすでに潤沢な資金を集めることに成功している。生産ラインの整備も見通しをつけており、2020年には北米市場で導入するということだ。

 リビアンが発表したR1TとR1Sは同社が「スケートボード」と呼ぶ共通のプラットフォームが採用されており、ボディスタイルの違いなどから若干寸法の違いなどはあるものの、91%を共有コンポーネントとしている。バッテリー容量は105kWh、135kWh、180kWhが設定され、SUVモデルのR1Sの場合、それぞれ386㎞、499㎞、676㎞の走行を可能としている。

 各タイヤにそれぞれ備えられる計4基のモーターは、各200hpを発生し、システム総出力は765hp、最大トルクは114.2kgmを誇る。車両重量はR1Tで2,670㎏とされているが、0-97㎞/h加速は3秒未満、最高速度は200㎞/hというピックアップトラックらしからぬ圧倒的なパフォーマンスを誇るものとなっている。もちろんオフロードも高い走破性を備えており、45%勾配の登坂能力を持っているとされる。

 自動運転システムの設定もあり、レベル3を予定していることもここに付け加えておこう。

 R1Tは2020年後半にデリバリー開始予定で価格は6万1,500ドルから、R1Sは2021年に発売を予定しており、価格は6万5,000ドルからとされている。価格帯を考えてもかなり魅力的なことが伝わってくる。そして共通して使用しているスケートボードプラットフォームは、単体での販売も予定されており、プラットフォームのみを購入してオリジナルEVを作るという企業も生まれてくるかもしれない。

 同じ米国のボリンジャーのB1のほかテスラもピックアップトラックの開発を進めているが、リビアンはそれらの先を歩き始めているように見える。

RIVIAN R1S:
フロントからサイド部分まで伸ばされる形で備わったバーライトに、縦長の二つのライトがちょこんと収まる個性的な顔つき、デザインも良い。
 
モーター最高出力/750hp  航続距離/400マイル以上  0-60mph 加速/3秒
発売時期/2021年予定  価格/65,000ドル  自動運転、AI 仕様/レベル3
 
 

直線的なデザインですっきりとまとめられたインテリア。中央部にはタッチスクリーンパネルが備わり、ナビから指揮系統まで制御可能。

燃費の悪さ、運転の楽しくなさ、苦手なハイウェイ走行など、ピックアップやSUVのネガティブ要素を、EVにすることで長所へと昇華させた。

注目を浴び始めたリビアン。先日は発表されたアマゾンの7億ドルのほか、2017年には住友商事も戦略的投資を行っている。

創業者でありCEOのRobert Scaringe氏。オバマ大統領時代には行動力と持続性が評価され、"Champion of Change"賞に輝いたこともある。

後部座席とリアフェンダーの間に、キャビンと同じ幅を持つラゲッジスペースを用意。車体両サイドからアクセスできるほか、腰かることもできる。

 
 
取材協力:RIVIAN https://rivian.com/
Text:Dan Komatsu
媒体:『E MAGAZINE』 Vol.2

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