2019.09.24

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

米自動車文化の発信拠点。PETERSEN Museum ①「海を渡った"MONO...

自動車の国、アメリカ。世界のどこよりも早く沢山自動車を消費し、その発展に貢献してきたこの国はまた、早くから自動車を"文化"として捉えてきた国でもある。そのアメリカにある自動車博物館の中でも、ロサンゼルスにある"ピーターセン・ミュージアム"は比較的新しい部類に入る博物館といえるだろう。

 1994年にオープンしたこの博物館の創始者は、70年代にハリウッドでピーターセン・モトラマ・スターズ・オブ・ザ・スターズを経営し、成功を収めたロバートE.ピーターセン、マーギー夫妻。

 当初はロサンゼルス自然史博物館の一部門だったが、2000年に独立。2015年には建物を大改装し、リニューアル。10万平方フィートの展示スペースに25のギャラリー、300台の収蔵車を保管し、これまでにない様々な視点から、老若男女、国籍を問わず、自動車の歴史、文化を発信する新しいスタイルの博物館として注目を集めている。

 明治時代後期の1900年頃から輸入が始まり、1925年に日本フォードが横浜で、1927年にGMが大阪で自動車生産を開始。また1936年に登場したトヨタ初の量産車AA型が、デノート・エアフローの影響を受けたりと、自動車における日米の関係は深く長い。

 戦後1957年にトヨタ・クラウンとランドクルーザーが初めて輸出されて以降、アメリカ市場では多くの日本車が育ち、愛され、時に貿易摩擦の対象にもなった。
 

1969 NISSAN R382:R380を生み出した元プリンスの櫻井眞一郎率いる日産技術陣が開発した、グループ7モンスター。自社製6ℓV12DOHCは580hpを発揮したといわれる。展示車は69年日本GPで高橋国光がドライブ、トップを走行するも10位に終わったシャシーナンバー15。近年オリジナルの姿に戻された。

1937 DATSUN MODEL 16 COUPE:1931年のモデル11から乗用車の本格生産を始めたダットサン。これは16psを発揮する722cc直 4SVを搭載した1937年型で、アメリカからの工作機械が充実した横浜工場で製造されたもの。

1967 TOYOTA 2000GT:1960年代の日本自動車工業史のハイライトのひとつ。337台といわれる全生産車中、100台ほどが輸出(ほとんどが北米)されたこともあり、海外での認知、評価も高い。この前期型のほかに近年レストアが完了したオリジナル・ボンドカーも渡米し、展示に加わっている。

 
 そんな日本車をアメリカ主導で文化的側面から捉え、特集する初めての展示が、2018年5月から2019年4月までピーターセン・ミュージアムで行われた。『THEROOTS OF MONOZUKURI』展だ。

 これは主に戦後期の日本の自動車産業にスポットを当て、今に続く"ものづくり"のルーツを解き明かすことで、なぜ日本車がアメリカのモータリゼーションに大きな影響を与える存在にまで進化したのかを、多角的に振り返る内容になっている。

 この展示に、最も大きな役割を果たしたのが、若き日に単身渡米してアートセンター・カレッジ・オブ・デザインで学び、1970年の東京レーシングカー・ショーで"ライザGT"を発表した後、トヨタ・アメリカのデザインスタジオCALTYを立ち上げるなど多岐にわたる活躍をしているLA在住のデザイナー、金古真彦氏である。

 プロデューサーとして日本との架け橋役を買って出て、メーカーや個人コレクターの協力を得て集めたクルマたちは、1936年型トヨダAA 型(レプリカ)から、1978年型童夢 零に至る錚々たる顔ぶれ。そのチョイスといい、コンディションといい、日本車のものづくりを語るに相応しい素晴らしいものだった。
 

1962 PRINCE SKYLINE SPORT:黎明期の日本車のデザインを世界レベルに引き上げたのは、イタリアのデザイナーたちだった。これはジョヴァンニ・ミケロッティがデザインしたプリンス・スカイライン・スポーツ。わずか60台ほどの生産。

1991 MAZDA RX-7 CONCEPT:FD3S型RX-7のデザインスタディ。デザイナーはマツダ・カリフォルニア・デザインセンターのウー・ファン・チン。公式に彼の名が語られる機会はほとんどないだけに、貴重な展示だ。

1960 MAZDA R360 COUPE:軽量モノコック・ボディ、4輪独立懸架、4速MT(軽自動車初のトルコンATもオプション装備)など画期的な技術を盛り込んだマツダ初の4 輪乗用車。海外でも評価の高いデザインは、マツダの嘱託デザイナー、小杉二郎によるものだ。

 
 
PETERSEN Museum  https://www.petersen.org/
 Address:6060 Wilshire Blvd, Los Angeles, CA 90036 USA
 営業時間&料金:月〜金=6時〜8時 $20/8時〜23時 $16/土、日 6時〜23時 $16
 
 
Photo:Sochi Kageyama
Text:Yoshio Fujiwara
媒体:『VINTAGE LIFE』 Vol.21

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