2020.03.05

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

曲線が美しい台中屈指のホール「台中国家歌劇院」

 温暖な気候と美食、そして親日家が多いことでも日本での人気が高い観光地・台湾。中でもまだまだ知られていないディープな観光スポットがあるのが、台湾の中部に位置する台中市です。今回は、台中にある「台中国家歌劇院」を紹介しましょう。日本語でいうオペラハウスですが、チケットがなくても入館が可能なので、建物好きではなくてもちょっと寄ってみたい観光スポットです。台中駅からタクシーで約20分、バスで約30分の距離にあるアーティスティックな外観の建物で、建物全体がちょっとしたテーマパークのような劇場です。

 2016年に開業した台中国家歌劇院、設計は日本人の建築家・伊東豊雄氏です。大中小の劇場のほか、最上階にカフェや屋上庭園があり、日本のガイドブックに掲載されてからは、日本人観光客も増えてきたとのこと。洞窟をイメージして設計したといわれる、丸みを帯びたデザインが特徴です。デザイン性の高さから工事の難易度は上がり、10年かかってようやく完成しました。その優れたデザイン性は人々の心を豊かにする空間設計となっているので、建築好きな人のほか、インスタ映えするスポットを探している人は、ぜひ訪れてみてください。

 ちなみに建築家・伊東豊雄氏は現在78歳、建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞の受賞歴もある、世界で活躍する日本の代表的な建築家です。主な作品は、同じ台湾・高雄市の「国家体育館」や、スペイン・バルセロナのホテル&オフィスビル「トーレス・ポルタ・フィラ」、日本では銀座4丁目に建築された商業ビル「MIKIMOTO GINZA2」など。どの建築物もアール(曲線や曲面)の美しさが特徴的で、中でも’16年にオープンした台中国家歌劇院は、ひときわ美しい建物といわれているのです。

 タワーマンションが立ち並ぶ住宅街を抜けた公園の先に現われた巨大な建物が、台中国家歌劇院です。外観に多用された柔らかな曲線美は、不思議なモニュメントに遭遇したような感覚になります。中に入った途端に景色が広がり、まわりを見渡すと柱が1本もないことに気がつきます。着工当時「世界で最も建築が難しい」といわれていたこともあり、この大空間と曲線美を表現するには大変だったことは想像に難くありません。

壁も天井も、あらゆる部分が曲線で表現された巨大なスケールの内観を見るに、完成までに約10年の時間を費やしたというのも納得です。カーブを描いた壁際や床の隆起など、アールを帯びたデザインはまるで卵の殻の中のよう、なんとも心地いい空間を演出しています。直線美・機能美のオフィスビルに慣れきった感覚でいると、こんな柔らかい建築物は異空間ともいえるでしょう。場内を巡り、丸みを帯びた空間に滞在する中で心が癒されていくのを感じたのは、私だけではないはずです。また、赤や青の差し色が使われたホワイトの壁面は、不思議で楽しい空間にを演出しており、足を踏み入れるとワクワクさせられることでしょう。

 屋上の大きな庭園は高層ビルに囲まれつつも開放感が感じられ、観光の合間の休憩にぴったりです。屋上に上がる途中のカフェスペースでは、カップルが楽しそうにお茶を楽しんでいました。チケットを持たなくても気軽に立ち寄れる上、この広大な空間を楽しめるというのは非常にお得で興味深いスポットです。

 台湾のデザイン集団「VVG」が手掛けたショップもあり、本や雑貨を販売しているのでちょっとしたお土産を探すのにも最適かもしれません。劇場ではオペラの上演のほか、フィルムによる上映会なども開催されているそうです。営業時間は日、火〜木曜は11時30分から21時。金、土、祝日は11時30分から22時まで。月曜休館。建築の視点で見ても楽しめる歌劇場、ぜひ台中を訪問した際にはお立ち寄りを。

 
 
台中国家歌劇院
40756台中市西屯區惠來路二段101號 http://jp.npac-ntt.org/
 
 
Text:Jun Ishihara

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