2018.03.29

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

ソルトウォーターフライでカサゴを狙う!! 横浜、大人の遊び方

海外のフライパターンを参考に、日本に合ったオリジナルパターンを作り上げていくのもソルトフライの魅力の一つ。最新のシンセティックマテリアルも良いが、昔ながらのフェザー系も侮れない。

東京湾に浮かぶ、防波堤に向かう渡し船に乗り込む釣師。クロダイやマダイを狙う人に交じって、フライロッド片手のその人の名は兼子一朗 さん。大海原を前にフライでどう立ち向かうのか、その姿を追った。

海でフライロッドを振り続けて30年

フライのフィールドが川と湖だけだと誰が決めたのだろう。日本には広大な海があるではないか。禁漁期間もなく、泳ぐのはネイティブの魚だ。日本において『ソルトウォーターフライフィッシング』はまだまだ認知されていないが、実はその道30年のベテランもいる。それがフライフィッシングメーカーCapsに勤める兼子一郎さん。今回はカサゴ釣りに同行し、その魅力を教えて頂いた。
 
やってきたのは神奈川県の金沢区、金沢シーサイドライン・野島公園駅のそばにある村本海事という渡船屋さん。15時45 分に出航する渡し船で防波堤へ行き、夕まずめを狙おうというのだ。
「カサゴが釣れやすいのは夕方だから、いつも初めはエサ釣りでシロギスを釣って、日が傾いてきてからやっとフライを始めるって事も多いですね。朝早起きをしなくて済むし、都心からのアクセスも良く、手軽にソルトウォーターフライを楽しむには絶好のフィールドですね」
 
Tokyo夕刻の大人の遊びとでも呼べるだろうか、余裕が感じられる釣行である。さて、八景島シーパラダイスを横目に船に乗ること十数分。兼子さんはハナレと呼ばれている長い堤防に降り立った。この辺りは砂と岩が入り混じっており、カサゴ釣りには絶好のポイントなのだという。
「私もフライだけやってたわけじゃなくて、川も海も、ルアーもエサ釣りも、昔から何だってやっていたんです。それで、ただ単純に海でもフライで釣れたら面白いんじゃないか。そういう発想で始めたんですよ。誰もやっていない事を開拓するって面白いじゃないですか」

取材日は満潮だった為、堤防には所々に波が打ち付けられ水たまりが出来ていた。危険なので滑りにくいウェーディングシューズを。ライフジャケットも必ず着用。

その日は根がかりしにくい鈎先が上に向いたキールフライをチョイス。エビに似せたもので、目玉部分がオモリとなって沈むようになっている。

今回上陸した野島防波堤へ渡し船を出しているのは村本海事。

ビッグゲームだけがソルトじゃない

ナイスフッキングで釣りあげられた尺カサゴ!日没のお迎えまでの 正味3時間で、兼子さんは10匹ほどのカサゴを釣っていた。(もちろん小さい魚はリリース)それを見 ていると、意外と敷居は低いのかも!?と感じざるを得ない。

対象魚が変われば使うフライも違う。川の魚は虫を食べるが、海の魚はエビを食べたり、カニを食べたり、小魚を食べていたり。兼子さんが始めた頃はアメリカの雑誌にほんの僅かながら情報が載っている程度だったが、それに倣って底ものを狙う甲殻類系のフライを作ったという。
「基本的に海のフライは沈めて釣ることが多いです。ですが、根魚を狙おうものなら根掛かりばっかりしちゃうんですよ。そうならないためにはどうしたらいいのかと改良を重ねた末、今の形になっているんです」
 
タックルは#6〜#8のフライロッドにタイプ2(1秒間に約2・5インチ沈むもの)〜6のシンキングライン。そして、潮の流れや海水の色、気温などを考慮してフライを選ぶ。そしていざ釣りを開始。ここでは簡単に工程を説明させて頂く。
① 先ずは近くへキャストし、フライの沈み具合を目視で確認。沈んでいく秒数をカウントしておく。
② すぐに投げられるように先にラインを多めに出しておいて、20mぐらい先をめがけてフォルスキャスト。海では風が吹いていることが多いので、キャスティングは重要。
③ 着水し、ラインが止まるまで少し待つ。ラインが止まったら底に付いた証拠だ。この辺りはおそらく水深7、8mだろうとのこと。
④ 底に着いたらラインを手繰る。エビに似せたいので、ぴょんぴょんとアクションを付けて、底をとるイメージでリトリーブする。
「カサゴはそんなに追っかけてくる魚じゃなくて、目の前に来たものをぱくっと食べるから、少し待ってあげるのも大事です。潮の流れや気温などの判断基準もありますが、あとはイメージ勝負」
 
テクニックだけ見ると、フライ経験者なら別段難しい事はないが、海の底に沈めるフライは妄想の世界。そこにはまた違った楽しみがある。現在ソルトウォーターフライに取り組んでるメーカーは殆どないが、Capsでは昨年から徐々にアクションを起こしていて、7月には『Red Rock Fes !』と称したカサゴ釣り大会を開催した。渓流のフライと違って、魚に気付かれないようにする必要もないので、皆でワイワイ楽しめるのも大きな魅力である。この秋は仲間と連れだって、海にフライラインを垂らすのも新鮮で良いだろう。
「食欲旺盛なカサゴは、小さくたって果敢にフライを喰ってくから楽しい。でも、キャッチ&リリースの心も忘れないでくださいね。持って帰るのは自分で美味しく食べれる最低限の量にしましょう」

帰りの船でのワンカット。夕日の沈む水平線に今日堤防で繰り広げられた様々な出来事を想い、新しいフライパターンや攻略を考える。次回釣行の妄想は、もう始まっている。

タックルは湖用の#6~#7で流用可能だが、釣行後は、真水で塩分をキレイに流そう。堤防は、水をかぶる事も多々あるので防水バッグは必須。動く釣りなのでウェストポーチやショルダーバッグで機動性を高めよう。

突然現れるサバやイナダに備えるべく、小魚をイルミネートしたデシーバーを結んだタックルも用意した。

タイイングは想像力

フィールドの違いによりソルトウォーターフライのテクニックも多々あるが、タックルは湖用の#6〜#8が流用できる。しかし肝心のフライは、大きく違うという。海のフライは小魚や甲殻類を模したもの。実際どんなフライが良いのか。後日、自由が丘のショップにてフライタイイングする様子を見せて頂いた。
「日本では、あまり完成品のソルトフライは流通していないので、基本的には自分で巻くことになります。海は表層から深場までターゲットが存在し、ルアーほど動きの無いフライで狙う為、派手系も多いです」
 
兼子さんはそう言いながら、10分ちょっとでフライを一つ巻き上げた。とはいえ、新しく始める人にとってフライの調達が一番のハードルだ。分からないことは経験者の意見を聞くのが一番。同店はタイイングの素材も充実しているし、スタッフも親切。初心者も大歓迎だというので、自由が丘でのショッピングがてら足を運んでみては如何だろうか。

HUNT vo.9

1993年刊の洋書「FLY FISHING MAGIC」はアメリカのソルトフライの写真集。美しいフィールドで繰り広げられるフライフィッシングが釣り人心に火を付ける。

兼子一郎:Caps・BISフライインストラクター代表を務めるTOKYOベイランダーキャスティングコミュニティーでは、毎月、お台場の「船の科学館」芝生広場にてフライキャスティング練習会を開催している。また、(公財)日本釣振興会東京支部の役員として釣りの楽しさを多くの人に広まる活動も行っている、根っからの釣りキチ。

Address:東京都目黒区緑が丘2-5-2/tel:03-6421-4425
photo:Hiroyuki Kondo/text:Junpei Suzuki
http://www.streamtrail.tokyo/

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