2018.04.09

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

東京から移住した、リアル「狩りガール」の狩猟現場に密着!

野生動物管理の学習から狩猟に出会い、狩猟に出会ったことで東京から丹沢周辺に移り住んだ御簾納さん。環境問題と共に生活の一部として狩猟を行う女性ハンターだ。

東京から丹沢に移住し猟師になったデザイナー

猟犬の吠える声が遠くから響く中、猟銃を手に木立で身動きせずに獲物を待つ女性の姿。ベテランが多い猟の仲間から、親しみを持って“聖子ちゃん”と呼ばれる御簾納さんが猟に興味を持ったのは、約3年前の事。

「元々動物が好きで、放送大学で野生動物管理の勉強をする機会があった時に、全国的に猟師が減り、鹿や猪が増え過ぎていることを知ったのが、猟に興味を持ったキッカケでした。それと遊牧民に興味があって、初のひとり旅でモンゴルに行って、その生活を見たりしたこともひとつですかね」
 
当時、東京在住だった御簾納さんは、何のつてもないまま免許等の申請等を行っていたのだそうだ。そんな姿を見ていた友人が、「話を聞きたいからご飯を食べに行こう」と連れていってくれたのが、他のページで紹介している、ハンターでもある山内さんが経営するジビエ料理の猪鹿鳥だったという。
「猟の話ということで、友人がジビエ料理の店をセッティングしてくれたんです。その友人も初めての店で、ほんと偶然でしたね」
 
この出会いの後、御簾納さんは山内さん達の猟に見学に行き、本格的に猟を始めることになるのだが、それとほぼ同時に生活にも変化が訪れることになった。
「(東京に住む前は)元々田舎に住んでいたので、自然の多いところに住みたいというのは以前から思っていたことなんです。猟を始めたことがそれを後押しした感じですね」
 
デザイナーという職業柄、「どこでも仕事ができる」ということから、御簾収さんは東京から丹沢周辺に移住を決意。そして2015年2月に猟銃を所持してから、狩猟シーズン中は毎週末に猟場に出る生活を続けている。
 
猟銃の購入に際しては、師匠の山内さんや猟をやっていた銃砲店の奥様に相談に乗ってもらったそうで、体格や筋力も考え軽量で反動も少ない20番の上下二連銃をセレクト。実際に猟銃を持ち猟を始めた際に、練習で銃を撃っているのとは、まったく違う感触に驚いたという。
「練習で撃っている時は反動や銃声が気になっていたのですが、猟場で実際に撃つと気にならないんです。不思議ですね」
 
ウェアに対するこだわりは、防寒性が高く、脱ぎ着しやすくて動きやすいウェアを選ぶこと。シューズは、長靴ではなく足首がしっかり固定され動きやすいスパイク付の足袋タイプを着用している。また狩猟を始めてからナイフにも興味を持つようになり、福井県のタケフナイフビレッジに行き、自ら狩猟用のナイフを製作しているのだそうだ。
 
狩猟の際、特に女性としてのハンデは感じないそうだが、筋力の関係で獲物を運ぶ際にあまり役に立てないのが、「申し訳ない」と思うこともあるという。

御簾納さんが狩猟ベストのポケットに収納しているのは、防寒着、ノコギリ、狩猟用のナイフ・モツ回収用のビニール袋、ロープ、ヘッドランプ、 猟犬をホールドする際に使用するリードとDカン、 巻狩りの最中に仲間と通信する無線。

巻狩り猟ではもっとも重要な役割をはたして くれる猟犬と。この猟犬は猟仲間の飼い犬で、首輪にはGPSが取り付けられており、勢子の方が持っているレシーバーで常に猟犬の位置がモニタリングできるようになっている。

木の様に動かず、待つ。それが好きな時間

御簾納さん達が行うのは、グループで行う巻狩り猟。勢子が猟犬を使い追い立てた獲物を、それぞれが別のポジションで待つというスタイルとなり、獲物が現れるまで数時間待つこともまれではない。さらに待つ場所によっては、獲物が現れず一発も撃つことが無いまま終わることもあるが、御簾納さんはその待つ時間が猟の中で一番好きな時間なのだという。

「木や石になれって、最初に言われました。ほとんど動かずじっと待っているんですが、その緊張感が好きなんです。以前、見学に来たヨガのインストラクターの友人が、“集中の仕方が瞑想に似ている”って。“瞑想は精神を内側に向けるけど、狩猟の場合は外に拡散している感じ”ともいっていました。確かに、集中していると自分が広がっていくような感覚になります」
 
生活の一部であると同時に、動物の管理・環境保全を学んだ立場からも狩猟を捉える御簾納さん。環境省が取り組んでいる認定鳥獣捕獲等事業者制度にも関心を寄せ、日本鳥獣被害対策協会の活動に参加している。

「猟というと様々な捉え方があると思いますが、増えすぎた鹿や猪によって農林業被害や水質汚染が起こっています。様々な意味でもっと仲間が増えればいいなと思っています」

HUNT vol.11

巻狩りの場合、それぞれが違うポジションで獲物が現れるのを待つ。時には数時間その場に居続けることになるが、その待っている際の緊張感が猟でもっとも好きな時間なのだという。

ハンターである山内さんが営むジビエ料理の店、猪鹿鳥に偶然訪れたことが、本格的に狩猟を始めるキッカケになったという御簾納さん。今回も師匠の山内さんと共に猟を行った。

狩猟を始めてから狩猟用のナイフにも興味を持ち、福井のタケフナイフビレッジで今まで2本の狩猟用ナイフを自作しているのだとか。今は3本目のアイディアを検討中だという。

御簾納さんが使用しているのは 、 20番のSKB上下二連銃 。ユーズドで購入したものだという。20番を選んだのは、体格なども考え、 軽量で反動が少ないからだという。

スパイク付の長靴を使用する人も多いが、御簾納さんは足袋タイプを愛用。足袋タイプは長靴のように靴の中で足が動くこともなく、足首が自由に動いて歩きやすいという理由からだという。この日は午前中は激しい雨に襲われ、雨脚が和らいだ午後から猟を始めた。

御簾納(みすの)聖子さん:もともと自然の多いところに住みたいという念願を実践し、東京から丹沢周辺に移り住んで狩猟シーズンの週末には常に山に入っているという御簾収さん。 野生動物管理の学習を経て、狩猟の世界に入った。「とって食べる」だけでなく、環境保全の面からも狩猟に取り組んでいる。

photo&text:Hiroyuki Kondo

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